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魔王軍はお金が無い  作者: 三上 渉
第一章:魔王とはじめての異世界
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魔王と四天将軍

:魔王と四天将軍


というわけで

不本意ながら、俺は魔王として働く事になったわけだが


「とりあえず、現在の状況を教えてくれ」

「お金がありません」


俺の言葉に即答するウィズ=ウラム、しかし


「それは分かってる。もっと詳しい状況をだな・・・」


そう俺が聞き返したその時、ふと思いついた


「あれ?お金が無いんだよな?だったら近くの村とか街を襲って奪ってくるってのは駄目なのか?」


普通なら犯罪だがここは異世界で我々は魔王軍である

商売などせずとも、奪ってくるのが一番てっとり早いと思うのだが

しかし、そんな事を言う俺をウィズ=ウラムは信じられない物を見るような目で見ていた


「な・・・!なんと恐ろしい事を平然と仰るのですか!?貴方は悪魔ですか!?」

「いや、どっちかというとお前の方が悪魔だろ。え、駄目なの?」

「駄目に決まっています!そんな事をしたら即ポリスが飛んできますよ!」

「ポリスかよ!!」


国家権力を恐れる魔王軍ってどうなんだよ!

そんなんで世界征服なんかできんのか!?


「えー・・・ポリスってそんなに強いのか?倒しちゃったりは出来ないの?」

「自慢ではありませんが、現在の魔王軍の総力を挙げて戦っても一日ともたないでしょう」


一日って!ポリスつよっ!!いや・・・魔王軍が弱いのか?

本当に自慢にならねーな・・・


「総力挙げて一日もたないってどんだけ・・・。そういえば、お前以外の・・・えっと軍団員?って居ないの?まさかお前一人で魔王軍です、なんてオチじゃないだろうな?」

「魔王様の世界に合わせた呼び方、社員で構いませんよ。もちろんおります、そうですねまずは社員を紹介しておくとしましょうか」


そう言うと、ウィズ=ウラムは右手を上げ指を鳴らしてみせる


パチンッ!


ウラム「いでよ!魔王様の忠実なるしもべ、魔王四天将軍よ!!!」


その声に合わせて突然!炎と水柱が湧き上がった!

そしてそれぞれの中から人影の様な物が現れる!


「轟炎将軍ギガメリウス、ここに」

「霧氷将軍ティスプリア・・・・」


おお!なんかカッコイイっぽいのが出てきた!異世界っぽい感じで非常に良い!

俺はまず炎の中から現れた将軍の方に視線を向ける

ギガメリウスと名乗った将軍は全身が鋼で出来ているような風貌をしていた


ソーマ「ん?」


というより、ぶっちゃけロボットそのものに見えるのだが・・・

例えるなら、某大作宇宙戦争映画の丸い方のロボに似ている

マスコット的なアレだ


「あれ?なんかロボっぽいんだが。この世界の魔族ってこーいう物なのか?」


俺がそう問いかけるとロボットから音声が返ってきた


「いえ、ロボットで合ってますよ」

「えっと?ロボが将軍なのか?」

「いいえ、ここに居るのは私が遠隔操縦で操っている端末の一つです。私の本体はこの城の側にある山、メルヒェンス山の火口の奥深く、マグマの中に居るのです」


それを聞いた俺は感嘆の声を上げ、そして


「おお!なんか炎の将軍っぽい感じだな!でも直接本体が出てこないのか?」


続けてそう問いかけた

俺の問いに対して目の前のロボット、ギガメリウスは答える


「本体は50メートルを超える炎の巨人の姿をしておりまして」

「おお!!」

「周囲の物を無差別に焼き払ってしまう為、地上には出て来れないのです」

「使えねえ!!」


とても強そうな設定なのに残念すぎる!

敵よりも味方に被害を与える巨人とかどう扱えばいいんだ!?

