魔王とモフモフ四天王
:魔王とモフモフ四天王
さらに翌日
ビーチは今日も盛況、商売の方も順調である
その日も事務所で書類仕事をしていた俺だが・・・
「・・・!」
ガタッ!
突然勢いよく立ち上がると、息抜きもかねて現場の視察に向かう事にした
(外では皆が水着でキャッキャッウフフしてるのに、事務所で書類仕事なんて気が滅入ってしょうがない・・・!)
という事である
(とりあえず、何処へ向かうか?)
そう考えていた時、ふと昨日の話を思い出した
(そう言えば海の家の方がキャパオーバーしてるんだっけか、ミケはヘルプを頼んだと言っていたが・・・)
とりあえずその辺り順調か、確認に向かう事にしよう
そして、俺は海の家がある方へ歩を進めるのだった
「あ、魔王さま!何かご用ですか?」
海の家へやってきた俺を、ミケが仕事をしながら出迎える
海の家は今日も盛況な様で、ミケはバックヤードで忙しそうに駆け回っていた
「昨日の会議で忙しいって言ってただろ?それで、大丈夫かどうか見に来たんだが」
「えっと・・・。お客さん一杯で大変ですけど、今日は人手を増やしたので大丈夫です!」
「昨日言ってた、レストラン魔王の方で働いてる人だったか?」
「そうです。あ、折角だから紹介しますね」
そう言ってミケは厨房に向かうと、そこで働いていた他の店員に声をかける
そして集まって来たのは・・・
「ウーナシュケルムです」
「リーズタインです」
「マウリハウリです」
ミディアムのストレートで、大人っぽい雰囲気の猫娘ウーナシュケルム
ショートポニーが似合う、活発そうな猫娘リーズタイン
エアリーボブがオシャレな、女子力の高そうな猫娘マウリハウリ
何れも劣らぬケモミミ少女達だった!!!!!
「皆は同郷の友達なんですよ、子供の頃から仲良しで、料理も上手なのでスカウトしたんです」
おお!なんという事だ!!!
ここはまさにこの世の楽園!!!
世界の果てにあるというモフモフパラダイス!!!!!
「モ・・モヒュー・・・モヒュー・・・」
「ソーマさま・・・?と・・・とりあえずみんな仕事に戻って下さいにゃ!」
そして皆、各々の持ち場に戻って行った
俺はアッサリと皆を戻したミケに抗議する!
「そんな!まだ誰一人モフってないのに!」
「モフってって・・・そ!そんなのダメに決まってますにゃ!」
「あれだけのモフモフを前にしてモフらせてくれないなんて!俺に死ねと言うのか!?」
「そこまでなのかにゃ!?」
そして、俺は嘆きながらモフモフへの愛を語り始める
最初は渋い顔をしていたミケだったが、俺のモフモフに対する情熱に心うたれたのであろう
恥ずかしそうな顔をしながらおずおずと言った
「そ、それじゃ・・・代わりにミケをモフっていいですにゃ・・・」
「本当かミケ!?」
俺の言葉にミケは一度だけ、顔を縦に振ってみせた
「それならば早速・・・」
そう言って俺は、ミケをモフり始めた
「ふ・・・ふにゃああああ・・・・・」
耳をフニフニと触りながら、顎の下にも手を伸ばす
両手を使って、様々な場所を同時にモフっていく
俺のモフりテクニックに、恍惚とした表情を浮かべるミケ
そして、そんな俺達の様子を物陰から見つめる三つの影があった
「どう見るにゃ?」
「どーもこーもねーにゃ。完落ちにゃ、デレッデレにゃ、今すぐ押し倒しても合意になるにゃ」
「尻尾をあんなにおったててとんでもないエロ猫にゃ。今にゃ!押し倒すにゃ!!!」
ひたすらモフり続ける俺と大人しくモフられているミケの様子を伺いながら、三人の猫娘はヒソヒソと話していた
「それにしても、あのミケに男が出来るなんてにゃ・・・」
「ミケは男受けする性格だしにゃ。女でもキュンッとする事があるにゃ、ちょーカワイイにゃ」
「おっぱいも大きいにゃ。子供の頃から揉んで育ててきた甲斐があったってものにゃ」
物陰の三人に気付かず、顔を紅潮させ息を荒くしていくミケ
「でもこれで、四人の中でミケが最初の彼氏持ちという事になるけど。二人はどう思うにゃ?」
「おーしっと」
「ふぁくおふにゃ」
ミケは潤んだ目でソーマを見つめていたが、ソーマはそれに気付かずひたすらにミケをモフり続けていた
「でもあの引っ込み思案のミケがあんなに積極的になってるんだし、我々も祝福してやろうにゃ」
「そうだにゃ・・・ミケはこの四人の中で一番下だし、姉として妹の幸せを祝ってやるにゃ」
「姉離れしていくのは寂しいにゃ。でもミケもそれだけ成長したって事にゃ、ミケの将来に乾杯にゃ」
そして、思う存分ミケをモフったソーマは、他の場所の様子を見に行くと言って去っていった
ソーマを見送った後、ミケが仕事に戻ろうとした所で三人と鉢合わせる
「にゃ?みんなどうしたにゃ?」
「なんでもないにゃ。それよりあれがミケの彼氏かにゃ?」
ウナの言葉を聞いたミケは、顔を真っ赤にしながら首をぶんぶん振った
「ち!違うにゃ!ソーマさまはミケの上司で魔王様で!彼氏とかじゃ全然ないにゃ!」
「でも好きなのにゃ?」
「にゃ・・・それは・・・」
ニヤニヤ笑いながら言うリィ、その言葉に詰まるミケにマウが聞いた
「じゃあ、もしあっちから好きだって言ってきたらどうするにゃ?」
「それは・・・おっけーするにゃ・・・」
「「おーー」」
ミケの言葉に盛り上がる三人
だが、それで変なスイッチが入ってしまったのかミケは更に言葉を続ける
「それで結婚式は小さな教会でするにゃ・・・」
「「にゃ?」」
「子供は沢山欲しいにゃ・・・それでみんなで休日に出かけたりして・・・」
「「・・・」」
「十年たっても二十年たっても、ずっとラブラブな夫婦になるにゃ~!って恥ずかしいにゃ!そんな事言わせないで欲しいにゃ~!」
「「イラッ」」
そして数分間、ミケはひたすらのろけ続け
ウナ、リィ、マウは死んだ目でそれを聞き続ける
その後、やっと妄想の世界から戻ってきたミケが、黙って聞いていた三人に呼びかける
「にゃ、みんなどうしたにゃ?」
「なんでもねーにゃ。とっとと仕事に戻るにゃエロ猫」
「にゃ!?」
「そうにゃ、仕事は山積みにゃ。発情するのは男の前だけにするにゃ」
「にゃ!!??」
「今度から合コン組んでもミケは呼んでやらんにゃ。ミケは精々彼氏としっぽりやるがいいにゃ」
「にゃ!!!???」
そして三人はスッと踵を返すと、厨房に戻っていった
「にゃ!?待ってにゃ!みんにゃーー!!!」
そんな三人を、ミケは慌てて追いかけていくのだった




