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魔王軍はお金が無い  作者: 三上 渉
最終章:魔王と星が降る日
124/145

魔王と空を走って貴方の元へ

:魔王と空を走って貴方の元へ


「魔王様は、ロケットに乗ってメギドへと向かいました。そしてもう二度と、戻ってきません」


戦いが終わった後、ウラムは皆に向かって静かな声で告げた


「え・・・?もう戻って来ないって・・・どういう事ですか?ウラムさん」


何を言っているのか分からないと言う表情でウラムに問いかけるミケ

その言葉に、ウラムはゆっくりと冷静に答える


「ロケットの発射直前。敵の攻撃により、ロケットには不具合が起こっていました」

「不具合?でも、確かそれをなんとかする為に、ソーマさまがロケットへ向かったはずじゃ・・・」

「そうです。あの時ロケットに起こっていたのは、通信系のトラブルでした」


その時、何かに気付いた様にギガスが言った


「通信系のトラブル・・・それは!」

「ええ、この作戦の失敗を意味します」


そして、ギガスがウラムの言葉を補足する様に説明する


「この作戦はロケットを打ち上げ、魔力爆弾によりメギドを破壊する作戦でした。ですがその為には最適なポイントに打ち込む事ともう一つ、「最適なタイミングで起爆させる」必要がありました。そしてその為には、発射時の誤差を計算に入れた上で最適な起爆タイミングを「発射後の」ロケットへ入力する手順が必要となります」

「発射後の・・・?あっ・・・!」

「はい。ですが通信系のトラブルによりそれが不可能となった。そしてその問題を解決する為・・・」


そのギガスの言葉の続きを、ウラムが言った


「魔王様はロケットに乗って共に宇宙へ向かい、発射後のロケットに直接起爆タイミングを入力する事を選んだという訳です」


その言葉にミケが焦った様に言う


「で、でも!ロケットが爆発する前に脱出すれば!脱出装置とか脱出艇とか!」

「残念ながら、あのロケットにその様な機能はありません。作戦を成功させるにあたり、必要最低限の機能しか搭載されていないのです」

「じゃあ・・・じゃあ・・・!」


尚も焦った様に言葉を続けようとするが、続く言葉が思いつかずしどろもどろになるミケ

その時、ティスが言った


「おとうさん、もう帰ってこないの?」


その言葉にシンと静まり返る全員


・・・・・・


そして、ウラムが答えた


「はい」

「そう」


ウラムの言葉に一言だけ返すと、ぼーっとした様な表情で空を見上げるティス。だが


「・・・う・・・うううううう・・・・!」

(ティス・・・)


次の瞬間、顔をくしゃくしゃに歪めると声を殺しながらその場に膝をついた


「ティスちゃん・・・!」


ミケがすぐに膝をついたティスを抱きしめる、そして


「ううううううう・・・・!!!」

「うにゃあああああ・・・・!!!」


二人は思い切り声を上げて泣き出した

その時、司令室でリィが拳を機材に叩きつけて叫ぶ!


「ふざけんにゃ!ふざけんにゃ!アイツ!」

「落ち着くにゃリィ・・・。あの時、魔王がそんなつもりで飛び出して行ったなんてウチらの誰も気付かなかったにゃ」

「それがふざけてるにゃ!魔王ならウチらに命令すれば良かったんだにゃ!自分の代わりに行けって!そうすれば!」

「リィ・・・」


怒り叫ぶリィとそれをなだめるマウ

その時、二人に向かってウナが呟く


「けど、それをしないからアイツは魔王だったんだにゃ。正義も悪も関係無い、けど仲間だけは絶対に守ろうとする、例え自分の命に代えても・・・。だから、私達全員がアイツを認めた。アイツが私達の魔王だったんだにゃ・・・」


そして全員が悲しみに暮れる中、アリアは空を見上げる

迫るメギドと、それに向かって行く一つの光

そして、一筋の涙がアリアの目からこぼれ落ちた・・・しかし!


「ッ!!!」


アリアは勢いよくその涙を手で拭うと、皆に向かって言った!


