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魔王軍はお金が無い  作者: 三上 渉
完結編:LORD of EVIL
133/145

魔王と乱入者

:魔王と乱入者


その後、順調にトーナメントを勝ち上がっていった俺達魔王軍・・・


「さあ!長かったトーナメントもいよいよ最後の試合!間もなく決勝戦が始まります!!!」


そしてあっという間に、決勝戦の日を迎えていた


ワアアアアアッ!!!


実況の声に湧き上がる観客席、俺達は入場ゲートの内側でその声を聞いていた


「よーし!いよいよ決勝だ!油断せず行くぞ!!!」

「「おーー!!!」」


そして、実況が入場の合図を告げる


「では!まずはここまで圧倒的な力で勝ち進んできたチーム「魔王軍」の入場です!!!」


その言葉と共に戦闘フィールドに向かう俺達を、先程よりも激しい歓声が迎える!


「ソーマさまー!!!」

「あと一勝で3000万にゃー!」


そして続いて、実況が俺達の対戦相手の名を呼び上げた!


「対するは!こちらもここまで相手チームを全く寄せ付けず勝ち上がってきた、東の王国カサドリアの伝説の聖騎士団!!!チーム「白銀聖騎士団」の入場です!!!」


その声に俺達の時と負けない程の歓声が上がる、だが・・・


ザワザワ・・・


俺達の対戦相手の「白銀聖騎士団」とやらは一向に姿を見せない


「・・・おや?何かトラブルでしょうか?少々お待ち下さい」


と実況が告げた、その瞬間!


ダンッ!!!ダンッ!!!


突然俺達に向かって放たれた銃弾!


「・・・ッ!!!ディバインシールド!!!」

「なっ!?」


ギィンッ!!!


アリアが咄嗟に防御魔法を使い攻撃を防ぐ!

そして瞬時に全員が警戒態勢に入った!


「奇襲・・・?アリなの?」

「間違いなくルール違反でしょう。ですがこれは「白銀聖騎士団」の攻撃ではありません」

「じゃあ一体誰が!?」


突然の奇襲攻撃に辺りを見渡す俺達、そして!


「皆さんあそこです!!!」


アリアの目が捉えたのは上空に浮かんでいる六枚羽根の天使!


「ジョシュア先輩!?」


驚きの声を上げるフィーリス!

そう、そこに居たのは。俺達魔王軍を潰す為ロードガイウスの命令を受け行動していた上級天使、ジョシュア・レドヴァインだった!

ボロ布を身にまとい、白かった羽根も汚れて灰色になってしまっているが

その眼だけはギラギラとした輝きを残しており、以前よりも凶暴さを増している様に見える


「こ!これは一体何事だーーー!!!???」


その状況に実況も困惑の声を上げる、そして


「・・・たった今情報が入りました!!!なんと「白銀騎士団」は入場する前に何者かの攻撃により戦闘不能となっていたとの事です!!!」


その言葉に、俺はジョシュアの方を向きながら言った


「誰がやったのか・・・?なんて聞くまでもないな」

「ジョシュア先輩・・・確か天界の病院で集中治療を受けていたって話だったっス」

「抜け出してこの星に来てたって事か、目的は・・・それも聞くまでもないな」


そしてジョシュアがニヤリと口を歪めると叫ぶ!


「クックックッ・・・ハッハッハッ!!!ついにこの時が来た!!!テメエ等に復讐するこの時がなぁ!!!」

「まあ、そんな所だと思ったよ」

「魔王・・・そして勇者!!!お前らを倒して俺は・・・!!!」


そうジョシュアが続けようとした、その瞬間!!!


「これは試合じゃないんでしょ?なら殺しても問題ないわよね?」

「ラグナ!?」


突然!ジョシュアの背後に現れたラグナ!そして!


ブンッ!!!


背後からジョシュアに振り下ろされる剣!


「ッ!!!」


だが!ジョシュアは咄嗟にこの一撃をかわす!!!


「テメエ!!!」

「久しぶりね羽根付き、まさか私の前にもう一度姿を見せるなんて。いつぞやの件、忘れてないわよね?」


そう静かな声で言うラグナ、だがその周囲には溢れんばかりの殺気が漂っている


「たかだか雑魚魔族風情が!!!邪魔だ!!!」

「どいつもこいつも・・・この氷獄将軍ラグナティスを雑魚呼ばわり・・・アンタ死んだわ」


ギラッとラグナの眼が光ると同時に氷の剣が精製される!


「やってみろ!!!雑魚が!!!」


そして戦闘を開始するラグナとジョシュア!


