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魔王軍はお金が無い  作者: 三上 渉
第五章:魔王と海と怪獣大決戦
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魔王と浜辺の守護神

:魔王と浜辺の守護神


ギガスからの緊急連絡を受け、俺とウラムは浜辺の方へやってきた


「魔王殿!」


こちらを見つけたギガスが大声で俺を呼ぶ!

俺とウラム以外の幹部はすでに集まっている様だった


「ギガス!確か巨大生物がどーとか言ってたが」

「はい、アレです」


そう言ってギガスは、遠くの海の方を指し示した


「なんだありゃ・・・イカか?」


遠くに見える白い巨大な生物は、真っ直ぐにこちらに向かってきているようだった

目を細める俺にウラムが説明する


「あれはクラーケンですね、縄張りに近づいた船をその巨大な足で絡め取り沈めるという凶悪な海の生物です」


クラーケン、名前は聞いた事がある

そして、ギガスが更に補足する


「どうやらあれはクラーケンの中でもかなり大型の様です、全長は100メートルを超えるかと」

「100!?デカすぎだろ!!つかなんでそんなのがこっちに向かって来るんだ!?」


いきなりの巨大生物襲撃に焦る俺

だが、ウラムは軽く微笑むと冷静に答えた


「さあ?それは分かりかねますが。ですがそう心配する事はありませんよ魔王様」

「いやいや、ちょっとは心配しろ!」

「お忘れですか?このビーチの周辺に張られた結界の事を」

「あ」


そう言えばそうだった

このビーチ周辺は、魔物の侵入を防ぐ結界で守られていたんだった


「並大抵の魔物では、この結界を突破する事は出来ません。見てください、丁度クラーケンが結界にぶつかる所です」


ガンッ!バリバリバリバリッ!!!


こちらに猛スピードで突っ込んできていたクラーケンが突然、何も無い空間にぶつかり

そしてその何も無い空間が光り輝き、クラーケンの体との間に火花を散らした!


「おお!あれが結界か!!!」

「目がチカチカしますにゃー!」


どうやら結界に突っ込んで大ダメージと言った所か、これなら大丈夫そうだ


「いえ!ソーマさん、見てください!!!」

「ん?」


結界に突っ込み火花を散らせていたクラーケンだったが

これに全く怯む事なく、巨大な足を結界に叩きつけていた。そして!


「キュオオオオオンッ!!!」


ガシャーーーン!!!


まるでガラスが割れる様な音を立てて、クラーケンの目の前の結界が破壊された!

そしてクラーケンは結界の隙間を抜けると、さらにこちらに向かって突撃を開始した!


「おいおい!突破されてんじゃねーか!?」

「えーっと・・・どうやら並大抵の魔物ではなかったようですね」


ウラムは引きつった笑みを浮かべながら答えた


(マズイぞ!どうするどうする!?このままあのクラーケンが突っ込んできたら商売どころではない!折角作り上げたこのリゾートビーチが破壊されてしまう!!!)


思わぬトラブルに慌てふためく俺

だがその時、ティスが一歩前に踏み出しながら言った


「大丈夫・・・」

「ティス?何をする気だ?」

「魔物の相手なら私の出番」


そうか!ティスは魔物と会話が可能なんだった!

それならこの事態を穏便に収める事が出来る!