「まだです・・・!」

「え・・・?」

「まだ終わっていません!ソーマさんはまだあそこに居るんです!まだ生きているんです!だったら!まだ諦めるのは早いです!!!」


しかし、そう叫ぶアリアにウラムが言う


「気持ちは分かります、ですが・・・」


助け出す手段など無い、おそらくその場の誰もが理解している事だろう

だがアリアは、それを理解した上で叫ぶ!


「私は約束したんです!!!」

「約束?」


そう、あの茜色に染まった中で交わした一つの約束




(もしソーマさんがご両親の様に自分の全てを賭けて何かを助けようとしたら・・・その時は・・・)


(その時は?)


(私がソーマさんを助けますね)




「だから私は最後の最後まで諦めない!きっと逆の立場だったら!ソーマさんなら絶対!」


その時・・・


(俺は最後まで諦めない!!!)


そんな声が、全員の中に聞こえてきた様な気がした

ウラムはフッと笑うと、静かに告げる


「確かに、アリアさんの言うとおりですね。まだ何も終わっていないにも関わらず、我々がこんな所で諦めるわけにはいきません」

「アリアちゃんの言うとおりですにゃ・・・!この程度で諦めて泣いてたら、ソーマさまに笑われちゃいますにゃ!」

「うん、帰って来ないなら迎えに行く・・・!」

「ええ、我々は魔王様の部下。魔王軍なのですから!」

「皆さん!」


そして、全員に向かってウラムが宣言した!


「これが本当の最終作戦となります。魔王様救出作戦です!」

「「はい!!!!!」」


そして、空を見上げながらアリアは呟く・・・!


「待っていて下さい、ソーマさん!」






それから暫く時間が経った頃、宇宙を航行するロケットの中では・・・


「よし・・・これで入力完了」


ロケットの起爆タイミングの入力を終えた俺は、軽く一息ついていた


「起爆タイミングの計算がオートで助かった。自分で計算しろとか言われてたらお手上げだったからな」


カウントダウンの数字を見つめる、爆破まであと30分程度と言った所だ

つまり、俺がこのロケットと共に宇宙の塵になるまで30分程度という事


「はあ~~・・・」


俺は無重力空間に浮き上がりながらため息をつく


「全く・・・馬鹿な事をしたもんだ」


これしか手段が無かったとは言え普通なら絶対にやらないだろう、ノリと勢いと言うのは恐ろしい物だ

そして俺は、残してきた皆の事を考える


「まあウラムに任せておけば魔王軍は大丈夫だろう、ギガスも居るしな。ミケは・・・まあ泣いてるだろうな。ティスはどうだろう・・・?短い間だったがおとうさんなんて呼ばれてたし、悲しませただろうか。アリアは・・・もしかしたら怒ってるかもな、また命を粗末にしてみたいな」


