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魔王軍はお金が無い  作者: 三上 渉
第一章:魔王とはじめての異世界
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魔王と走り幅跳び

:魔王と走り幅跳び


拝啓、天国のお父様お母様お元気でしょうか?

僕は今異世界でドラゴンに追いかけられています

何を言ってるんだコイツは?と思うかもしれませんが事実です

もしかしたら、あと数分程でそちらへ伺う事になるかもしれませんが

その時はよろしくお願い致します。


「とか考えてる場合かーーーーーーーー!!!!!」


ヤバイヤバイヤバイヤバイ!

今まさに命の危機!俺は森の中を全力疾走する!!!

すぐ後ろには4つ足で這うように追いかけてくるドラゴン!


(モンハンでこんなの見たことある!本物だ!すごーい!!!)


森の木々をなぎ倒しながら真っ直ぐに俺を追いかけてくるドラゴン!

しかしその為、ドラゴンの追跡速度は緩められ

お陰で俺はギリギリ追いつかれずに逃げる事が出来ていた!

そう!森の自然は俺の為犠牲になったのだ!!!


「マズイ!命の危機すぎて思考が最高にハイってヤツだッ!」


俺は脳裏に浮かぶ意味不明な思考を振り払う!とりあえず全力で逃げる事だけを考えよう!!!

ウラムは後でぶっとばす!!!

そして、さながら雪崩のように森をなぎ倒しながら俺とドラゴンは山を駆け下りていく!


「ん!?」


その時、俺の視界にある物が見えた

俺の向かう数十メートル先、森が途絶えた場所がある

そこに見えるのは・・・!


「崖!?いや亀裂!?」


道が途絶え地面に走った大きな亀裂!

ここからはよく見えないが、落ちても助かる深さだと考えるのはあまりにも都合がいい考えだろう!


「どうする!?右に曲がるか左に曲がるか!?」


亀裂がある以上迂回するしかない!問題はどっちに曲がるかだ!


(・・・右に曲がった場合ドラゴンの右手の爪が俺を捉えるだろう、一撃で体は真っ二つ。左に曲がった場合は左手の爪が俺を捉える、当然真っ二つ・・・)


「ってDEATH or DIEじゃねーか!!!」


そう言っている内に亀裂は目の前に迫ってくる!

どうする!?ドウスル!?ヤバイヤバイヤバイ!!!

迂回はダメだ!地面に走る亀裂!その向こう側まで飛んでいければ!!!


「いや、それしかない・・・!!!」


向こう側まで距離は何メートルある?俺は何メートル飛べる?

元陸上部とは言っても、俺は短距離走の選手であって走り幅跳びの選手ではない

しかも、長年のひきこもり生活のせいでなまりになまりきっている

とても現役の時のような体力は無いだろう


(無理だ、無理無理!現実的に考えて絶対に無理!)

(いや、行ける!それしか手段は無い!全力で飛べ!!!)

(絶対に途中で落ちる、落ちたら命は無い!)

(止まっても同じだ!俺は誰よりも早かった!だから出来る!飛べる!)

(そんなの十年も前の話だ!あんな距離今の俺に飛べるわけがない!!!)

(そんな事は分かってる!それでも!!!)


「飛ぶしかない!!!」


覚悟を決めた俺は亀裂に向かって一気に加速する!!!

踏み込みそして!!!


「うおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」


雄たけびを上げながら飛んだ!!!


空中を走るように俺は飛ぶ、世界がスローになり視界がクリアになる

下に見えるのは亀裂の底、十何メートルはあるだろうか?当然落ちたら助からないだろう

亀裂の向こう側が少しづつ近づいてくる、だがそれと同時に周りの景色がじょじょに下がっていく


(まだ落ちるな!あと少し!あと少し!!)


「届けぇえええええええええっ!!!!!!!!!!」


そして俺は・・・!


「ぐえっ!!」


体勢を崩して地面を転げまわる、痛みはあるが死ぬ程ではない

下に落ちていれば当然こんな痛みのはずはない、つまり!!!


「や、やってやったぞコンチクショーーー!!!」


飛び越えた!俺はあの亀裂を飛び越える事に成功したのだ!!!

火事場の馬鹿力というやつか!?人間死ぬ気になればなんでも出来るという事か!?


「よし・・・これでひとまず・・・」


そして俺は後ろを振り向く、これならドラゴンも追って来れないはずだ


「・・・・・」


だがその時、俺の目に写ったのは、亀裂の前で立ち往生したドラゴン・・・


「そりゃそうだよな・・・ドラゴンなんだから」


そのドラゴンが翼を羽ばたかせ、今まさに地面から飛び立つ所だった


「そりゃ飛ぶよなーーーーーー!!!!!」


そして!俺は再度全力で走り出した!!!

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