表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王軍はお金が無い  作者: 三上 渉
第七章:魔王と暗躍のサッカー大会
67/145

魔王と第一試合キックオフ

:魔王と第一試合キックオフ


そして大会当日

現地に着いた俺達を迎えたのは、予想以上の盛り上がりを見せる会場だった


「にゃ!凄い人の数です!!!」

「ああ・・・」


目の前にあるのは巨大なスタジアム、そしておそらくそれを満席に埋めるであろう人々の列だった


「開催準備の段階から予想以上の規模になる事は分かっていたが、こうして実際目にすると凄い事になってるな」

「スタジアムも立派な物です。今回私は会場の建設には関わっていないのですが・・・」


予想以上に立派な建造物を前に、ギガスが呟く

俺も同じく、スタジアムを眺めながら考える


(しかし、本当に凄いスタジアムだな。まるで・・・)


その時、こちらに一人の男性が駆け寄ってきた


「どうもソーマさん」

「ミルズさん」


それは、この大会の共同出資者のミルズさんだった


「本日はよろしくお願いします」

「こちらこそよろしくお願いします。それにしても、凄い規模になりましたね」

「ええ。それもこれも、魔王軍の皆さんが参加して下さったお陰です」

「いや、私達は別にそんな大した事は」


そして二言三言交わした後、ミルズさんは去っていった

話し終えた俺にウラムが質問をしてくる


「あの方が共同出資者の方ですか?」

「ああ。ネヴィラネヴィルズっていうサッカーチームの代表の人だ」

「サッカーチームの代表・・・?」


ウラムは何やら考え込んでいる様子だが、さて?


「とりあえず行くぞ、試合に出場する以外にもやる事は沢山あるんだからな」

「はい!ソーマさん!」


勢いよく返事をするアリア、そして俺達は控え室に向かう

だが、ウラムは何やら考え込んでその場に立ち止まる


「ウラム殿、如何されました?」

「いえ・・・何も問題はありません。少なくとも今は・・・」






そして開会式が始まった、俺達は選手として会場に入場する

選手宣誓等はミルズさんの方に任せてあるので問題無い

周りを見渡すと、巨大なスタジアムは満席となっており

凄まじい歓声が場を包んでいた


「こんな中で試合するのかにゃ」

「にゃ・・・ちょっと緊張するにゃ・・・」

「参加チームは16チーム、試合は4日に分けて行われるにゃ」


ウナの言うとおり、当初の予定を大幅に超えるチームが集まり大会の規模も大きくなっていった

これは今までにない規模の商売になるだろう、だが


(しかし、ちょっと上手くいきすぎてないか?)


俺は思わずそう考えてしまう

そしてそんな俺の疑問をよそに、恙無く開会式は進んでいった






そして第一試合の開始時間となり、グラウンドに入場してきたのは


「ついに初試合ですね!」

「ああ、まあ気負わずいこう」


そう俺達魔王軍だった、対戦相手はヴィアードリンクスというチームだ

対戦相手に関する事前情報は全く無い、何せサッカー大会という物が初めての試みだからな


「とりあえず練習通りやれば勝てると信じよう、行くぞ!」

「「おおーー!!!」」


そして、キックオフの笛が鳴った!


「さーて!まずはリンクスのボールで試合開始です!」


会場に実況の声が響き渡る


「よーし行くぞ!加速!!!」


その時!敵選手がドリブルしたまま何やら詠唱したかと思うと、動きが一気に早くなった!


「な!なんだありゃ!!」

「初歩の加速魔法ですね、風を操り自らの周辺の空気の流れを変え・・・」

「そうじゃなくて!魔法とかアリなのかよ!?」

「それはサッカーですから当然アリですが?敵選手への攻撃魔法以外は使用可能です」

「知ってたんなら先に言え!!!」


しまった、痛恨のミスだ

ここは異世界だという事を忘れていた

名前が同じサッカーだという事で、ルールも全く同じだと完全に思い込んでいた

これはサッカーはサッカーでも「異世界サッカー」だったのか!

俺はすぐさまボールをドリブルする敵選手を止めに行く!だが!


