魔神王と砕かれた正義
:魔神王と砕かれた正義
ジョシュアが立ち去るのを確認した俺とフィーリスは、急いでアリア達の元へ戻る!
「あそこっス!魔王さん!」
「アリア!ラグナ!」
そこで行われていたのは激しい剣撃!
達人同士の一歩も引かない剣の打ち合いが繰り広げられていた!
「はあああっ!!!」
ラグナがその手に持った剣をウラムに叩きつけ、ウラムはその手の剣で防御する!
ギイィィンッ!!!
「フッ!!!」
すかさず、2撃目、3撃目!
流れるように連撃を繰り出すラグナ、だが!
「クッ!」
「どうしましたラグナ?剣でなら勝てると思っていたのですか?」
ウラムの防御は鉄壁!
ラグナが次の一撃を放つのとウラムが防御に入るまでのタイムラグはほぼゼロ!
その動きは未来を予測しているのではないかと言うぐらいに速い!
ギィンッ!!!ガキィンッ!!!
どう見ても攻勢なのはラグナになのにもかかわらず、攻撃をしているはずのラグナの方がじりじりと後ろに後退させられていく!
「サボリ魔のッ・・・・くせにっ!!!」
「そのせいで昔怒られてしまいましたからね、少々剣を学び直しました。ただ少し我流が混ざってしまいましたが・・・ッ!」
ブンッ!!!
今度はウラムが仕掛ける!
剣閃の速度はラグナとほぼ互角!
「ぐうっ!!!」
だが重さは段違い!剣を受け止めるラグナの顔が歪む!
さらに追撃の構えに入るウラム!だがその時!
「やらせません!!!」
「おっと!」
横からの一撃!ウラムは咄嗟にバックステップでかわし間合いを取る!
「ナイスフォロー、アリアちゃん。二人で仕掛けるわよ!」
「はいっ!」
そして今度は、ラグナとアリアが同時攻撃を仕掛ける!
ギインッ!ギィィィンッ!!!
「くっ!!!急造のコンビネーションにしてはやりますねッ・・・!!!」
慣れない同時攻撃など逆に互いを動きづらくするだけのものだ
だがアリアがアタッカーとして自由に行動し、ラグナは徹底してそれに合わせフォローする形でコンビネーションを成立させている!
これはラグナの高い連携技術があるからこその戦い方だ!
「アンタに教えたのは個人での戦闘技術だけよ、集団戦闘の技術は教えてなかったでしょ?アンタいつもサボってたものね」
「ええ、まあ・・・必要になるとも思っていませんでしたので」
この同時攻撃にさすがのウラムも押されていく!
「はあああああっ!!!」
「ちいっ!!!」
ガキィンッ!!!
振り下ろされたアリアの一撃を捌くウラム!しかしその瞬間!
「隙あり!!!」
がら空きになったウラムの胴にラグナの剣が走る!だが!
ドンッ!!!
「ッ!!!」
突然ウラムから放たれたその一撃を咄嗟に防御するラグナ!
だがその衝撃で後方に大きく吹き飛ばされる!
「・・・さすがに貴方達二人を相手に剣一本では厳しいので、魔法も使わせてもらいますよ」
ラグナを吹き飛ばしたのはウラムが得意とする風の魔法だった!
そしてウラムは続いて魔力を集中させる!
「螺旋連射!」
ドガガガガガッ!!!
次々と連続発射される風の弾丸!正に弾丸の雨という表現が相応しい!
「ディバインシールド!」
アリアはそれを障壁を展開させて防御する!しかし!
「いつまで耐えられるか、試してみるのも悪くありませんね」
「クッ・・・!」
ドガガガガガッ!!!
ウラムが放つ弾丸の雨は休むことなく降り続ける!
その激しい攻撃にアリアはその場を一歩も動けず耐え続けていた!だがその瞬間!
「もらったっ!!!」
いつの間にか回り込んでいたラグナがウラムに向かって奇襲を仕掛ける!しかし!
「ッ!!!」
ラグナが踏み込んだ瞬間!ウラムがグルリとラグナの方を振り返った!
「それは二度目ですよ、ラグナ」
ブンッ!!!
そしてウラムが剣を横薙ぎにする!
「ラグナさんッ!!!」
その一撃はラグナの胴体を完全に捉え、その体を両断した!
真っ二つになるラグナの体、だが!
スゥーッ・・・
その体はそのまま煙の様に消え失せた!
「幻覚?いや・・・これは・・・」
そう言って辺りを見渡すウラム、そして僅かに周辺の空間が歪んでいる事に気づく
「透明なドーム上の空間の中・・・光を屈折させて虚像を私の目に映し出している?これでは魔法耐性も役に立ちませんね。戦闘中に仕込んでいましたかティス」
そのウラムの声に答える様に、結界の中に声が反響する
「そう、ここはもう私の結界の中。次の攻撃はかわせるウラム?」
その時、空間が歪むとウラムの目の前に5人のティスが現れた!
「古典的だけど分身の術、本体はどれでしょう?」
その言葉と共に!5人のティスが同時に攻撃を仕掛ける!
