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魔王軍はお金が無い  作者: 三上 渉
第三章:魔王とモフモフ将軍
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魔王と踏み出す一歩

:魔王と踏み出す一歩


「うにゃああああああ!!!!!」


ドガァンッ!!!ドオォンッ!!!


辺り一帯を無差別に破壊する巨大猫、その暴走を止めるべくアリアが立ち向かっていく!


「はあっ!!」


ザシュッ!


アリアの振るう剣が巨大猫の足を斬りつけた!

そして!剣に斬りつけられた部分が霧の様に霧散していく、だが!


「効いてない!?」


剣に斬られ霧散した部分は、すぐに元の形に戻ってしまう!


「やはり、あれはミケの魔力で作られた魔力の塊の様ですね。生物ではなくただの魔力ですから、ダメージを与えてもすぐに再生してしまいます」

「あの猫の形は虚像という事ですか?」

「ええ、ですが・・・!!!」


ドガアアァァンッ!!!


ウラムとアリアに巨大猫の足が振り下ろされた!!!

だがその一撃を咄嗟にかわす二人!

巨大猫の攻撃が、先程まで二人が立っていた地面を抉る!!!


「あちらからの攻撃は通じるようですね」

「こっちの攻撃は効かない!相手は攻撃し放題!じゃあどうすれば!?」

「・・・勇者さんの攻撃ならあの猫を、全ての魔力をまとめて吹き飛ばせるのでは?」

「でも!それじゃあミケさんを巻き込んでしまいます!!!」


巨大猫の中心部分、胸の奥の部分

うっすらと透けて見える巨大猫の胴体の中央に、ミケの姿があった

どうやらミケは気を失っているらしく、こちらの声も届かない様だ


「さて、どうしたものでしょうか」





ザシュッ!ドガァンッ!!!


二人が戦闘を繰り広げている光景を、俺は先程二人と別れた場所から一歩も動かず見つめていた


「くっ!」


ウラムの言った通りだ、ここは二人に任せて避難するのが正しい、それは理解している

にもかかわらず、俺の足は前にも後ろにも動かせないでいた


「・・・俺に出来る事は無いだと?そんな事は百も承知なんだよ・・・」


この状況でどう行動すべきなのか?それは分かっている

だが、俺の何かがそれに納得出来ないでいる


「わかってんだよ・・・」




何の力も無い、ただの一般人があの戦いに加わって何が出来る?


そう、何も出来ない


どう考えても俺に出来る事なんて無い


だから逃げるのか?いや、それは間違ってなんかいない・・・だが、だが!!!




「くそっ・・・!!」


そして、俺は走り出した!






「ううにゃああああ!!!」


ドグォッ!!!


「くっ!」


巨大猫の攻撃を剣で受け止めるアリア!

アリア達は被害が拡大しない様、その場に踏みとどまり攻撃をしのぎ続けている!


「だああっ!!!」


ギュルンッ!


その時!アリアは攻撃を受け止めた剣を体ごと回転させ反撃の一撃を放つ!


ザシュッ!!!


そのアリアの一撃が巨大猫の胴体を裂き、本体であるミケを露出させる!


「ミケ!目を覚ましなさい!」


すかさず!ウラムが露出した本体に追撃を放つ!だが!


ボシュッ・・・!


ウラムの放った一撃はすぐさま再生した体によって遮られ、ミケには届かなかった!


「やはり、あと一手足りませんか」

「うにゃああああ・・・うにゃあああああ!!!!!」


再生した巨大猫は更なる攻撃を繰り出す!


「くっ!」


それを回避したアリアは、ウラムの側まで一時後退する!


「はあっ・・・はあっ・・・」


大きく呼吸を繰り返すアリア

アリアに目立った傷は無い、だがじょじょに疲労の色が見え始めていた

その様子を見ながら、ウラムは思考する


(このままではジリ貧ですね、致し方ありません)


そして、現状を打破すべくウラムがアリアに告げる


「アリアさん、暫く時間を稼いでください。私の魔法であの猫を本体であるミケごとなぎ払います!」

「え!?でもそうしたらミケさんが!!!」

「・・・なるべくギリギリの威力に抑えますが、生き残れるかどうかはミケ次第と言う所ですね」

「ダメです!!!ミケさんを犠牲にするなんてそんな事・・・!!!」


ウラムの提案に即座に声を出して反論するアリア、しかし・・・


「ではこのままアレを放置しますか?」

「!?」


ドオンッ!!!ドガァンッ!!!


「うにゃああああ!!!!!」


その間も、ミケの魔力が暴走した巨大猫は今だ暴れ続け周辺を破壊し続けていた


「それは・・・」

「・・・ミケも魔王軍幹部の一人です、こういう事態への覚悟も出来ているはず。今の状況で街を救う為にはそれ以外に手段はありません・・・分かってください、アリアさん」

「私は・・・」


(確かにアレを放置するわけにはいかない、このままでは街が壊滅するまで止まらないだろう。ミケさん一人の犠牲で済むというなら・・・それは、仕方の無い事なのかもしれない・・・)


そう考えながら、アリアは聖剣の柄を強く握りしめる。その時!


「貴方は勇者なのでしょう!?」

「!!」


ウラムの言葉に、アリアは決意を固める


(そうだ、私は勇者なのだ、街を救う為に私は・・・!!)


剣を握り締め、アリアが立ち上がろうとした・・・その時!!!


「却下に決まってんだろボケがーーーーーーーッ!!!!!」

「えっ!?」


ソーマの叫び声が、辺り一帯に響き渡った!!!

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