「おーーーっと!!!なんと魔王軍と謎の乱入者が戦闘を開始!!!セレンディア一武道会決勝は予想外の展開を迎えたーーー!!!」


ワアアアアアッ!!!


観客席からも歓声があがる!

どうやらこれも試合の一部だと思われている様だ、当の本人達は殺す気満々なのだが・・・


「私も加勢します!」


その時、剣を構えながらアリアが言う

しかし飛び出そうとするアリアに対し、ギガスが落ち着いたそれを制止する


「いえ、その心配には及びませんよアリア殿。ああ見えてラグナ殿は元魔王軍でもトップクラスの実力者。上級天使如きに後れを取る事はありません」


ギィンッ!!!ガキィンッ!!!


その言葉の通り、ラグナはジョシュアを圧倒!


「このっ!!!クソが!!!」

「銃は剣より強いんじゃなかったの?それともアンタが弱いだけかしら?」


ジョシュアの銃撃を紙一重で回避し、最小限の動きで間合いを詰めていく

それは正に、剣の達人と言った動きだ!


「もらった!!!」

「ッ!!!」


ブオンッ!!!


そして間合いに入ったラグナは上段から思い切り剣を振り下ろす!だがその時!


「いえ!ジョシュア先輩を甘くみちゃダメっス!!!」


ガギィンッ!!!


そのラグナの一刀をジョシュアは両手に持っていた拳銃を交差させ受け止める!


「なっ!?コイツッ!!!」


渾身の一撃を防御され驚きの表情を見せるラグナ!


「俺をナメるなぁあああああ!!!」


ブンッ・・・!


ジョシュアが叫ぶと同時に、ジョシュアの持っていた拳銃が変形し魔力の刀身を形成する!

そしてラグナに向けて二刀を同時に振りかぶると斬撃を叩き込む!


ガキィンッ!!!


「くっ!!!」


ラグナはその攻撃を剣で受け止めるが、その衝撃で吹き飛ばされる!


「なっ!?ラグナ殿が!!」


その様子に驚く俺達にフィーリスが叫ぶ!


「上級天使ジョシュア・レドヴァインは、戦闘能力だけで言えばセラフに匹敵する程の実力の持ち主っス!攻撃的すぎる性格のせいで不遇の扱いを受けていたものの、それでもセラフに一番近い天使とさえ呼ばれていた程っス!!!」


そのフィーリスの言葉を聞きながらラグナが言う


「成程、イレギュラーな天使って事ね。セラフの手下に甘んじながら、いつか成り上がる機会を伺っていた。けど私達に敗北して完全に失脚したって所かしら?」

「ああその通りだ。だがそんな事はもうどうでもいい!テメエらを倒し屈辱を晴らす!今の俺にとってはそれが全てだ!!!」

「ジョシュア先輩・・・」


戦いに取りつかれた様に剣を振るうジョシュアを、悲しげに見つめるフィーリス


「ま、アンタの都合なんて知ったことじゃないわ。無残に無意味に、虫けらの様に死になさい!」

「死ぬのはテメエらだ!!!」


そして互いが次の攻撃を仕掛けようとした、その瞬間!!!


ゴオオオオオオオオッ!!!!!


突然上空に巨大な歪みの様な物が発生した!

それは強力な魔力による物で、その歪みが空間に穴を開けていく!


「何!?」

「なんだと!?」


ラグナもジョシュアもその異常事態に間合いを離すと、戦闘を中断し上空のそれを警戒する!


「何だアレは!?一体何が起こってるんだ!?」

「恐らくアレは空間転移かと思われます魔王殿!何者かがこの空間に転移してくる予兆です!」

「でも!転移装置もなしで空間転移なんて聞いた事無いっスよ!」


そして空間に穿たれた穴からその男が姿を見せる、その穴から現れたのは!


「どうやら、転移してくるタイミングはバッチリだったようですね」

「ウラム!?」


そう、なんと次元の穴から現れたのはウラムだった!






セレンディア一武道会決勝に突然乱入してきたジョシュア

そしてその戦闘中、突然空間転移で現れたウラム。その時、実況が叫んだ!


「おおーーーっと!!!またもや乱入者かーーー!!??もう何もかもが予想外!!!これは三つ巴の戦いが展開されるのでしょうか!!??」


その時、その声を聞いたウラムはゆっくりと観客席の方へ目を向ける。そして・・・


「ええまあ、戦いを始めるつもりではありますよ。ですが・・・」


その時!ウラムの目がかつてない程に冷たい輝きを放った!


