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魔王軍はお金が無い  作者: 三上 渉
第一章:魔王とはじめての異世界
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魔王と騎士団演習

:魔王と騎士団演習


さて、ぶっちゃけ逃げ出したい状況ではあるがそういう訳にもいかない

まずは何から手をつけるべきか・・・俺は思案するが


(駄目だ、全く何も思いつかない)


漠然と金儲けをしろと言われても具体的に何をしていいのかサッパリだ、とりあえず取っ掛かりが欲しい

そこで俺はウラムに質問する


「えーっと、お前らは普段どんな事して稼いでるわけ?」


漠然に考えるより、とりあえずは現在の魔王軍の仕事から手をつけていくとしようという寸法だ


「そうですね。色々と手広くやってはいますが」

「土台が崩れそうな状況で手広くってアホなのか?」

「とりあえず、二日後に騎士団演習に参加する予定になっていますね」

「騎士団演習?」


ウラムの言葉に俺は首を傾げる

なんだそれ?あまり金儲けと関係ないようなワードだが


「ええ。ここから東の方にあるシグラ王国、そのステビアという街に赤竜騎士団という騎士団があるのですが」

「ふむ」

「その騎士団の演習相手として我が魔王軍が相手を務めているという訳です」

「魔王軍が演習相手ってオカシイだろ。それ演習じゃなくて本番じゃねーのか?」

「いえいえ、あくまでも演習。我々は彼らの錬度向上の手助けをし、対価としてお金を頂いているという訳です」

「んーむ、まあ魔王軍らしい仕事と言えなくもないか・・・?」


演習に参加とか、意外と普通に魔王軍やってるんだな

世界征服を企む軍が他国の錬度向上の手助けをしてりゃ世話ないが

その時、ウラムが意外な提案をしてきた


「とりあえず魔王様も参加してみますか?」

「ん?演習に?それって俺も参加出来るのか?確か戦闘能力はゴブリン相手に即死レベルなんだろ、俺は」


ハッキリ言って俺が役に立てるとは思えないのだが

しかし、ウラムはアッサリと答える


「ええ、問題ありませんよ」

「ふーん。じゃあとりあえず現在の状況を知りたいし参加してみるか」

「分かりました。それでは当日の流れについて説明させていただきますね」


というわけで、俺は二日後の騎士団演習とやらに参加する事となった






そして二日後

シグラ王国、ステビア中央広場にて


「フハハハハハハハハッ!!!!」


広場の中央にウラムの高笑いがこだました!


「この世界は我ら魔王軍が征服してやる!手始めとしてまずはこの街を支配してやろう!!!」


高らかに世界征服を宣言するウラム!

だが、それに立ちはだかるように数人の騎士が現れる!


「そうはさせんぞ魔王軍!!」

「貴様らは!?」

「お前たちの野望は我々赤竜騎士団が食い止める!!!」

「おのれ赤竜騎士団!ならば我々魔王軍の切り札レッドドラゴンを呼ぶしかない!!!」


ウラムの合図と共に広場の中央に二足歩行のレッドドラゴンが現れた!

大きさは並の人間と同程度、鱗はなくところどころ継ぎ接ぎのようになっている

目はただの黒い布で角は片方取れかけていた・・・つまりきぐるみだった

そして、その中身は・・・


(あ・・・暑い)


俺だった


「現れたなレッドドラゴン!このステビアの街は我々赤竜騎士団が守る!でやぁーー!!!」


お約束の口上を述べた後、騎士はなまくらの剣を俺に向かって振り下ろす

その後、数分程戦闘らしきものが行われた後


「グオオオオオオオッ!!!」


レッドドラゴン(俺)は力尽き地面に倒れ伏した


「馬鹿な!?レッドドラゴンが倒されるとは!おのれ!次はこうはいかんぞ!!!」

「貴様らが何度襲ってこようとこの街は我々が守ってみせる!」


こうして魔王軍は退けられ、赤竜騎士団の手によってステビアの平和は守られたのであった!






「ヒーローショーじゃねえか!!!!!」


騎士団演習という名のヒーローショーが終わり、楽屋に戻ってきぐるみを脱いだ俺は大声で叫んだ

その時、先程の騎士達が楽屋に現れウラムと挨拶を交わす


「いやー魔王軍のみなさんお疲れ様ですー」

「お疲れ様です。今回の騎士団演習も無事終了してなによりです」

「いやいや!明らかに演習とは違う何かだっただろ!具体的に言うとヒーローショーだったろ!!!」


その朗らかな挨拶にすかさずツッコミを入れる俺

この世界にマトモを期待した俺が馬鹿だった

やっぱりこの世界はろくでもない


「これが今回の演習代になります」

「いつもありがとうございます」


ウラムがこの世界の通貨らしき物を受け取る

とりあえずなんやかんやで仕事は終了といった所か、しかし


「なんというか、あまり客が来てるようには見えなかったが」

「ちょっと魔王様!」


そう。さっきのショーも観客は子供数人、その保護者らしき老人が数名と言った所だ

入場料等がどれくらいかは知らないが、とても採算が取れてるとは思えない

そんな俺の疑問に騎士の一人が答える


「ええ、長年騎士団演習を続けてきましたが年々客細りしていく一方です」


あくまで騎士団演習で通すつもりか


「元々、我々赤竜騎士団はこの街の近くに住まうドラゴンからこの街を守る為設立されたのですが」

「ああ。さっきのショーの内容はそれか」

「ええ、しかしそれも数百年前の出来事。今や世界は平和そのもので、本物のドラゴンなど騎士団員の誰も見たことはありません」

「時代の流れって事か」

「はい。そんな時代ですから、年々入団希望者も減っていき、今となっては騎士団の存続すら危ぶまれる状態。もはや騎士の時代は終わったのかもしれません」


そう言いながら俯く騎士

その時、ウラムは遠い目をしながら呟く


「時の流れというものは無常なものですね」

「いや、世界が平和なのって魔王軍が駄目すぎるせいだからな」


だが、俺の言葉に騎士は笑顔を浮かべると言った


「いえいえ、世界が平和なのが一番ですよ。それによって我々が必要とされなくなったとしても」


こうして、騎士団演習という初仕事を終えた俺は魔王城へと帰還するのだった

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