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魔王軍はお金が無い  作者: 三上 渉
第八章:魔王と魔王城再開発計画 湯煙編
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魔王と秩序の番人達

:魔王と秩序の番人達


セレンディア某所、周辺に人の住む様な集落も無い辺境の地

そこに、この世界とは不釣合いな建造物がひっそりと建造されていた

そしてその中、どこか近未来的な部屋の中に二つの影があった


「おい、まだか」

「す、すみません・・・もう少しです」


何やら機械をいじっている人物と、それに命令している人物

二人の背中には白い羽根が生えている、そう彼らは天使と呼ばれる者達だ

命令している天使の羽根は6枚、もう一人の天使の羽根は2枚。それがそのまま二人の立場の差を示している

そしてしばらくして


「それじゃあ、通信繋ぎます」


機械をいじっていた天使がそう言うと、部屋の真ん中にあった巨大なモニターが点灯し

そして、一人の男の姿が映し出された


「ご苦労」


そう言って、モニターに映った男は敬礼をすると


「「ハッ!」」


すぐさま、部屋の中に居た二人の天使も敬礼を返した


「報告は見させてもらった。先の作戦は失敗した様だな」

「ええ、金に目が眩んで飛びついてくると思ってたんですけどね。予想外と言えば予想外ですが、まあ最初からそこまで本格的な作戦行動だったわけでもありませんし・・・」


その時、機械をいじっていた二枚羽根の天使が口を挟む



「で・・・ですから彼らにはこれと言った危険思想等も無く、世界の害になる様な事は・・・」

「下っ端は黙ってろ、それを決めるのはお前じゃねえ」


だが、部屋の中に居たもう一人の天使に一蹴されてしまう


「す・・・すみません・・・」


しかし、それを聞いたモニターの男は少し考え込む様にすると


「確かに、彼らはこの宇宙に蔓延る有象無象の悪とは少し違う様だ・・・」

「で・・・では!」


その言葉に嬉しそうな表情を見せる二枚羽根の天使、だがモニターの男が続けた言葉は


「・・・だがそれ故に、彼らはこの宇宙の秩序を乱す存在となるだろう」

「そんな!!それは一体どういう・・・!?」

「おい!黙ってろと言ったぞ!上の決定に口を出せる立場か!?」

「は・・・はい・・・」


そして、六枚羽根の方の天使はニヤリと笑うと


「では、作戦は続行と言う事ですね?」

「ああ、彼らをこの世界から排除するのだ。それがこの世界を、そして宇宙全体の秩序を守る事となる」

「了解しました・・・クックック」


さて、次の作戦はどうするか・・・どんな方法で奴らを追い詰めていくか・・・六枚羽根の天使の笑みが歪んでいく

だが、その天使に釘を刺すようにモニターの男は言った


「しかし、作戦は慎重を期さねばならない。規則24条・・・」


24条・・・

それを聞いた六枚羽根の天使の表情から笑みが消える


「・・・我々が他の世界へ直接的な介入を行ってはならない、ですか?」

「そうだ、この世界への介入はあくまで間接的な手段で行わなければならない。我々の他の世界への直接的な介入は我々自身の掟により禁じられている」

「ですが、非常事態宣言を行えば24条の限定解除も出来るはずです、そうすればあんな奴ら俺が直接皆殺しに・・・」

「半ば形骸化した掟ではあるが、あまり強引に事を進めて「穏健派」が介入してくる口実を与えても面倒だ。作戦は慎重を期す、この決定に変わりは無い」


モニターの男の決定に、六枚羽根の天使は心の中で舌打ちをする


(チッ、めんどくさい政治の話かよ)


だが、そんな不満を全く表情に出さず六枚羽根の天使は返答した


「・・・承知しました」


六枚羽根の天使の返答を聞いたモニターの男は、最後にこう告げた


「では、君達が作戦を完遂しこの宇宙の秩序を守ってくれる事を期待する。ジョシュア・レドヴァイン上級天使」

「はっ!」


ジョシュアと呼ばれた六枚羽根の天使が返答を返す


「そして・・・」


モニターの男は、部屋に居たもう一人の天使に声をかける


「フィーリス・ミルドヴァルド二級天使」

「は・・・はい」


そう、返事をしたのは

魔王軍の監査の為にセレンディアにやってきていた、新米天使フィーリスだった

そして、彼らが互いに敬礼を返した後、通信は切れた






通信を終えた後、すぐさま二人の天使は行動を開始する


「さて、まずは情報収集からだ。次こそはあの魔王軍を潰してやる・・・おい、行くぞ二級天使!」

「は・・・はい!分かりました・・・」


ジョシュアの指示で次の行動に移るフィーリス、だが


(一体どうすれば・・・?)


魔王軍の人達が宇宙の秩序を乱すような存在とはとても思えない

だが上層部の指示に逆らう事など出来ない、ましてやこの作戦は「あの方」の直接の命令なのだ

二級天使の自分にどんな口出しが出来ると言うのだろう


(このままじゃ・・・魔王軍の皆さんが・・・)


考えるが答えは出ない

そんなフィーリスの思いを他所に、事態は次の段階へと進んでいくのだった

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