魔王と闇の軍勢
:魔王と闇の軍勢
他の将軍の紹介を終えたところでウラムが大きく咳払いをする
バッ!
そして大仰なポーズを取って叫んだ!
「そして!私が四天将軍筆頭にして魔王様の補佐を務める暴嵐将軍・・・!!!」
「お前の紹介はいい」
「そんなー」
即座に俺はその声を遮る
こいつの紹介を聞くと頭が痛くなりそうだ、いや今も十分頭が痛い
「では以上です・・・」
「なるほど。つまりウラム、ギガス、ティスが魔王軍幹部の四天将軍ってわけか。ってあれ?」
その時、素朴な疑問が俺の脳裏に浮かぶ
「何かご不明な点でも?」
「「四」天将軍なんだよな?3人しか居ないぞ?」
「ああ。実はもう一人、震央将軍ミシュケイオスという猫娘が居るのですが」
「ケモミミキタコレ!これでかつる!」
その瞬間!
俺の眼が光って唸った!しかし!!!
「数ヶ月前に近くの町まで出かけたまま行方不明となっています」
「ダムイッ!!」
ダンッ!
俺は両手を地面に打ち付けながら叫ぶ!
おのれ!折角リアルけもみみ娘に会えると思ったのに!!!
「あ~・・・それって探しに行かなくていいのか?」
「まあ一応魔王軍の幹部ですし、大丈夫でしょう」
「いい加減だな・・・まあとりあえず幹部については分かった。あとは兵員、いや社員はどれぐらい居るんだ?」
まあ普通に考えるなら魔王軍と言えばゴブリン、オーク、デーモンの軍勢と言った所だろうか?
仕事の前にどれくらいの数がいるのか把握しておかなければ
「そうですね、では我が魔王軍が誇る闇の軍勢をお見せするとしましょう」
ウラムの言葉と同時に広間の灯りが消え辺り一帯が暗闇に包まれた
「おい、何も見えな・・・」
俺がそう言おうとした瞬間、目の前の暗闇が蠢いた!
闇に同化した何かが居る!
ゴゴゴゴゴゴゴッ!!!
そして目の前のそれが暗闇を飲みこみ始めた
同時に辺りの闇が飲み込まれ視界が開けていく!
そして黒く黒く染まったソレがじょじょに何かの形を作りあげ、そしてソレは現れた!
「ぷるぷるぷる」
・・・・・・
「スライムじゃねーか!!!!!!!!!」
目の前に現れたのはゴブリンでもオークでもなく、ゆるキャラっぽいスライム(7体)だった
しかし、そのスライム達を前に何故かウラムは堂々と言ってみせた
「どうですか?我が闇の軍勢は」
「いやいやいやいや!どうみてもスライムだろコレ!しかも軍勢って7体しかいないぞ!」
「左からスライムABCDEFGです」
「名前も適当だなオイ!!」
その時、ティスが物凄く分かりづらい笑みを浮かべながらボソリと呟く
「自慢の軍勢・・・(ドヤァ)」
「え?これでいいの!?なんでそんなドヤ顔!?」
(どういう事!?俺がおかしいのか!?)
スライムと言えば最弱モンスターだろ!?
混乱する俺にギガスが説明をする
「まあ、魔王殿はあまりこちらの世界の事をご存知ないのでしょう。スライムと言えばこの地上で最強とも言うべきモンスターなのです」
「スライム最強説!?L99まで育ててメタル装備にすりゃそこそこ強いだろうけども!!」
「スライムと言えば、斬っても叩いても燃やしても凍らせても感電させてもほとんどダメージを与えられない無敵ともいうべき耐久力を誇ります」
「全攻撃無効って俺の知ってるスライムと違う!」
「仮に真っ二つに出来たとしても分裂するだけですし。粉微塵にしてもそれぞれの破片が活動を再開、合体して元に戻るだけです」
「何ソレすごい!」
異世界のスライムがそんな究極生命体だったとは
もはや火山の噴火エネルギーで宇宙に追放するぐらいしか倒す手はないのではないだろうか?
「ぷるぷるぷる」
とは言うものの、どっからどうみてもただのゆるキャラにしか見えないのだが・・・
「スライムの優秀さはそれだけではありませんよ」
「まだあるのか?」
ギガスの解説に補足する様にウラムが説明をする
「ええ、スライムは基本的に温厚でティスプリアの指示には忠実に従います」
「ほう」
スライムx7はティスと戯れていた、ペットと戯れる主人という感じに見える
「こちらはスライムの言葉は分かりませんが、こちらの言葉をスライムはある程度理解しているらしくティスプリア以外の者でもそこそこ指示は可能です」
「俺でも指示が出せるって事か」
「ええ。さらに疲労という概念が無い上に、お金を欲しがるという知性もありません」
「ん?」
何か話が怪しい方向に・・・
「つまり食費だけで24時間労働をさせる事が出来るのです!素晴らしいでしょう!?」
「ブラックすぎんだろーが!オマエには血も涙もねーのか!?」
スライム以外の社員が居ないのって魔王軍がブラックすぎるからじゃねーだろうな!?
異世界に労働基準法は無いのか!?
しかし、ある程度覚悟はしてたが・・・
魔王←NEW
幹部x4(内一人は行方不明)
闇の軍勢(スライム7体)
とは・・・
前途多難すぎて倒れそうだ
「ホント・・・どうしろってんだ・・・」
人生のリセットボタンは何処にあるんだろうか
もはやセーブ&ロードで対処できる状況じゃないぞコレ・・・
「セーブもねーけど・・・」