それぞれの顔を思い浮かべながら、俺は表情を緩ませる


「・・・とは言え後悔は無い。最後の最後に、俺は俺がやりたい事をやったんだから・・・」


そして皆との思い出に思いを馳せていた、その時


プルルルルル・・・


俺のポケットに入っていた通信端末が反応した、俺は通話ボタンを押す


「もしもーし」

「もしもし魔王様?良かった、まだ生きていましたね」


通信機越しに聞こえてきたのはウラムの声だった、俺はその声に答える


「もうすぐ死ぬけどな。それで何だ?今俺は人生最後の瞬間をたそがれと共に・・・」


そう続けようとした時、俺の言葉を遮って唐突にウラムが変な事を言い出した


「そーいうのいいですから、今すぐロケットから脱出してください」


その言葉の意味が分からず、俺は思わず聞き返す


「は?脱出?」

「ええ、宇宙服ぐらいはあるでしょう?それを着てロケットから脱出してください」

「いやいや、待て待て。どういう事だ?意味が分からん」


尚も俺はウラムに説明を求めるが

そんな俺の疑問をバッサリ切り捨ててウラムは告げる


「今は説明してる時間が無いんですよ。とにかく、そのままロケットに乗って行かれると手遅れになってしまいますから速やかに脱出してください」

「・・・?何なんだ一体・・・」


いつになく真剣なウラムの言葉に俺は黙って従う事にした

そしてウラムの言うとおり宇宙服を着ると、ロケットからの脱出準備を進める


「脱出準備出来たぞ」


しばらくして準備を整えた俺は、外へ出るハッチの前へ立っていた


「了解です、では速やかに脱出を。それとこの通信は繋いだままにしておいて下さいね、位置が分からなくなってしまいますから」

「了解だ・・・?」


とりあえず、ウラムの言葉に従い速やかに脱出する事にする

そして俺は脱出用のハッチを開け・・・


ドンッ!!!


次の瞬間!宇宙空間に吹っ飛ばされるようにロケットを脱出した!


「うおっと!!!」


吹き飛ばされた俺は無重力の中なんとか体勢を整え、そして周りを確認する

その時、今自分が脱出したロケットが遠くに離れていくのが見えた

その向かう先には、巨大な人工惑星メギドの姿が


「・・・後は任せたぞ」


俺はロケットに向かってそう呟くと振り返る。そして・・・!


「・・・!!!」


目の前に広がる光景に息を飲んだ・・・!

そこに有ったのは一つの青い惑星、視界全てに広がる青

その時、俺は有名な台詞を思い出す


「地球は青かった・・・だったか。いや、地球じゃなくてセレンディアか」


その圧倒的な光景を眺めながら呟く

人生最後に見る景色としては上等すぎるだろう。だが・・・その時


「ん?あれは・・・」


遥か遠くに見える点、それはこちらに向かって近づいてくる・・・

どんどん近づいてくるにつれて、それが何か見えてきた・・・

それは・・・とても見覚えのある物の様に見える


「あれは・・・まさか!!!」






そして時間はやや遡り、ウラムが魔王救出作戦を宣言した直後


「とは言え、どうやって救出に向かうかですが」

「ロケットはもう無いんですかにゃ!?」

「申し訳ありませんミケ殿。ロケットはあの一つしかありません」

「それなら・・・私が飛行魔法で宇宙まで飛んでいく!」

「無理ですよ、飛行魔法には限界高度があります。我々の魔法で飛行可能なのは魔力が存在している空間のみ、宇宙へ向かえば向かう程魔力は薄くなりますから。やがてどこかで飛行不可能になって止まります」


救出する方法を話し合う面々だったが、これといったアイデアは浮かばず時間だけが経過していく

その時、アリアが呟いた


「こんな時・・・ソーマさんなら・・・!」


そのアリアの言葉に、全員がソーマの事を考える


「魔王様なら・・・ですか」

「物凄く無茶な事を言いそう・・・」

「にゃ。間違いないです」

「宇宙へ行く為・・・魔王殿なら」


そして全員で、ソーマが言いそうな事を言い合っていく


「アリアに思い切り投げてもらう・・・!」

「いくら私でも無理ですよ!」

「火山を噴火させて宇宙まで飛んでいくとかどうですにゃ!?」

「そんなに都合よく噴火は起きないかと思われます・・・」


そんなハッキリ言って無茶苦茶な案を言い合っていた・・・その時


「投げてもらう・・・火山・・・?」


ウラムはその言葉から、一つの閃きを見出す!

そしてすぐさまギガスに問いかける!


「ギガス」

「何でしょう?ウラム殿」

「貴方が「発射台」になれば、宇宙まで一人くらいなら飛ばせるのでは?」

「発射台・・・?」


その言葉に少し考え込むギガスだが

すぐに、その意味を理解した!


「確かに!いえ、ですが・・・それでは正確な射出角度を取れるとは到底思えません」

「なら私がブースターも兼ねてその役目をやりましょう」

「それならば・・・ええ、可能かもしれません!」


その時、二人の会話に訳が分からないと言った表情でアリアが問いかける


「え?え?どういう事ですか?」


そんなアリアにウラムは微笑み、そして・・・!