「はええ!!!」


相手選手の凄まじい速さに全く追いつけない!敵選手はそのままドリブルで中央突破を図る!


「よし中央ががら空きだ!先取点は・・・!!!」


そして敵選手が中央を抜けようとした所を


「もらってくにゃ」

「なっ!?」


横から突然現れたマウがボールをカットした!


「一体何処から!?」

「ふふん。これぞマウ様の得意技、ステルスカットにゃ」


そう。それは気配を消して姿をくらまし

目の前のスペースががら空きに見せかけ、突然死角から襲い掛かるマウの得意技だ!


「くっ!!!」


すかさずマウを追いかける敵選手、だがマウは追いつかれるより先にパスを出す!


「ウナ!」

「おっけーにゃ」


マウから中央のウナにボールが渡る

ウナのポジションは中央でゲームメイクを行う、最も重要なポジションだ


「囲んでボールを奪うんだ!」

「おう!」


ギュンッ!!!


すかさずボールを奪いに向かう敵選手!加速により一気にウナへと迫るが!


「甘いにゃ」


サッ!


「なっ!!!」


ウナは巧みなボールコントロールで囲みを抜ける!


「・・・にゃ!」


そして、一瞬でフィールド全体を把握すると


「走れにゃ!リィ!!!」


右サイド際に大きくパスを出した!


「サイド!?だがあれじゃ追いつけるわけ・・・」


ウナが出した特大のロングパス、普通の選手どころか加速状態にある敵選手ですら追いつけないコースだ!


「にゃにゃにゃにゃにゃにゃ!にゃーーーー!!!」


だが!リィは右サイドラインを凄まじいスピードで駆け上がり、これに追いついた!

そのスピードは、加速を使った敵選手が普通に見えるぐらいの凄まじい速さだ!


「そんな馬鹿な!あれに追いつくなんて!」


焦ってゴール前に戻っていく敵選手達、だがもう遅い


「決めるにゃ!ミケ!」


ボールを受け取ったリィはすかさずセンタリングをする!

中央に高いボールが送られ!敵選手はボールの動きを追い競り合いに行くが!


「高すぎる・・・パスミスか?」


ボールは頭上3メートル程の高さを通過していくコースだ!とてもじゃないが届く高さではない!しかし!


「うーーーーーにゃっ!!!」

「なっ!?飛んだ!?」


ミケは大きくジャンプすると、このパスに合わせる!そして!


「いくにゃ!ソーマさま直伝!ヘッドバットにゃ!!!」


ドガッ!!!


強烈なヘディングシュートを放った!

ゴールの遥か上空から放たれたシュートは、ゴール隅の地面に突き刺さるかの様に飛んでいく!

敵のGKはこれに飛びつくが・・・!


「くっ!!!」


バスッ!


ミケが放ったヘディングシュートはワンバウンドしてゴールに突き刺さった!!!


「ゴーーーーーール!!!先取点は魔王軍だーーー!!!」


同時に実況の声が響き渡り、大きな歓声が上がる!


「やったにゃ!ミケ!ウチら猫四人組のコンビネーションが炸裂したにゃ!」

「リィちゃん!」


先取点を決めたミケに飛びつくリィ


「よし、これならいけるぞ」


どうやらこちらの戦力は十分に通用するようだ!


「よし!まだまだガンガン攻めていくぞ!」

「「おおーー!!!」」


こうして、第一試合は魔王軍の先取点で始まったのだった!






そして同じ頃・・・


「あれなら問題無く決勝まで勝ち上がってくるだろう、こちらが手を出す必要は無さそうだな」

「は・・・はい」


その試合の様子を、スタジアムの通路の影から覗いている二つの影があった


「つまり計画は順調ってこった、クックックッ・・・」

「・・・」


愉しげに顔を歪める男

もう一人はただ黙ってそれを聞いている


「さて奴らはどう出てくるか、楽しみだぜ」


そして愉快そうに笑いながら、その場を去っていく男

もう一人も、男の後に続いてその場を去ろうとするが


「皆さん・・・どうか」


一度だけスタジアムの中央を振り返り、そう呟いた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