魔王と巨人兵団
:魔王と巨人兵団
と言うわけで、天使査定を受ける事となった魔王軍
とりあえず、いつも通りで良いと言う事だが。いつも通りと言うと・・・
「まずは、事務仕事ですかね」
「じ、事務ですか・・・?」
「ええ、今行ってる仕事の収支を計算したり。新しい事業の企画や見積もりを出したり・・・」
「そ・・・そうなんですか・・・」
(ええーーーー!?なんで魔王が事務仕事なんかやってるっスか!?これも何かのフェイクだったりするんスかね・・・?)
そしてしばらくの間
俺が事務仕事に励むのを横から眺めているのを、フィーリスさんは難しい目をしながら黙って見ていた
その時、ドアをノックする音がした。部屋に入ってきたのは・・・
「魔王様、今月の事業の収支報告書をお持ちしました。っとおや?お客様ですか?」
「ああ、そこに置いといてくれ」
大量の書類を抱えたウラムだった
ウラムは俺のデスクの上に書類を積み重ねる
日に日に高くなっていく書類の山は頼もしくもあり、億劫でもある
「それで、この人は天使査定で来た・・・」
「フィーリス・ミルドヴァルド二級天使です、よろしくお願いします」
フィーリスさんがウラムに挨拶をする
だがウラムは返事をせず、何かボーっとしたような顔でフィーリスさんを見つめ何か呟いている
「ふむ・・・惜しいですね・・・」
「ウラム?」
「え?ああ、すみません何でもありません。よろしくお願いしますフィーリスさん」
そしてフィーリスに軽く微笑みかけた
(・・・っ!な!なんスか!?このイケメン魔族!!天界でも滅多に見ないっスよ!こんな高レベル!!!・・・って!天使が魔族に心奪われるとかどーかしてるっス!気をしっかり持つっス!!!)
唐突に顔を赤くしたフィーリスに、俺は声をかける
「えっと、大丈夫ですか?」
「え!?ハイ!問題ないっス!大丈夫でス!!」
フィーリスさんは焦ったように答える
さっきから思ってたが、~~っスと言うのは口癖なのだろうか?
その時、ウラムが俺に向かって問いかけた
「ところで魔王様。査定と言うのならば、ここでずっと事務仕事を続けているのは問題があるのでは?」
「ん?やっぱりそうか?とは言うものの、この書類を片付けない事にはな・・・」
「それでしたら、こちらの事務仕事は私が引き継ぎましょう。魔王様はフィーリスさんと、他の場所の視察に向かってはいかがです?」
「ん?いいのか?それなら任せようかな」
「はい。それではアリアさんは魔王様に同行してもらえますか?」
「はい!分かりました!」
そして俺はフィーリスさんに向かって声をかける
「そういうわけなんで。別の場所へ移動しようと思うんですけど、大丈夫ですか?」
「え!?あ!はい!了解っス!!!」
という訳で、俺はアリアとフィーリスさんを連れて他の場所の視察に向かう事となった
そして、部屋を出た俺とアリアとフィーリスさんの3人は、魔王城の廊下を歩いていく
「とりあえず、ラボから案内します」
「ラボ・・・ですか?」
その単語に不思議がるフィーリスさんを連れてギガスの私室へ向かう、そして扉を開け中へ案内すると
「な!なんっスか!?ココーーー!!??」
突然、テンションが上がった様子でラボを見渡すフィーリスさん
そこらに転がっている開発中の機械等を、目を輝かせながら見て回っている
「えっと・・・こういうの好きなんですか?」
「ふぇ!?し、失礼しました・・・。自分趣味が機械いじりな物でつい」
天使の趣味が機械いじりとは、天界というのは結構文明が進んでいるのだろうか
(そう言えば、フィーリスさんの服も妙に現代的だ・・・)
フィーリスさんが着ているのは白いレディーススーツにタイトスカート
やや前衛的な意匠が目立つが、現代日本のそれとほとんど同じようなデザインに見える
しかし羽根を出す為なのだろう、大きく開いた背中側がなんというか・・・かなりセクシーな印象を与えている
(あんまりまじまじと眺めるのは止めておこう・・・)
と俺が考えていた、その時・・・
「おや?お客様ですか?魔王殿」
「あ、おとうさん。と知らない人・・・」
この部屋の主であるギガスと、自動車開発について打ち合わせをしていたらしいティスがやってきた
「ああ、この人は天使査定の人で・・・」
俺はそう紹介しようとするが、その時!