「魔王様救出作戦の目処が立ちました、今すぐメルヒェンス山の山頂へ向かいましょう!」

「え!?あ!!!」


ギュンッ!!!


そう言うと同時にアリアの手を取ると、山頂へ向けて飛んでいく!


「あ!ウラムさん!アリアちゃん!」

「大丈夫ですミケ殿、我々はここで見守りましょう」

「・・・?」


そう呟くと、山頂へ向かって飛んでいく二人をギガス達は見送った






その後、山頂へ向かいながら通信機を取るウラム

そして何か会話を終えた後、電源を入れたまま通信機を懐に仕舞う


「今のは?」

「気にしないで下さい、作戦の第一段階と言った所です」


アリアは首をかしげながらもそれ以上は聞かず、代わりに違う質問をする


「それより、山頂へ向かって何をするんですか?」

「もちろん宇宙へ向かうのです。見てください「発射台」が来ます」


そしてウラムが山頂に向かって指を指し示した・・・その時!!!


ドオオオオオンッ!!!


凄まじい音と共に!山頂の火口から這い出てくる巨大な手が現れた!!!

その様子を麓から見守っていたミケ達が叫ぶ!


「にゃ!!!あれは!!!」

「見た事ある・・・!」

「お二方に見せるのは二度目ですね。あれが・・・!」


そしてギガスの言葉と共に!火口から這い出てきた巨人が咆哮した!!!


「オオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!」


その50メートルを超える炎に包まれた巨人を見上げながら、ギガスが告げる!


「私の本体「轟炎将軍ギガメリウス」です!!!」


メルヒェンス山山頂に現れたその炎の巨人に驚きながらアリアは言う!


「あれはギガスさんの!?じゃあ発射台って!!!」

「ええ、作戦は単純です。今からギガスの本体に、私とアリアさんを思い切り空へ向かって投げてもらいます」

「ええ!!??」


そしてウラムとアリアが巨人の側までやってくると、二人に向かって巨人はその手を降ろす


「心配要りません、今のギガスは完全に制御されています。ですがまあ炎の巨人ですので、直接触ると火傷では済みません。障壁は使えますね」

「はい、大丈夫です!」

「ではよく聞いて下さい。今から宇宙空間に行って魔王様を回収する一瞬を除いて、絶対にその障壁を解かないで下さい」

「シールドを?」

「ええ。その障壁の内側に酸素と魔力を蓄えたまま、アリアさんには宇宙へ向かってもらいます。障壁が宇宙服の代わりという事です」

「じゃあもしシールドを解いたり、中の酸素や魔力が尽きたら」

「その時は、アリアさんも宇宙空間で死に至る事となります」


そのウラムの言葉に、ゴクリと喉を鳴らすアリア


「最悪の場合、ミイラ取りがミイラになる危険な作戦です。拒否されるのであれば無理にとは・・・」


そう続けようとするウラムの言葉を遮って、アリアは叫ぶ!


「行きます!!!」


そう即答したアリアに、ウラムは少し目を丸くする

だが、すぐに微笑むと続きを言った


「私は空中で角度の調整と再加速を兼ねてアリアさんを打ち出します、ブースターの代わりと言う事ですね。そしてそこから先、魔王様の救出はアリアさんにお願いします」

「はい!任せて下さい!」

「では・・・」


キィィィン・・・!


そして障壁を展開したアリアとウラムを、巨人がその手に乗せる・・・!


「行きますよ。ギガス!!!」

「オオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!」


巨人はそう叫ぶと思い切り振りかぶり!メギドへ向かって行く光へ向けて!!!


ブオンッッッッッ!!!!!


アリアとウラムを投擲した!!!


ゴッ!!!!!


「ッ!!!」


凄まじい速度で空へ向かっていくアリアとウラム!!!

一瞬で雲を突き抜け!そして宇宙まであと少しという所まで到達したその瞬間!

ウラムが通信機に向かって叫ぶ!