「私はこの戦いを見世物にする気はありません。どうぞお引取りを」


次の瞬間!


ドンッ!!!


ウラムは右手をかざすと観客席に向かって魔法を放った!


「え?」


自分達に向かってくる魔力の塊に唖然とした声を上げる観客達、そして!


ドオオオオオオオンッ!!!


ウラムが放った魔法は観客席近くのモニターを破壊し、その柱をなぎ倒した!


「うああああああああああ!!!!!」


そして破壊された大型モニターが観客達の頭上に迫る!その瞬間!


「アースウォール!!!」


ドガガガガガッ!!!


間一髪!ミケが展開した土の壁が観客達を守った!


「ミケ!」

「大丈夫にゃ!それよりみんにゃは他の人達の避難を!」

「分かったにゃ!みんにゃ!逃げるにゃ!」

「慌てず避難するにゃ!こっちにゃー!」


ウナ達の避難誘導に従い逃げていく観客達!


「なっ!?ウラムお前!!!」


そう叫ぶ俺に向かって、ウラムは先程の冷たい視線を向けたまま言った


「もし、私が何かに操られているだとか、これが何かの間違いだと考えているのならば、今すぐその考えを改めて下さい。でなければ、その代償は貴方の命で支払っていただく事となります魔王様」


そして・・・!


「私は本気です」


そう冷たい声で告げた・・・!


「クックックッ・・・ハッハッハッハッハッ!!!」


その時、ジョシュアがその顔を歪ませると大声で笑いながら言った!


「見つけたぞ!!!お前だ!ロードガイウスさえ倒したお前を倒せば!俺の力を全世界に知らしめる事が出来る!!!俺の力を認めさせる事が出来る!!!」


ウラムの姿を目にしながら、そう歓喜の声を上げるジョシュア

その声にウラムは振り返りジョシュアの方に視線を向けた。だが・・・


「・・・?」


ウラムは首を傾げ不思議そうな顔をする。そして


「えっと・・・どちら様でしたか?」


そう、何の感情も持たない声で言った


「なっ!?」


その言葉に愕然とするジョシュアに向かって、ウラムは続けて・・・


「申し訳ありませんが、今私は魔王様と話している最中なので。関係の無い方はお引取りを」


そう冷静に告げると、スッとジョシュアから視線を逸らす


「俺の事を・・・覚えてもいないだと・・・」


そう呟きながら、肩を震わせるジョシュア・・・!


「ナメやがって・・・ナメやがって・・・クソが・・・クソが・・・クソがクソがクソがクソがクソがああああああ!!!!!」


ゴオッ!!!


その瞬間!ジョシュアは一気に魔力を解放させ!殺意の籠った眼差しをウラムに向ける!!!


「死ねええええええええええ!!!!!」


そして!ジョシュアはウラムに向かって突撃していく!次の瞬間!!!


ザシュッ!!!


ジョシュアの一撃がウラムの体を貫通した!!!


「殺った!!!!」


ニヤリと笑いながらそう叫ぶジョシュア!しかし!


「・・・はぁ」

「なっ!?効いてないだと!?」


魔力の刀身が体に突き刺さったままウラムはジョシュアの方を振りむく!

ダメージどころか痛みすら感じていないのではないかという様子、そして!


「ですから・・・貴方・・・」

「ッ!!!!!」


ウラムのその余りにも恐ろしい眼光にジョシュアの体がすくむ!

これまで幾多の戦いを経験してきた上級天使の精神が、一瞬で恐怖に飲み込まれた!次の瞬間!


「・・・邪魔です」


ドグオッッッッッッッッ!!!!!!


「があっっっっっ!!!!!」


ジョシュアの胴体にウラムが放った拳が突き刺さった!

その一撃でジョシュアは一瞬で遥か遠くまで吹っ飛んでいくと・・・!


ドオオオオオオオオンッ!!!!!


大岩に激突した!!!

愕然とした表情のままジョシュアは呟く


「馬鹿な・・・強すぎる・・・。こんなバケモノ・・・勝てるわけがない・・・」


次の瞬間ジョシュアは口から血を吐くと、その場に崩れ落ちた・・・!


「ジョシュア先輩が一撃で・・・!?」


信じられないと言った表情でフィーリスが言う


「さて・・・」


だが崩れ落ちたジョシュアに対し、ウラムは何事もなかったかの様に背を向け

そして、俺に向かって告げた


「では、最後の戦いを始めましょう魔王様。今一度、私に奇跡を見せて下さい。この私を倒す程の奇跡を」

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