俺が言葉を発するより早く、フィーリスさんは大声で叫んだ!
「メカっス!!ロボっス!しかも喋ってるっス!!!自立型のロボットなんですか!?」
そう興奮しながら質問するフィーリスさんに、ギガスが説明する
「残念ながら、これは私の本体が遠隔操縦している端末ですよ。私の本体はマグマの奥におりますので」
「そうなんスか!?じゃあどうやってそんな所から操作してるんスか!?」
「実は・・・私が開発した化学と魔法を合わせた特別な通信方式を使っておりまして・・・」
「ほうほう・・・!!!」
そして、二人は何やら専門的な会話に花を咲かせている
そんな様子を見ながら俺達は呟く
「どうやら気が合ったみたいですね」
「みたいだな」
「なんか楽しそう?知らない人」
しばらくして、一段落着いたのか、満足そうな顔でフィーリスさんが戻ってくる
「はーー・・・堪能したっス・・・まさか辺境の星でこんな凄いサイエンティストに出会えるなんて・・・」
「そうなんですか?」
天界から見ても、ギガスの科学技術は相当高いらしい
しかしサイエンティストはサイエンティストでもマッドサイエンティストに近い気がする、何故なら
俺は数か月前の惨事を思い出しながら言った
「この前は魔王ロボって言う巨大ロボも作ってましたけど」
「きょ!!巨大ロボ!!!???巨大ロボってなんスか!?」
「えーっと大体50メートルくらいの大きさのロボットで」
「す・・・凄いっス!!ギガスさんそんな巨大ロボまで作れるなんて・・・」
どうやらフィーリスさんはギガスと同類の様だ、二人が手を組まない事を祈ろう
しばらくの間、恍惚とした表情を見せていたフィーリスだったが、ハッと正気に戻る
(あれ?でも巨大ロボなんて何に使うんスか?ま・・・まさか・・・!!!)
そしてまたもや、フィーリスは妄想の世界に没入していく・・・
とある街、今その住人達は迫り来る脅威に追い立てられ必死に逃げようとしていた
「おい早く逃げろ!巨人が来るぞ!!」
「けどまだ荷物が!」
「そんな物捨ててけ!命の方が大事だろう!!!」
ズンッ!!!ズンッ!!!
遠くからじょじょに近づいてくる地響き
迫り来る脅威
それは城よりも大きい、鉄で出来た巨人の軍勢だった
街の外壁よりも遥かに大きなそれらはゆっくりと街に向かって迫ってくる
「ククッ・・・」
その巨人のうち一体の上から街を見下ろす魔王ソーマ、そして彼は一言
「なぎ払え」
そう命令する、そして!
カッ!!!
巨人の目が輝くとそこから光の帯が放たれる!
その光の帯は街をサッと撫でたかと思うと・・・
ドオオオオオンッ!!!!!
一瞬にして街を焼き尽くした・・・
そして、業火に包まれた街を巨人の軍勢が踏み潰しながら進んでいき
その後に残った物は、何一つ無かった
(魔王と巨人兵団っス!!!)
フィーリスは真っ青な顔になりながら、更に魔王軍への誤解を深めていく
(巨大ロボの軍勢なんて反則っスよ!そんなの止められる国なんてこの星には無いっス!!!本気で侵攻を開始したら天界の応援無しじゃ対処不可能っスよ!もはや世界が滅ぶかどうかは、魔王の胸先三寸って事っスか!!!???)
ちなみに、当の本人達はというと
「ところで魔王殿、魔王ロボMk-2の開発計画についてなのですが」
「ノゥ!(NO!)」
しかしやはり、そんな会話は耳に入っておらず
フィーリスは更に顔を青くさせていく
(やっぱりこの魔王軍ヤバイっス!ヤバスギルゥゥゥッっス!!!もはやSランクなんてヌルい事を言ってる場合じゃないっス!!!SSランクっス!!!この査定が終わったらすぐに応援要請を出さないと!!!)
そして更に危険視されていく魔王軍
このままでは超危険組織として、天界からマークされる事となるのだが・・・
「それじゃあ、次の場所へ移動しましょうか」
「ヒッ・・・!はいっス・・・!!!」
そんな事になっているとは露知らず、俺は次の仕事場へとフィーリスさんを案内するのだった




