魔王と天使の強襲
:魔王と天使の強襲
「ミシュケイオスの聖域!!!」
ドガガガガガガガッ!!!!!
ミケの言葉と同時に地面が隆起すると!土の城がミケとロケットを覆った!
「あれが、ミケの・・・!」
「ミケ・・・すげーにゃ・・・」
ミケが作り上げた巨大な城の威容に俺達は驚きの声を上げる。だがその時!
「攻撃開始」
ガガガガガガガッ!!!
進撃してきていた飛行ロボット達が、一斉にミケの聖域に攻撃を仕掛けた!
「ミケ!」
俺は思わず叫び声を上げる!しかし!
ギンッ!
敵ロボットの放った弾丸は城の城壁に弾かれ、跳ね返っていく!
「全く攻撃が効いてないにゃ!」
敵ロボットの激しい攻撃を受けながらも、ミケの聖域は全く損傷を受けていなかった!
その時、聖域の中では・・・
「う・・・攻撃・・・?」
意識を失う寸前の所で、ミケは目を覚ます
(魔力の消耗はかなり激しいけど・・・聖域はちゃんと発動したみたいだにゃ・・・)
クラクラする頭で、なんとか状況を把握しようとするミケ
尚も激しく攻撃を続ける敵ロボット達を、ミケは城と一体化した感覚で捉える!
「そんな攻撃、ミケの聖域には効かないにゃ・・・!そして・・・!」
その時!聖域の城壁から砲門が現れる!
そしてその砲門が、周辺の敵ロボット達に向けられた!
「これは聖域に手を出した報いだにゃ!!!」
ドオンッ!!!
全ての砲門から一斉に!魔力で練り上げられた石の弾丸が射出される!
ゴシャッ!!!!!
そしてその砲弾は、敵ロボット達のボディを一撃で粉砕した!
「行動不能・・・」
ドオオオオンッ!!!
周辺の敵ロボット達が全て爆散する!
聖域から放たれた無数の砲弾により、周辺の敵ロボットは一瞬にして破壊された!
「すげーにゃミケ!」
「こんな切り札があったなんて、さすが幹部だにゃ!」
その光景に嬉しそうに飛び跳ねるリィとマウ
「これならなんとかなるか・・・」
そして俺もホッと胸を撫で下ろした・・・
だがその時!ウナが叫ぶ!
「レーダーに感!敵増援だにゃ!」
「また敵か!?」
「でも!もうロボットが何体来ても怖くないにゃ!」
「そうにゃ!ミケの聖域は無敵だにゃ!」
動揺する俺に対し、自信たっぷりに言うリィとマウ
しかし!ウナが続けて叫んだ!
「この敵!物凄く早いにゃ!!!他のロボット達とは比べ物にならない!!!」
「「にゃ!?」」
「数は!?」
「一体!!!今モニターに映像が出るにゃ!!!」
そして、魔王城の望遠レンズがその姿を捉える!
その姿は、俺達も知っている姿だった!
「あれは!!!天使!!!」
「上級天使ジョシュア・レドヴァインにゃ!!!」
そう、高速で接近してくる敵は六枚羽根の天使ジョシュアだった!
「ハァ・・・ハァ・・・!」
息を荒げながら、ジョシュアは真っ直ぐに魔王城に向かって突撃してくる!
その姿は包帯塗れの痛々しい姿となっており、アリアとの戦いの傷が完治していないのが分かった
「どこだ・・・!?勇者ァァァァァッッッッッ!!!」
鬼気迫る叫び声を上げながら突撃してくるジョシュア!
そしてその姿を、聖域を通してミケも感知する!
「あれは天使!!!なんとかロケットを守りきらないと!!!」
ミケが聖域に意識を伝達させると同時に、聖域の砲門が全てジョシュアに向けられる!そして!
ドオンッ!!!ドオンッ!!!
ジョシュアに向かって聖域の一斉攻撃が放たれた!しかし!