(ティス・・・!)
(うん、分かってるラグナ)
そして5つの剣閃がウラムを斬り裂こうとした、その瞬間!
「そうですね、答えは・・・全て偽物です!」
そう言ってウラムは5人のティスではなく、何もない空間目掛けて攻撃を繰り出した!
ガアアンッ!!!
「うあっ!!!」
その瞬間ティスの結界が破れ、ウラムの一撃を食らって吹き飛ぶティスの姿が現れる!
「魔法耐性の高い相手にも通用するのは良いですが、視覚にしか効果がないのは減点ですね。相手を捉える方法は視覚以外にも沢山あります。一つ勉強になりましたねティス」
そう笑みを浮かべたまま言うウラム、しかし!
「問題無い・・・想定内・・・!ウラムならこの程度の術、破ってくるのは分かってた・・・だから!!!」
「何・・・?ッ!!!」
その気配に感付き咄嗟に防御態勢に入るウラム!
「本命はこっち・・・!」
それと同時に!
「はあああああああああっ!!!!!」
姿を隠していたもう一人!
アリアの渾身の一撃が振るわれた!そして!
ギイイイイィィィィンッ!!!!!
「クッ!!!」
その強烈な一撃に!ウラムの手から剣が弾き飛ばされた!!!
(チャンスッ!!!武器を失い体勢も崩れ完全な無防備!今しかない!!!)
そしてアリアは魔力を聖剣に集中させると最大の一撃を放つ!!!
「ディバインスラーーーーーッ・・・!!!!!」
だがその瞬間!
今正にトドメの一撃を放とうとするアリアの姿を見たラグナが叫んだ!!!
「ッ!!!!!駄目ッ!!!!!避けて!!!!!」
「えっ!?」
その言葉に従い咄嗟に身を引くアリア!その時!
ゴオッ!!!
カウンターで放たれたウラムの拳をアリアは咄嗟に剣で受け止める!だが!
ギュイィィィィィィィンッ!!!
「これは!!!まさか!!!」
ウラムの拳が纏っていた魔力の渦!
アリアの聖剣の刀身に回転しながら突き刺さっている魔法の一撃!
「ええ、「螺旋」ですよ。これで仕留めるつもりでしたが、この手はラグナにはもう見せたんでしたね、迂闊でした」
そう、それはウラムの切り札、究極魔法「ウィズ=ウラムの螺旋」!
ウラムはそれを自らの拳に纏わせ放ったのだ!
まともに受ければ死を免れない必殺の一撃!
あのまま突っ込んでいれば、アリアは確実にその一撃を受ける事となっていただろう!
「・・・ですが」
「ッ!!!」
ギュオンッ!!!
ウラムの拳から放たれた「螺旋」の衝撃に吹き飛ばされるアリア!
「螺旋」は下から上へ上昇する様に放たれたせいで空の彼方へと消えていく!その時・・・!
ドスッ・・・!
「えっ・・・?」
折れた刀身が地面に突き刺さった・・・!
「私の「螺旋」は全てを穿ちます。貴方の聖剣とて例外ではありません」
ウラムの必殺の一撃は、アリアの聖剣を砕いたのだった・・・!
アリアが手に持っていた聖剣、だがその刀身は螺旋の一撃により砕かれてしまっていた!
その光景に呆然とした表情を見せるアリア・・・
(すごい!これが聖剣!?カッコイイ!!!)
(そうだろう?これは初代勇者であるアルゼア様の代からずーっと受け継がれてきた、伝説の聖剣なんだ)
(私も持ってみたい!!!)
(アリスはまだ小さいし、危ないから駄目だな)
(えー!!!じゃあいつになったら触らせてくれる!?)
(そうだな・・・アリスが立派な勇者になったら、この聖剣を持たせてあげよう)
一瞬、アリアの脳裏に浮かんだ子供の頃の思い出。だが・・・
「聖剣が・・・代々勇者の家系に伝えられてきた、聖剣グランドリヴァイブが・・・」
その聖剣は刀身を折られ、砕けてしまっていた・・・!
呆然とした表情のままその場に座り込むアリア
そしてその目の前でウラムはアリアを見下ろしている
「マズイ!!!アリア!!!」
俺は咄嗟に大声でアリアに呼びかける!
「あ・・・ああ・・・」
だがアリアはその場から動かず呆然とした表情で俯いたままだ・・・
剣と同時に心を折られてしまったアリアを見下ろしながら、ウラムが呟く
「ここまでのようですね」
そしてウラムは右手に魔力を集中させ「螺旋」を作り始める!
だがやはり、その絶体絶命な状況にもアリアは反応を見せず座り込んだままだ!
「・・・ではさようなら、勇者の末裔」
そして座り込むアリアに向かって「螺旋」を放った!その瞬間!
ドンッ!!!
横から飛び出てきたその影はアリアを突き飛ばし、代わりにウラムの「螺旋」をその身で受けた!
ズシュッ!!!
