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魔王軍はお金が無い  作者: 三上 渉
第八章:魔王と魔王城再開発計画 湯煙編
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魔王と轟炎の巨人

:魔王と轟炎の巨人


その後、俺達が行動を開始してから3時間程が経過した

すでに日付は変わり、辺りは夜の闇に包まれている

一度目の地震からメルヒェンス山は沈黙を保ったままだ

嵐の前の静けさと言った所だろうか


「聞こえてるかお前ら?」


頭に付けたインカムのマイクに向かって喋る


「こちら地上班、聞こえていますにゃ!」

「空中班も問題ありません」


すぐさま、それぞれの持ち場から返事が返ってきた


「作業の進捗はどうだ?」

「地上班はすでに防壁の設置完了していますにゃ、ソーマさま!」

「うちらがすげー頑張って設置したにゃ!」

「ちょー感謝するにゃ!」


魔王城周辺には、ミケ達が設置した土の壁が何重にも張り巡らされていた


「魔法で作った土壁にゃ、マグマが流れてきてもある程度なら流れを逸らして耐えられるはずにゃ」

「分かった。地上班はそのまま待機して不測の事態に備えてくれ」

「了解しました!」


とりあえず地上はミケ達に任せるとして、空の方は・・・


「こちらも魔王城上空に結界を張り巡らせています。ですが、何分急ごしらえの結界ですからどれだけ保つかは分かりません」

「おいおい、大丈夫か!?」

「大丈夫・・・私とウラムが空中に待機して、迫ってくる岩塊を撃ち落す」

「そういう事です。まあ結界はもしもの時の備えぐらいに考えてもらえれば」

「そうか、じゃあ上は二人に任せたぞ」

「お任せ下さい魔王様」


まあウラムとティスなら問題無いだろう

その時、俺に不安そうに声をかけてきたのは天使のフィーリスだった


「ほ、本当にやるっスか・・・?今からでも逃げた方がいいんじゃ・・・」

「ぶっちゃけ、そう出来るならそうしたい所なんだがな」


この城を守ると宣言した以上そういうわけにもいかない

だが、そんな事より・・・


「それより、フィーリスこそ安全な場所に避難してた方がいいんじゃないか?天使であるフィーリスまで俺達に付き合う必要は無いんだぞ?」

「それはそうなんでスけど・・・」


フィーリスは何やら、いつも以上に深刻そうに悩んでいたが


「いえ、やっぱり自分もここに残るっス。出来る事は無いでスけどせめて見届けさせてほしいっス」

「フィーリスがそう言うなら構わないが」


その時、俺達の会話を聞いていたアリアがフィーリスに向かって言った


「大丈夫ですよフィーリスさん!勇者の名に賭けてこの城は死守してみせます!」

「アリアさん・・・」


アリアは堂々とそう宣言する、その自信に満ちた態度に少し落ち着きを取り戻すフィーリス


「でもソーマさん、私だけここに残っていていいんでしょうか?」

「ああ、それは・・・」


アリアに答えようとした時、代わりに通信機からウラムの声が聞こえてきた


「アリアさんは最後の砦ですから、なるべく力を温存しておいてもらいたいのです」

「頼りにしてもらえるのは嬉しいですが・・・」

「それに私の予想が確かなら、最後はアリアさんの力に頼る事になると思いますので」

「予想?」


俺がウラムにそう問いただそうとした、その時!!!


ドオオオォォォンッ!!!


激しく体を突き上げるような揺れ!今までで一番の衝撃だ!


「どうやら時間切れのようです、作戦を開始しますがよろしいですね?」

「ああ!全員行動開始!!!」


そして!夜の闇を切り裂くようにメルヒェンス山の山頂から炎の柱が吹き上がった!!!

同時に炎の飛礫が魔王城に襲い掛かる!


「ティス、飛行魔法の方は大丈夫ですか?」

「平気、もう風の属性魔法は覚えた」

「さすがです。では行きますよ!」


そしてウラムとティスが構えると、それぞれの手から魔法が連射される!


螺旋連射ラピッドスパイラル!」

「アイスダガー・・・連射する!」


ドガガガガガッ!!!


ウラムとティスは次々と迫る飛礫を全て撃ち落していく!

その様子を見上げながら、俺は呟く


「さすがって感じだな・・・」


城に向かって襲い掛かる無数の飛礫を一つ残らず迎撃するウラムとティス

とりあえず上空はなんとかなりそうだ、地上は・・・


「こちら地上班!山頂から溶岩が流れだしてきました!」

「防壁は!?」

「えっと・・・なんとか大丈夫ですにゃ!ちゃんと溶岩の流れを逸らしてるみたいですにゃ!」


よし、地上もなんとか防ぎきれているようだ!

あとは噴火活動がどれぐらい続くかだが・・・


「これぐらいなら全然余裕・・・何時間でもいける」

「はい!なんとか耐えられそうですにゃ!」


流石に頼りになる面子だ、戦闘能力に関しては文句のつけようがない

これなら防ぎきる事が出来るだろう


(噴火から城を守るなんて無茶だと思ったが、ちょっと心配しすぎだったか?)