「よし!じゃあ頼んだぞティス!」

「任せて。ウラムお願い」

「飛行ですか?それじゃあ」


そう言って、ウラムとティスは空を飛びクラーケンの方へ向かっていった


「大丈夫でしょうか?」

「分からんが任せるしかない」


そしてティス達がクラーケンの側まで飛んでいくと、クラーケンは動きを止め何やら叫んでいる


「キュオオオオオオオオン!!!」

「何言ってるかさっぱり分からんが、交渉中って所か?」


しばらくして、ティス達がこちらに戻ってきた


「どうだった?ティス」

「んー」


俺の質問に、ティスは難しい顔をした後答える


「何を言ってるのか分からなかった」

「ん?ティスでも言葉が分からない魔物だったって事か?」

「そうじゃないけど」


首を横に振り否定し、その後ティスは説明を始めた


「言葉は分かったけど、何を言ってるのか意味が分からなかった」

「ん?何て言ってたんだ?」

「えーっと・・・」


そしてティスは、クラーケンの言葉を思い出す様にしながらこう言った


「「良いカラダしたネーチャンだな、まずはネーチャンからオレのぶっといピーでピーをピーしてやるぜぐへへ。あの浜辺にも沢山良い女が居るし、片っ端からピーをピーしまくって朝までピー三昧だな。どいつもこいつもピーしまくってやるから覚悟しとけよ~」だって、どういう意味?」


それを聞いた俺は即座に対応を決める


「よし殺そう」

「はいですにゃ、慈悲は無いにゃ」

「この聖剣で17分割にしてやります」


どうやら他の面々も異論は無いらしい、方針は決まった

あの身の程知らずに地獄を見せてやるとしよう






というわけで、クラーケン殲滅作戦の開始だ

話をしている間に、クラーケンは既に浜辺のすぐ側まで近づいて来ていた


「先手必勝ですにゃ!」


ザンッ!!!


ミケが腕を振るうと同時に!魔力の斬撃の様な物が飛んでいった!

それは水面を這う様に飛んでいきクラーケンに襲い掛かる!

クラーケンはそれを防御する様に足の一本で受け止めるが!


ザシュッ!!!


「キュオオオオンッ!!!」


ミケの一撃は見事に、その足を切断し吹き飛ばした!


「ナイスだミケ!」

「どうですか!?ミケも魔王軍幹部の一人なんですから・・・ってあれ!?」


クラーケンは失った足をしばらく見ていたが、すぐに


ズリュリ!!!


切断面から新しい足が生え、そして完全に再生してしまった!その時!俺は叫んだ!


「ッ!!!マズイ!下がれ!ミケ!!!」

「にゃ!!!」


すかさずその場から飛びのくミケ!

クラーケンは別の足でミケを捕まえようとしたが、間一髪ミケは伸びてきた足を回避した!


「ありがとうございますソーマさま!」

「礼なんていい、それより気をつけろ!」


クラーケンの10本の足はそれぞれ別の生き物の様に不規則に動き、こちらを捕えようとしていた!


「間違いない。あの足は・・・エロい事をしようとしてる動きだ!!!」

「エロ!?」


遠くから観戦している客に混ざっていた3人の猫娘が、俺の言葉に合わせて続いた


「あー分かるにゃ。少年漫画ではお約束の触手エロ展開だにゃ」

「あれに捕まったらR18展開になっちまうにゃ、色んな意味ですげー危険だにゃ」

「うにゃー!ミケの初めてをあんなイカにはやれんにゃ!魔王ーーさっさと殺すにゃーー!!!」


その他にも、外野から色んな声援やらひやかしやらが聞こえてきていた


「なんでみんなのんびり観戦してんだよ、一応非常事態のはずなんだが・・・まったく」

「(なんか今さらっととんでもない事を暴露されたにゃ!!!)」

「まあいいんじゃないですか?これも商売の内という事で。お客様に被害が及ばない様、私が防御に回りますので」

「つかお前体良くサボろうとしてんじゃねーだろうな?」

「心配いりませんよソーマさん!!」

「アリア?」

「それなりに手ごわい魔物の様ですが・・・所詮勇者の敵ではありません!見ていてください!!!」


ゴオオオオッ!!!


そう言ってアリアは聖剣を構えると魔力を集中させていく!そして!


「はあっ!」


大きく飛び上がると空中から剣を叩き付ける!


「ジャンプ強斬り!!!」


ドッグオオオオオン!!!


まるで爆撃の様なアリアの斬撃が、クラーケンのみならず周りの海水もことごとく吹っ飛ばし、周辺に雨の様に降らせた!