その身体に大穴を穿たれ倒れる影
そして、それを見たウラムは振り返る事なく言った
「・・・何故邪魔をしたのですか?ギガス」
そう、アリアを突き飛ばし破壊されたのはギガスの端末
そしてもう一体、すでに同じ端末がウラムの背後に立っていた。そしてギガスは叫ぶ!
「魔王殿!!!アリアさんを連れて退避を!!!」
「ギガス!だが!」
「今のままではウラム殿には勝てません!一旦引いて態勢を立て直して下さい!」
「・・・分かった!頼む!ギガス!」
そう叫ぶと俺はアリアの元へ駆け寄り、フィーリスも俺に続いてアリアに駆け寄った
「自分も手伝うっス!」
そして俺とフィーリスは呆然とするアリアを無理矢理立たせ、引っ張りながら戦場から離脱する!その時・・・
「ん・・・?あれは・・・?」
俺の視界にとても不可解な物が映っていた、思わず考え込む俺。しかし
「何やってるっスか!?早く離脱するっスよ!」
「あ、ああ!」
フィーリスの掛け声で俺は正気に戻ると、その場から離れる
その時、ウラム達と距離を置いたまま動こうとしないティス、いやラグナの姿が見え俺は叫んだ
「ラグナお前も!」
「悪いけどそっちは任せるわソーマくん、私もここに残るから」
「・・・任せた!」
その間、無言で対峙するウラムとギガス
そして、俺達の離脱を確認してからウラムは言う
「・・・まさか貴方が裏切るとは思いませんでした。貴方は私の唯一の同士だと思っていたのですが」
そう言うウラムに対して、ギガスは至って冷静に答える
「いえ、私は裏切ってなどおりませんウラム様。今この瞬間も私は貴方を唯一の主だと認め、忠義を尽くしております」
「ほう?では何故先程邪魔を?」
「それは、ウラム様が「奇跡」を望まれるからです」
そしてギガスは、落ち着いた声でウラムに言った
「あの方、魔王殿は奇跡を起こす特別な存在。ですが、あの方一人で奇跡を起こせるわけではありません。魔王殿と共に闘い、互いに背中を預けられる仲間の存在があってこそ奇跡は起こるのです」
「仲間ですか?」
「はい。アリア殿、ティス殿、ラグナ殿、ミケ殿。そして私とウラム殿もです」
「・・・そうかもしれませんね」
「ええ、ですからウラム様が奇跡を望まれるのであれば。私は魔王殿を助ける存在でなければならない」
その言葉を聞いたウラムはフッと笑みを浮かべる
「なるほど・・・確かにその通りです。ありがとうございますギガス。ですが、その様な端末で私の相手をするつもりですか?」
「まさか、この様なオモチャではウラム殿の相手など務まりません。ですので・・・」
キィィィィィィンッ・・・!!!
その時、遥か遠くから飛行し近づいてきていたソレが!ウラムの目の前に現れた!
ドオオオオオオオオオンッ!!!
凄まじい轟音を響かせ着地する超巨大な物体!
50M程の超巨大な鋼の塊、それは魔王ロボだった!
しかし、それを見たウラムは怪訝そうな表情でギガスに言う
「・・・確かにその端末よりはマシでしょうが、こんな大きいだけの機械で私に勝てるとでも?」
「いえ、これはまだ半分。本番はこれからです!」
ガシャンッ!!!
そう言うとギガスの端末のボディが展開され、ある装置が起動する!
「開け!次元の門よ!!!」
ゴゴゴゴゴッッッッッ!!!
そうギガスが叫ぶと同時に空間に巨大な穴が現れる!
「これは!空間転移装置!」
「はい。天界との戦いの際、残骸を回収し使用可能にしておきました。そして!」
空間に穿たれた巨大な穴!
そこから炎に包まれた巨大な腕が!身体が!這い出るように現れる!
それは炎の巨人!豪炎将軍ギガメリウスの本体!
「来い!轟炎合体!!!」
ギガスの合図と共に魔王ロボが分離しバラバラになると、ギガスの本体を覆うようにしてまた組みあがっていく!
ガシィィィィィンッ!!!!!
そして!完成したそれが咆哮を上げる!!!
「オオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!」
巨大な咆哮と共に、鋼の鎧を身にまとった巨人が戦場に降臨した!!!
「・・・成程、ビーチで見せた魔王ロボ・・・それからサッカー大会の時、スライムの為に作ったパワードスーツ・・・。貴方の研究は全て、これを作り出す為でしたか」
「ええ、私がマグマの外でも自由に行動する為の鎧、それがこれです。さしずめ「轟炎ロボ・ギガメリウス」と言った所ですか」
「・・・そのセンスは私には分かりませんが、相手に取って不足は無いようですね」
そう言うとウラムは空中に浮かび上がり、鋼の巨人と対峙する!
「では行きますウラム殿!!!」
「来い!!!「元魔王軍幹部筆頭」!!!轟炎将軍ギガメリウス!!!」
ゴオオオオオオッッッッッ!!!!!
そして周囲の古戦場跡がギガスの放つ火炎により包まれる!
圧倒的な魔力を持つ魔神王ウラムと、圧倒的な力を誇る轟炎将軍ギガメリウスの戦いが始まった!