「こんなノロい攻撃が当たるかァァァァァ!!!」
高速で飛んでくる砲弾の間を縫いながら、全くスピードを落とさず突撃してくるジョシュア!
「にゃっ!?」
「雑魚がッ!!!邪魔だッ!!!」
ビシュンッ!!!
そして!ジョシュアの二挺拳銃から魔力の弾丸が発射された!だが!
ガンッ!!!ガンッ!!!
その攻撃は聖域の城壁によって防がれる!
しかし!先程のロボットの攻撃とは違い、城壁の一部が破損してしまっていた!
「うあっ!!!」
「ミケ!!!」
城へのダメージがミケにフィードバックされる!
ジョシュアの攻撃は、少しづつだが聖域にダメージを与えていたのだ!
「まだですにゃ!!!この程度の攻撃じゃミケの聖域は破れませんにゃ!!!」
そう叫ぶミケはさらに聖域の防御を固め、砲弾を連射する!
向かってくる無数の砲弾にジョシュアは舌打ちをすると叫ぶ!
「チッ!!!固いだけが取り得か!?ウゼエんだよッ!!!」
ドガガガガガッ!!!
そして!ジョシュアは先程よりもさらに苛烈な攻撃を仕掛けた!
その激しい攻撃により、少しづつ砕けていく聖域!
「う・・・あああ!!!」
同時に、城と感覚を共有したミケの身体にもダメージが蓄積されていく!
「マズイ!ミケが!!!」
このままではミケがやられる!だが!!!
俺が拳を握り締めながらモニターを見ていた、その時!
「このままじゃマズイにゃ!ミケを助けに行くにゃ!!!」
そう言ってリィが椅子から立ちあがった!
「おい!リィ!」
俺は咄嗟にそれを止めようとするが!それと同時に!
「そうにゃ!ミケはウチらの妹にゃ!ウチらが助けに行かなくて誰が行くにゃ!!!」
マウもそれに賛同し、席を立ち上がってしまう!
そして俺の制止の声も聞かず、二人は司令室から出て行こうとした!その時!
「待つにゃ。リィ、マウ」
それを止めたのは、ウナの一言だった!
「にゃ!?何だにゃウナ!?」
「時は一刻を争うにゃ!早くしないと!!!」
振り向いて焦った様に言うリィとマウ
だが、ウナが二人に対して言った言葉は
「席に戻るにゃ二人共。今ウチらが前線のオペレートを止めたら全ての部隊が崩壊するにゃ。そうしたら、ロケットの打ち上げは不可能になるにゃ」
二人に戻る様に促す言葉だった
それを聞いたリィとマウは驚きの声を上げる!
「何言ってるにゃウナ!!!ミケが危ないにゃ!!!そんな事言ってる場合じゃないにゃ!!!」
「席に戻るにゃ」
リィの激しい抗議にもウナは冷静に席に戻る様に返す。だが!
「もういいにゃ!!!ウナが行かないなら二人だけで行くにゃ!!!行くにゃマウ!!!」
「分かったにゃ!!!」
リィとマウの二人は、ウナの言葉を聞かず部屋を出て行こうとする!その時!!!
「座りなさい!!!!!リィ!!!!!マウ!!!!!」
ウナの怒号が部屋中に響き渡った!!!
「「!!!!!」」
その迫力に、リィとマウも思わず固まってしまう
そして、ウナは冷静にゆっくりと二人に向かって言った
「ウチらにはウチらのやるべき事があるにゃ、それを放棄するわけにはいかないにゃ」
「でも・・・ミケが・・・」
涙ぐんだ瞳のまま言うリィ、だがウナはそんなリィを落ち着かせるように優しく語り掛ける
「ミケもロケットを守る為に、自分のやるべき事を精一杯やってるにゃ。それなのに、ウチらがそれを無視してミケを守る事を優先したらミケに怒られるにゃ」
「うにゃ・・・ウナ・・・」
ポタッ・・・ポタッ・・・
その時二人は気付いた、ウナの右手から流れ落ちる赤い血液に
静かな言葉とは裏腹に、強く強く握り締めたその手が震えている事に
「だから、ウチらは最後まで自分達の仕事を続けるにゃ」
それでも、真っ直ぐモニターを見据えながら言うウナ。そして
「分かったにゃ!ウナ!」
「ウチらはウチらのやるべき事をやるにゃ!」
そのウナの言葉に、席に戻りオペレートを再開するリィとマウ。その時!