「ギガス!!!」

「はっ!魔王様の現在位置確認!角度修正プラス0.6度!!!」


そして一瞬でウラムは魔力を集中させ!針の穴の様な宇宙の彼方に狙いを定める!


「では発射します!アリアさん!」

「お願いします!!!」


そのアリアの言葉と同時に!

ウラムは両手で押し出すようにして魔法を発動させた!


疾風炸裂バーストウインド!!!!!」


ドンッ!!!!!


その一撃と共にアリアは更に加速すると!大気の層を飛び出し宇宙へ飛んでいった!

そしてあっという間に、宇宙を駆ける光となったアリア

その光を眺めながら、ウラムは地上へと落下していく


「最後の奇跡などと・・・。私はまた人間を見誤っていた様ですね・・・」


そして・・・


「では改めて見せて下さい。「貴方達」が見せる「本当」の奇跡を・・・」






そしてその直後のこと・・・!


「あれは・・・まさか!!!」


ロケットから脱出した俺の目に飛び込んできたのは・・・!


「アリア!!!???」


宇宙空間を障壁を展開したまま近づいてくるアリアの姿だった!


「------!!!」


アリアは何やら叫んでいる様だが、宇宙なので音は全く届かず何を言っているのか分からない

その間にも、アリアの姿はどんどん近づいてくる。・・・そして!


ガシッ!!!


俺に飛び込むようにしてきたアリアの両手が、俺の身体を捕まえた!

その勢いで宇宙空間を回転しながら、俺はアリアに言った


「な!?なんで!?」

「約束しました・・・!」

「約束・・・?」

「ソーマさんが困った時は私が助けるって・・・そう、約束しました・・・!」


そう俺の胸に顔をうずめたまま呟くアリア

そんなアリアに、俺は困った様に言う


「それだけの為に、こんな無茶を・・・」

「無茶!?」


その時!アリアは顔を上げるとキッとこちらをにらみつけてきた!


「どっちが無茶なんですか!?あれだけ言ったのにまたこんな!!!」

「うっ・・・それを言われると返す言葉も無い・・・」


アリアは更に続けようとするが、思いとどまると俺に向かって告げる


「とにかく今は時間がありません、帰りましょう!」

「帰る?帰るって・・・」

「もちろん!」


そしてアリアは、背後の青い星に指を指すと言った


「セレンディアへです!」


黒い宇宙空間に広がる一面の青い星と、目の前の金色の髪の少女

その、現実離れした光景に思わず見入る俺だったが


「そうだな、帰るか」


そう言いフッと笑い

そして俺は、アリアの手を取った






そしてすぐに、アリアはセレンディアへ向かって加速を開始した

視界の青い星がじょじょに近づいてくる


「これで・・・」


あとは帰還するだけ・・・

と、そこまで考えた所で俺は重大な事実に気付く!


「って!!!ヤバイ!!!このままだと!!!」

「どうしたんですかソーマさん!?」

「大気圏だ!!!」


そう!セレンディアは人間が暮らせる大気のある星だ!

であるならば当然!その外側には大気圏が広がっている!

だが!俺がそれに気づいた時には既に手遅れだった!

俺達はセレンディアの重力に引かれ、離脱不可能な場所まで近づいてきてしまっていたのだ!


ゴゴゴゴゴッッッッッ!!!!!


「これは!?」


その時突然!視界が赤く染まり熱の壁が襲い掛かる!


「これが大気圏だ!シールドを!!!」

「くっ!!!」


アリアが左手をかざし障壁を維持する!だが!


「かはっ・・・!!!」


その時!アリアの表情が苦しく歪む!


「アリア!!!まさか!!!」


魔力切れ!?

昏睡状態から目覚めた後すぐに連戦に次ぐ連戦、すでにアリアの身体は限界を迎えていたのだ


「大丈夫ですソーマさん・・・!!!絶対に助けます!!!」


キィィィン・・・!!!!!


魔力が尽きかけた状態で必死に障壁を張り続けるアリア!


「うおああああああああああ!!!!!」


そして俺とアリアは燃え上がる流星の様に、セレンディアへ落ちていくのだった・・・!

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