そしてクルっと回転しながら後ろに飛び、こちらに戻ってきた

俺はその光景を眺めながら、ボソリと呟く


「凄まじい威力だな・・・」

「勇者ですから!でもまあちゃんと手加減してるんですよ」

「手加減?なんであのエロイカ相手に手加減?」

「いえ、あのエロイカはどうでもいいんですけど。本気で撃ち込むと、周辺地域に甚大な被害を与えかねないので」

「ああ、そっちか」


人間災害の名は伊達ではない、と言った所だな


「まあ、手加減したとは言え勇者の一撃です!あのエロイカもひとたまりも・・・」


そうアリアが言おうとした瞬間!


「キュオオオオオオオオン!!!!!」


大きな雄たけびをあげながら、クラーケンが海の中から姿を現した!

あの強烈な一撃を受けてもまだ平気だなんて!!!


「くっ!あの一撃が効いてないなんて!!!アリア!・・・アリア?」


咄嗟にアリアの名を呼ぶが返事がない

俺がアリアの方を向くと、アリアは引きつった笑みを浮かべたまま呟いた


「いえ・・・その・・・すごく手加減しましたからね・・・ええ・・・全然本気じゃなかったですから・・・全然・・・」


うわーー!アリアがなんかすっごく悔しそう!

聖剣を持った手がプルプル震えている!!!

そしてアリアは、キッとクラーケンを睨みつけると叫ぶ!


「こうなれば超必殺惑星両断斬りを使わざるをえない!!!今度こそ一撃で仕留めてやります!!!!!」

「止めろーー!その不穏な名前の必殺技は絶対使うなー!!!」


そんなイデの発動みたいな危険な技を使わせるわけにはいかない!使った瞬間バッドエンドが確定してしまう!


(だが!このままじゃ・・・!)


しかし、並大抵の攻撃ではこのイカを倒す事は出来ない、足止めが精々だ

このエロイカがここまで厄介な相手だったとは、どうする・・・!?






俺が迫りくるクラーケンを撃退する方法を考えていた、その時


「これは期が来たと見るべきですかな」

「ギガス?」


今まで黙ってアリア達の戦闘を見つめていたギガスが、意を決したように告げた


「期が来た?一体何の?」

「このリゾートビーチの守護神を呼び出す時が来たのです」

「守護神!?」


(守護神ってなんだ?精霊とかそーいうアレか?)


そう考える俺だったが、今は緊急事態だ

俺はすぐに決断する


「・・・まあなんでもいいや!アレを倒せるなら守護神でもなんでも呼んでくれ!」

「承知しました、では・・・」


そう言って、ギガスは一息呼吸を付いた後・・・!!!


「来い!!!魔王ロボォォォォォォォォッ!!!!!」


と叫んだ!!!

それと同時に浜辺の中央が割れると地下から巨大な物体!巨大ロボットがその姿を現した!!!


「何あれーーーーーー!!!???」


俺の喉が張り裂けんばかりの大声のツッコミも何処へ吹く風!

ギガスはさらに続けて叫んだ!!!


「魔王ヘッド!!!ボルトッ!!!イーーーーーンッ!!!」


そのギガスの掛け声と共に!何かが魔王ロボに向かって飛んで来た!!!

あれは海の家!?


「にゃーーー!!!ミケの店が飛んでったにゃーーーー!!!」

「ロックにゃ」

「エモいにゃ」

「ふらいあげんにゃ、いえーいえおー」


そして頭部である海の家が合体し!ロボットがポーズを決める!!!


「ビーチの平和と売り上げを守る為ッ!!!魔王ロボ!!!ここに参上ッ!!!!!」


鋼・魔・合・身!!!


浜辺の守護神、魔王ロボが降臨したのだった!!!


「降臨したのだった、じゃねえええええーーーーーー!!!!!」


え?何コレ?どーいう展開?

俺の困惑を他所に、浜辺の最終決戦のカウントダウンは進んでいくのだった!

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