「クソがッ!!!いい加減砕けろ!!!」
ジョシュアの攻撃で更に聖域が破壊される!
だが!ボロボロの状態でも尚、反撃を続けるミケ!
「うあっ・・・!まだですにゃ・・・まだ・・・皆が戻ってくるまでは・・・!」
しかし、ミケの聖域がこれ以上保たないのは明らかだった!その時!
ゴゴゴゴゴッッッッッ!!!
業を煮やしたジョシュアが魔力を高めていく!
「これで最後だァァァァァァッ!!!」
そして!ジョシュアの叫び声と同時に無数の魔力の弾丸が形成され、放たれた!
ドガガガガガガッ!!!
一斉に放たれた弾丸の雨が、ミケの聖域に突き刺さる!
「うあああああああ!!!!!」
ジョシュアの攻撃により致命的な損傷を受ける聖域!その瞬間!!!
「城が!ミケの聖域が!」
「崩れていく・・・」
さらさらと土の城は崩れていき元の土へと戻っていく!そして・・・!
「う・・・にゃ・・・」
城が崩れ去った後、その場所にミケが倒れこんでいた!
「手間を取らせてくれたな・・・下級魔族・・・!」
そして!ジョシュアが倒れているミケに向かってゆっくりと歩いていく!
「逃げるにゃミケーーーー!!!!!」
「早く立ち上がるにゃーーーー!!!!!」
その様子に大声で叫ぶリィとマウ!
だがミケは、力を使い果たしその場から動く事が出来ない。そして・・・
スッ
ゆっくりと持ち上げたジョシュアの拳銃がミケに向けられた
その時、ミケから通信が入る
「ソーマさま・・・」
「ミケ!!!!!」
ミケからの通信に俺は叫ぶ!
「どうやら私はここまでみたいです・・・後はお願いします・・・」
「ダメだミケ!!!!!諦めるな!!!!!」
俺はミケに向かって尚も叫ぶ!
だがもはやミケが助かる術は無い、ジョシュアが引き金を引くのは時間の問題だ!
そしてその命を終える間際で、ミケはニッコリと笑うと穏やかな声で言った
「ソーマさま・・・ミケは・・・ソーマさまの事が大好きですにゃ・・・!」
「ミケーーーーー!!!!!」
ジョシュアの指に力が込められる!そして!
「これで!まずは一匹!!!」
その指が拳銃の引き金を引いた!!!
ガンッ!!!
至近距離から放たれた銃弾がミケを貫こうとした・・・その瞬間!!!
「ディバインシールド!!!!!」
キィィィン!!!
ミケの前に現れた防御壁がジョシュアの弾丸を跳ね返す!!!
「何だと!?これはっ!!!」
その障壁に吹き飛ばされるように間合いを離すジョシュア!
同時にミケの横に一人の人物が現れた
信じられないと言った様子で、その人物に声をかけるミケ
「何で・・・?」
ミケのその言葉に彼女は笑うと、ハッキリと答える
「声が聞こえました、皆の戦う声が、助けを呼ぶ声が。ならばどんなに傷ついたとしても立ち上がる、それが・・・」
そして彼女は、その金色の髪の少女は聖剣を構えると高らかに宣言した!
「勇者です!!!!!」
その力に!周辺の大気が爆発した様に一気に吹き飛んでいく!
ここに!世界を守る少女!「勇者アリア」が復活したのだった!!!




