魔王とパワードスーツ
:魔王とパワードスーツ
ミルズさんとの話の翌日
俺は魔王軍全員に召集をかけた、理由はもちろん
「というわけで、サッカー大会に参加する事になった」
という事だ
「メンバーは俺とアリア・・・」
「はい!」
勢い良く返事をするアリア
俺は周りを見渡しながら続ける
「それとウラム、ギガス、ティス、ミケ・・・」
「ふむ、サッカーですか。まあ何であれ我々四天将軍にお任せを」
「承知致しました魔王殿」
「サッカー?ゲームでならやったことある」
「はい!頑張ります!」
これで6人、あとは
「それとウナ、リィ、マウ」
「なんでウチらまで呼び出されてるかと思ったら・・・」
「にゃ!サッカーにゃ!面白そうにゃ!」
「めんどくせーにゃ。特別手当を用意しておくにゃ魔王」
辺りを見渡すが他には誰も居ない、これで全員だ
つまり・・・
「これで9人なわけだが・・・あと二人足りないな」
「サッカーは11人1チームで行うスポーツですからね」
「ああ、というわけで。最低でもあと二人、なんとかしないとならないんだが」
とは言っても、これ以上メンバーの当ては無いし・・・どうしたものか
考え込む俺に、ミケが提案してくる
「フィーちゃんにも聞いてみたらどうですか?」
「ああ、それがな。実はさっき連絡して聞いてみたんだが」
「すみません・・・しばらく仕事で忙しくなるので・・・」
「って事で無理だそうだ」
「にゃ・・・そうですか」
あとは、仕事で付き合いのある人に聞いてみるぐらいしかないが
「どうしても人数が足りないというのであれば、スライムに任せてもいいのでは?」
「スライムか・・・」
スライムにサッカーが出来るのだろうか?というよりそもそも
「スライムの場合どこが足でどこが手か分からんからな、サッカーやるからには足がないと」
でないとボールを触るだけでハンドを取られかねないからな
その時、ギガスが何かを考えながら言った
「ふむ。でしたら私の出番ですか」
「ギガス、何か案でもあるのか?」
「ええ。こんな事もあろうかと開発しておいた装備があります」
こんな事もあろうかと・・・か、何やら怪しい感じだ
また巨大ロボやら自爆やらは勘弁してもらいたい所なのだが
「しばらくお待ちください。只今用意して参ります」
そう言って部屋を出ていくギガス
しばらくして、ギガスが運んできた物は
「これぞ私が開発していた新装備、パワードスーツM1です!」
「パワードスーツ?」
「はい。、これはその試作型で、スライムがコントロール出来るように調整した物です」
見た目は人型のロボットと言った感じだ、大きさも普通の人間と同程度
だが頭部が透明なドームの様な物になっており、おそらくそこにスライムが入って操縦するのだろう
「パワードスーツの能力は、並の魔族の3倍のパワーとスピードを誇る高性能となっております。オプション装備による武装の強化プランも充実しており、さらに脳波コントロール出来る」
「つかそれ以外に操作方法無いだろう」
そして、ギガスはパワードスーツの頭部にスライムAを入れる
「ぷるぷるぷる」
すると、それまで待機状態になっていたスーツが稼動状態に入る
「を、動き始めたぞ。どうだ?」
スライムに向かって声をかける、そしてスライムはいつもの如く喋り
「ぷるぷるぷる」
その後、直立不動の状態で敬礼をした
なんていうかビシッ!って感じだ
「あれ?なんかすごいビシッって感じに動いてるが」
「特に問題無いかと思いますが、ついでに字幕モードをONにしてみますか?」
「字幕?」
「はい、ティスの協力により、スライムの言語をこちらの言語に翻訳して表示する機能がついております」
「おお!俺でもスライムの言葉が分かるのか!」
それは実に興味深い、早速字幕をONにしてもらう
「というわけで何か問題あるか?スライムA」
「ぷるぷるぷる(サー!問題は何もありません!!)」
スライムが喋ると同時にドームに文字が表示される
って、何だこの字幕
「おいギガス?何か字幕がどこぞの兵隊の台詞みたいになってるんだが」
「これで字幕モードは正常に動いておりますが」
「え?いやまさか・・・」
ゆるキャラだと思っていたスライムが、そんな軍隊式なキャラだったなんてあるわけ
俺の頭に沸いた疑念を払拭する様にティスがスライムに言う
「いつもこんな感じ。ね、スライムA」
「ぷるぷるぷる(イエスマム!上官の命令には絶対服従であります!!!)」
「おう・・・」
スライム達がゆるキャラではなくバッドカンパニーだったとは
どうりでいつも命令に忠実に従ってくれるわけだ
「とりあえずこれなら足もありますし、残り二人分は問題無いかと思われます」
「ああ、そういえばサッカーの話だったな。まあ他に当ても無いし任せるか」
「ぷるぷるぷる(サー!お任せ下さい上官殿!!砲煙弾雨を潜り抜け必ずや我が軍に勝利を!!!)」
「いや、普通にサッカーしてくれればいいから・・・」
少々不安は残るが、とりあえずこれで11人揃った
こうして俺達、魔王軍イレブンが始動したのだった
「ところでサッカー経験者は?」
シーン・・・
どうやら道行きは前途多難の様だ
そして、大会の開催準備と平行して練習を重ねていった俺達はついに大会前日を迎えていた
「というわけで色々確認しとくぞ」
俺は集まった全員に向かって説明をする
FW:アリア ミケ
MF:ウナ ティス リィ ソーマ ウラム
DF:マウ スライムA スライムB
GK:ギガス
編成はこうなった
フォーメーションは3-2-3-2だ
「一応言っておくが。ハッキリ言って俺達にとって重要なのは大会の成功であって、別に俺達が優勝する事じゃない」
そう、あくまで本命はこの大会を盛り上げ収益を上げるという事である
それを忘れてはいけない、しかし
「だがそれとこれとは話が別だ!やるからには優勝するぞ!!!」
「「おおーーー!!!」」
こうして、俺達魔王軍は優勝を目指しサッカー大会に挑む事となった




