表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王軍はお金が無い  作者: 三上 渉
第九章:魔王と休暇と里帰り
85/145

魔王と異世界?ファッション

:魔王と異世界?ファッション


というわけで

渋谷駅前広場から少し歩いた所にあるデパートの、婦人服売り場にやってきたわけだが


「城の中に店が・・・」

「城じゃなくてデパートな。城みたいにデカイのは確かだが」


カルチャーギャップに唖然とするミケ、まあ少なくとも魔王城よりは大きいだろう

そんなミケに対してアリアはというと


「変わった服が沢山あります!こっちはアクセサリーでしょうか!?」


もう周りに慣れたのか、目に付いた物に片っ端から飛びついて回っている


「とりあえず、ここで服を調達しようかと思うが・・・」


と俺は言うものの、俺は女性の服を選んだ経験など無いし


「これイイ・・・!」

「なんだか全く分かりませんが良いと思います!」


何処から見つけてきたのか、漢字がデカデカとが書かれたTシャツを掲げるティス

あれは「侍魂」・・・か?最早観光に来た外国人と大差無い


(こいつらの好きに選ばせるのも少し不安だ・・・となれば)


俺はその辺に居た女性店員に声をかける


「すみません。ちょっとあいつ等の服を、適当に見繕って欲しいんですが」

「はい、承りました」


丁寧な言葉で返答を返す女性店員

流石。それなりに高級なデパートに勤めているだけあって、社員教育が行き届いている


「皆様、観光でいらした方々でしょうか?」

「まあそんな感じです。とりあえず店員さんのセンスで見繕って、後は一応本人達にも希望とか聞いてみて下さい」


そう店員に注文しながら、俺は店員を連れてアリア達の所へ戻り言った


「とりあえず、後は店員さんに聞いて好きな服を選んでおいてくれ。俺はウラムと下のフロアに行ってるから」

「分かりましたソーマさん!」


そして俺はウラムの服を買うべく、下の紳士服売り場へ向かう

後には店員とアリア達3人が残された


「では、どの様な服を・・・!!!」


そう言いかけた店員の目が、驚愕に見開かれる!


(何!?この子達・・・メチャクチャ可愛い!!!)


店員はアリア達の方をじっくり眺めながら、その可愛さに耽溺していく!


(一見男の子と見間違える様な外見、利発さ!でもその行動の一つ一つに可愛らしい少女の趣を残した金髪の少女!透き通る様な碧い目に映っているのは純真無垢な輝き!正に天然物の逸材だわ!!!)


一体どんな服が似合うだろうか?考えつつ視線は他の二人へと向けられる


(こっちの銀髪の子はもう美しいとしか表現出来ない完璧な造形美!贅肉の欠片も見当たらないシャープなラインが服の上からでも見て取れるよう!一体何処の国の人なの!?それにこっちのちっちゃい褐色赤毛の子もやっぱり可愛いし!他の二人ともまた違った、ずっと膝の上に置いて愛でていたくなる様な可愛さ!お持ち帰りしたい!!!)


店員の思考がヤバイ方向に暴走しつつある事に全く気付かず、不思議そうに首をかしげる三人


「えっと・・・?どうしました?」


その時、店員は三人の視線に気付き正気を取り戻す


「ハッ!いえ、なんでもございません・・・えっと、それではこちらの服などいかがでしょうか?」


そして、店員の薦めで服を選び始める三人だった






それから、暫く経った後


「どうですか!?」


試着室から店員に薦められた服を着て出てくるアリア


「アリアちゃん!すっごくイイです!カッコカワイイです!」

「アリアって感じ、凄く似合ってる」

「ありがとうございます!二人もその服似合ってますよ!」


その三人から一歩引いた位置で、それを眺めている先程の女性店員


(パーーーーーフェクトッ!!!やはり私の見立てに狂いは無かった!!!)


その思考はさらにヤバイ方向に、さらにハイになっていた


(アリアちゃんは、やっぱり王道カジュアル!!!飾らない魅力が一番の魅力!!!その中でもスラっとした足がまた栄えて、健康的な女性の魅力を引き出しているわ!!!ティスちゃんはやっぱりキレカジ系ね!モノトーンにロングスカートで上品に!アンニュイな表情に大人のクールなファッションがとても似合ってる!!!そしてミケちゃんはガーリーかつレトロに!女の子っぽく、尚且つ媚びすぎないギリギリのラインを攻める!ミケちゃんという素材の味を最大限に活かすファッションよ!!!)


