魔王と人類最強存在
:魔王と人類最強存在
というわけで、俺は街で行き倒れていた少女アリアと共に魔王城へ向かっていた
自転車を押しながら歩く俺にアリアが話しかける
「それなんですか?見たことないものですけど」
「ああ、これは自転車って言ってこうやって・・・」
俺は自転車に跨って軽く自転車を漕いでみせる
「おお~~!」
「よっ、こうやって移動する乗り物なんだ」
「すごいです!私も乗ってみたいです!」
「う~ん、慣れないとバランスを取るのが難しいかも」
「そうですか・・・、残念です」
「ああ~・・・、でも数日練習すればすぐ乗れるようになるよ、乗りたいなら練習に付き合うし」
「本当ですか!?是非お願いします!!!」
よっぽど自転車が気に入ったらしく、アリアは自転車を色々な角度から眺めたり触ってみたりしていた
(自転車か・・・大量生産とかしたら売れるかな・・・?)
そんな事を考えながら魔王城へと向かう
異世界には無くて俺にはある現代社会の知識、上手いこと商売に結び付けて行きたい所だ
数時間程歩き、遠くに見えていたメルヒェンス山もかなり近くに見えるようになっていた
行きは自転車だったからどうにかなっていたが、歩きだとやっぱりかなり時間がかかるようだ
「あのメルヒェンス山の麓に魔王城があるんだ」
「そうですか、ようやく魔王城にたどり着くんですね・・・」
疲れた・・・というわけではないようだ
先程までの明るい様子ではなく、何か考え込むような真面目な表情で魔王城のある方角を見ている
そういえばアリアが魔王城へ向かう理由をまだ聞いていなかったな、もしかしたら何か深い事情でもあるのだろうか?
「そういえばアリアは・・・」
そう話を切り出そうとしたその時・・・!!
デスタイガー「グオオオオオッ!!」
キリングビートル「キシャー!!」
ジェノサイドシザー「ブロロロロッ!!」
「魔物!?ってしまった!!!」
そうだ自転車を降りていたんだった!
魔王城の近くという事もありこの辺りのモンスターは特に強力だ!!
アリアを連れて逃げないと!!!
「アリア!!逃げっ・・・!!!」
「大丈夫ですよ、ソーマさん」
そう言ってアリアは俺を守るように魔物との間に立ちはだかる!
そして構えると、魔物の群れへと向かって突撃した!
「はああああああっ!!!」
「ブロロロロッ!!」
ジェノサイドシザーがその巨大な鋏をアリアに向かって叩きつけようとする!!!
だが、そのまさに一瞬の間、鋏が振り下ろされるまでの間にそれはすでに放たれていた
「小パンチ!!!」
アリアの小パンチを食らったジェノサイドシザーは、漫画キャラのように遠くの空に吹っ飛んで行き星になった・・・
(おや?)
一瞬何が起こったのか分からず、間の抜けた顔で立ち尽くす俺
その間にアリアは、すぐさま残りの魔物にも攻撃を仕掛けていた
「小足!!!レバー前中P!!!」
残った魔物もアリアの攻撃を食らって星になっていく、何コレ?アリア無双?
次々と星になっていく凶悪モンスターの群れを見ながら、俺はここに至りとてつもなく嫌な予感を感じた
あれー・・・?もしかしてこれって・・・
「ふう、もう大丈夫ですよソーマさん!」
「ああ・・・ありがとうアリア・・・、アリアって滅茶苦茶強いんだな・・・」
「ええっと・・・その、それほどでも~・・・なんて」
「ところでそのアリアさん?ご職業は何を・・・?」
「職業ですか?それはもちろん・・・!」
アリアは腰に下げた剣を高く掲げると言い放った
「勇者です!勇者アリアです!!!」
(やっぱりなああああああああああ!!!!!)
急転直下!!!
何故この世界ではこうも簡単に命の危機というものが訪れるのだろうか!?
こうして、最強の勇者と最弱の魔王が出会ってしまった
(俺は生き延びる事が出来るのだろうか!!??)