だが、俺がそう考えたその時!


ドオオオオォォォンッ!!!


またもや地震!そしてそれと同時に!!!


「オオオオオオオオオオオオッッッッッ!!!!!」


巨大な獣の咆哮の様なものが、メルヒェンス山一帯に響き渡った!!!


「な!一体なんですにゃ!?」

「何か、火口から出てくる・・・!」


俺はメルヒェンス山の山頂に目を向ける!

そして!吹き上がる火炎の中からソレは姿を現した!


「炎の巨人!!!???」


それは、全身燃え盛る火炎に包まれた巨人だった!!!


「にゃああ!!!???なんですにゃアレ!!!???」

「ヤベーにゃ!!!アレは確実にヤベーにゃ!!!最大級にヤベー気配がビンビンするにゃ!!!」

「無理にゃ!!!アレだけは絶対無理にゃ!!!近寄っただけで焼け死ぬにゃ!!!」

「・・・撤退を進言するにゃ、魔王」


ミケ達の混乱する声がインカム越しに聞こえてくる

その時、上空からそれを見ていたティスが呟く


「・・・アレは無理」


どうやら、ティスから見ても相当危険な存在らしい


「そんなにヤバイのかあの巨人は!?」


しかし、なんでいきなりあんなのが・・・


(いや待て、炎の巨人・・・?)


その時、俺の脳裏に浮かんだのは・・・


「ウラム!アレはもしかして!!!」

「ええ、その通りです。ティスとミケは初めて見るでしょうね」

「知ってるんですかウラムさん!?」


そして、ウラムが答えた巨人の名は


「あれこそギガスの本体、轟炎将軍ギガメリウスの真の姿です」





火口よりその姿を現したギガスの本体、燃え盛るその巨大な体が夜の闇を眩く照らす

そして、それと同時に事態が動いた!


グシャッ!!!


「・・・!?防壁が!!!」

「どうした!?何が起こってる!?」

「流れてくるマグマに魔力が付与されてるにゃ!防壁が抜かれ始めたにゃ!!!」


これはやはりギガスが現れたからという事か!?

だとするなら、ギガスをなんとかするのが一番なのだが・・・


「ウラム!ギガスは一体どうしたんだ!?まさか暴走とかそういうのか!?」

「いえ、暴走ではありません。あれがギガスの本来の姿なのです」

「あれが本来のギガス!?どういう事だ!?」


そしてウラムは、ギガスについてかいつまんで説明し始める


「本来ギガスに理性や知性等といった物は存在しません、敵味方問わず周辺全ての物を焼き尽くす破壊の権化、それが轟炎将軍ギガメリウスです。その本体を火口の奥深くに封印し、封印された精神の無意識部分から、自らを監視する為に作り出されたのが我々の知るギガスです」

「じゃあどうやって止めるんだ!?あんなのが相手じゃいくらなんでも!!!」


その時!俺の後ろから声が聞こえてきた!


「時間ヲ・・・時間さえあれバ・・・」

「ギガス!?再起動したのか!?」

「はイ・・・現在・・・封印術式の再起動ヲ行っテおりマス・・・何とか時間ヲ稼いデ下さイ・・・」

「分かった!・・・そういう事らしい!なんとか時間を!!!」


そう皆に告げようとしたその時!


「ギニャアアアアア!!!防壁が抜かれたにゃ!!!」

「何!?」


俺はすぐさま地上の状態を確認しようとするが


「落ち着くにゃリィ!まだ第一層の防壁が抜かれただけにゃ!」

「でもマグマの勢いが更に強くなってるにゃ!」

「このままじゃ全ての防壁が抜かれるのも時間の問題にゃ!魔王ヤベーにゃ!」


その通信を聞いて、上空に待機していたティスが地上へ向かっていく


「私が下に行く、ウラムこっちは任せた」

「ええ、下は任せました。それでは私は・・・」


ウラムの視線の先にはメルヒェンス山を一歩一歩、魔王城に向かって近づいてくる巨人の姿


「私が行きます!」

「いえ、アリアさんは待機していて下さい」

「でも!アレはウラムさんでも流石に!」

「アリアさんなら対抗できるかもしれませんが。あの巨人とそれと同等の力を持った存在がここでぶつかり合えば、周辺の被害は計り知れない物となります。その時に魔王城を守る者がおらず城が破壊されては元も子もありませんので」

「それは・・・!」

「大丈夫、時間を稼ぐだけです」


そして巨人の目の前に立ちふさがるウラム、炎に包まれた巨人の顔にうっすらと見える瞳の様な物がウラムの姿を捉える


「オオオオオオオオオオッッッッ!!!」


巨人はウラムの事を敵対存在として認識した様だ!

咆哮を上げ戦闘状態に入る巨人!


「さて、今の私の力でこのギガスの相手をするのは少々骨が折れますが・・・」


ゴオッ!!!


その時!大気を焼き焦がしながら巨人の拳が放たれる!

だがそれを、寸前の所で避けながらウラムは巨人に向かって突撃していく!


「精々足掻くとしましょう!」


そして暴嵐と轟炎

二人の将軍の戦いが幕を上げた!

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