と、脳内で早口に捲し立てる店員

しかしそれを全く表情に出さず、ニコニコと微笑んだまま


「皆様、良くお似合いですよ」


などといった定型文を口に出しながら、自らの仕事ぶりを確認して悦に浸る

その時、ミケが自分の着ている服の感触を確かめながら言った


「それにしても凄く良い素材を使ってますね~、もしかしたらお値段も高かったりするんでしょうか?」

「これが値札でしょうか?・・・えっと、数字みたいなのは分かるんですが、単位がよく分かりません。一体何セーレくらいなんでしょう?」

「見せて」


そう言いながら、ミケの背後に回り値札を摘み上げるティス


「分かるんですか?ティスちゃん」

「こっちの世界に来た時にちょっと調べた・・・えっと」


そして値札の額を確認した後、ミケの耳元で呟いた


「大体・・・」






丁度その頃

ウラムの服を買ってきた俺達は、皆が待つ婦人服売り場に戻っている途中だった


「ふむ、防御力は無さそうですね」

「こっちの服に何を求めてんだよ」


自分の着ているジャケットを捲りながら言うウラムに、ツッコミを入れる俺

そして、そんな事を話しながらアリア達を残してきた場所に戻ると


「にゃああああああ!!!!!ごめんなさいですにゃあああああ!!!!!」

「お、お客様!?」


俺の視界に入ってきたのは、泣きながら店員に頭を下げるミケの姿だった!


「おいおい!何があった!?」

「ソーマさま~~ミケは、ミケは~~・・・」


泣きながらこっちに縋り付いてくるミケ、俺はアリアとティスに事情を聞いてみる


「その・・・服のお値段が・・・」

「値段?」

「上下合わせて30万円ぐらい」


そのティスの言葉に、俺は首を縦に振る


「ああ・・・なるほど。つまり、あまりにも高かったので試着すら申し訳なくなってしまったと」

「まさかこんな・・・貴族さまが着る様な服とは知らず・・・どうにかして弁償しますからどうか~~」

「お、落ち着いて下さい!お客様!」


そしてまた店員に頭を下げようとするミケ


「ああ、待て待て。とりあえずその服自体は問題無いんだな?」

「にゃ。それはもちろんですけど・・・」


それを聞いた俺は財布からカードを取り出すと、店員に差し出した


「とりあえず、あいつ等が着てる服全部買います。カードで」

「は・・・はい」


そして店員はそのカードを確認し、驚愕する!


(ブラックカード!!??限度額無しの超VIP専用のカード!!??)


そして、カードとソーマの顔を何度か往復して見た


(もしかしてこの人、超お金持ち!?)


そんな店員の挙動不審な態度に、俺は思わず問いかける


「あれ?カード使えなかったりします?」

「い、いえ!問題ありません!少々お待ちを・・・!」


その後、俺は手早く精算を済ませ皆の所に戻る


「つうわけで精算済ませてきたから・・・って、なんだその顔は」


そんな俺を、皆は信じられない物を見る目で見ていた


「だって・・・ソーマさんがお金・・・」

「はい。こんなにポンと、あんな大金を払ってくれるなんて・・・」

「おとうさん、大丈夫?正気?熱はある?」


なんか物凄く酷い言われようだ、軽く傷ついたぞ


「あのなぁ。あっちの世界ではともかく、こっちの世界の金ならそれこそ腐る程持ってるんだよ」


そう、こっちの世界に戻れば俺は紛れもなく勝ち組の金持ち

服の一つや二つをケチる必要など全く無いのだ

堂々とする俺に対して、ウラムが言う


「さすがは魔王様です。ついでですから、あっちの世界で高く売れそうな宝石等を大量に買っていくのはどうでしょうか?それをあっちで売れば、魔王軍の財政も潤うでしょう」

「何で俺が魔王軍の為に私財を投入しなきゃなんねーんだよ・・・!!!」


ウラムの笑えない冗談はいつもの事として

とりあえず、俺はまだ呆然としたままの三人に向かって言う


「まあそういうわけだから、金の心配はするな。服も調達したし、今日は思いっきり遊ぶぞ!」

「「おおーーー!!!」」


そして少しだけ現代風になった面々を率いて、俺は繁華街へと繰り出すのだった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