その時、側で俺達の会話を聞いていたウィズ=ウラムが言った


「ギガス・・・ギガメリウスには主に開発等を担当してもらっているのです」

「開発?」

「ええ、ギガメリウスが保有する科学技術はこの世界の技術の数段先を行く技術なのです」

「確かに。遠隔操縦のロボットが作れてしまう程だしな」


よくよく考えれば、魔王城なんて物があるファンタジーな世界にロボットの存在は異質だ

というかそんな科学技術を持ってるくせに商売で負けてるのか、魔族使えなさすぎる

その時ギガメリウスが深々と頭を下げながら言った


「魔王殿も何かアイデアがありましたら私にお申し付け下さい、どんな物でも作ってみせましょう」

「あ、ああ~、よろしく頼む」


ふ~む

もしかしたら日本の機械なんかも作れるかもしれないな、何か商売をする時に頼んでみよう





「で、え~っと。そっちが・・・」


次に俺は水柱の中から現れた将軍の方を見る


「・・・・・・」


角もあるしおそらく魔族、性別は女性だろう

人間の見た目に当てはめると20代くらいに見える

クールビューティーと言った感じだろうか、腰まである銀色のストレートロングが印象的だ。しかし


(さっきから全く喋ってないが、無口なのか?)


外見的にはキツめの美女と言う印象を受けるが、何か雰囲気がやわらかいと言うか・・・威圧的な感じを感じさせない女性だ

その時、黙っていた彼女に代わりウィズ=ウラムが紹介をする


「彼女はティスプリア。我が魔王軍のモンスター達を統率する将軍です」

「モンスターを統率?」

「ええ、モンスターの中には言葉を解さない者も少なくありません。彼女はそういったモンスターとでも意思疎通が可能であり命令を下す事が出来るのです」

「なるほど・・・」


モンスター達を統率する将軍か、結構重要なポジションだ

もし彼女が言うことを聞いてくれなければ、魔王軍のモンスター達の大半に指示が出せなくなるわけだしな


「言うなれば人事部長と言った所でしょうか」

「・・・なんか違う気もするがまあいいか」

「・・・・・・」


俺とウィズ=ウラムが喋っている間も彼女は一言も発しようとしない、ぼんやりと辺りを見ているだけだ

俺は声を潜めるとウラムに質問する


「そもそも彼女、ティスプリアとの意思疎通が難しそうなんだが・・・」

「ティスは人見知りですからね。あまり知らない者とは喋りたがらないようです、魔王様を警戒しているのでは?」


警戒ってなんだよ、そんな不審人物っぽいだろうか俺は傷つくぞ?


「それにしても。なんか見た目は普通の女性って感じなのに幹部の一人なのか」

「いえ、我らは魔族ですからね。見た目と実際の年齢の基準が人間のそれとは異なります」

「言われてみればそうだった。回想シーンが600年前とかになってたしな」

「ええ、ちなみに私は今年で1200歳です」

「と言う事は彼女も20代ぐらいに見えるが実際は何百歳とかだったりするわけか」

「その通りです」


ウラムも見た目だけは若いからな、彼女も実際の年齢とはかけ離れているという事か

うら若い女性に見えて実は・・・


「霧氷将軍ティスプリア。彼女の年齢は3歳です」

「逆かよ!!」


何百歳とかかと思ったらまさかの三歳児とは・・・

なんか威圧感とか無いと思ってたがそういう事か


「ええ、体は大人、頭脳は子供という事ですね」

「そのフレーズは危険だ!止めろ!大きなお友達特攻だぞ!」

「ですのであの体に魔王様が欲情し、中身が子供なのをいいことにお医者さんごっこなどしようものなら即ポリスが飛んできます」

「しねーよ!見た目20代女子とお医者さんごっことかしねーよ!!!俺をどんな変態だと思ってんだよ!?」


確かに見た目だけならなかなかの美女と言えなくも無い

出る所は出て引っ込む所は引っ込む、何かの彫刻の様な完全なバランス

可愛いではなく美しいと呼ぶべき美女だ


(っていやいやいや!ポリス沙汰は駄目だろ!正気に戻れ!)


心の中でそんな葛藤をしていた時、ふと軽く服を引っ張られた


「ん?」


引っ張られた方向を見るとティスが・・・


(って、近い近い近い!)


振り向いた先の目と鼻の先の距離にティスは立っていた、目が真っ直ぐこちらを見つめている


(中身は子供だからなのか?距離感がおかしいぞ!)


「新しい・・・魔王・・・?」

「え?あ、ああそうだよ。これからよろしく頼むな、えーっとティスプリア」

「ティスでいい、みんなそう呼ぶ」

「ああ分かった。よろしくなティス、俺の事もソーマでいいよ」

「よろしくソーマ」


とりあえずは警戒が解けたという事だろうか、俺とティスはお互いに挨拶を交わす

無表情なのは相変わらずだが、性格自体は素直な様に思える

良い子そうで何よりだ


「・・・ポリス沙汰は勘弁してくださいね」

「分かってるっつの!!!」

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