表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王軍はお金が無い  作者: 三上 渉
第一章:魔王とはじめての異世界
11/145

魔王と不愉快な仲間達

:魔王と不愉快な仲間達


目の前に立つその巨大な生物に、騎士達は心の底から畏怖を抱いた

御伽噺でしか聞いた事の無い伝説の生物ドラゴン、それが目の前に居るのだ

その生物としての圧倒的な強さ、威容を前にして恐れない者など居るものだろうか?だが!


「行くぞ赤竜騎士団の騎士達よ!!」


その恐怖を目の前にしながらも騎士達はそのドラゴンに立ち向かう!


「我々は騎士の世の最後に生まれた騎士だ!戦うべき敵はどこにも無く!人々から忘れ去られていくだけの存在だ!それでも!誇りだけはこの胸に残されていた!我々が人々を守るのだという使命と共に!おそらく、これが我々の最後の戦いとなるだろう!赤竜騎士団の騎士達よ!使命を果たすのだ!!!」


騎士団長の号令を合図に剣を構える騎士達!


「行くぞ!!!!!」

「「オオオオオオオオオオッ!!!!!」」


そして騎士達は自分の数十倍の大きさのドラゴンに向かって突撃していく!!!


「死ぬぞ!勝てるわけない!!」


ヒュゥゥゥゥゥ・・・・・!!!


ドラゴンは自分に向かってくる騎士達に目を向けると大きく息を吸い込んだ!!!


「マズイ!ブレスだ!よけろ!!!」


そして!ドラゴンの口から炎のブレスが騎士達を焼き尽くすべく放たれた!!!


「ッ!!」

「ご心配には及びません魔王様」


炎が騎士達を焼きつくそうとしたその時!

騎士達を守るように水の障壁が現れた!


「アクアウォール・・・」


そして炎は水の障壁によって弾かれ消えていった!


「あれは・・・ティスか!?」


よく見ると、騎士達の中に鎧を着たティスが混ざっていた

そしてドラゴンのブレスを防いだティスは側に居たスライム達に号令をかける!


「スライム達、行って」

「「ぷるぷるぷるぷる」」


ティスの言葉と共に、スライム達がドラゴンに向かって突撃する!


「グオオオオオオオッ!!!」


突撃してきたスライム達をドラゴンの爪がなぎ払った!しかし!


「ぷるぷるぷるぷる」


その強烈な一撃を受けながらも、スライムには全くダメージは無く

その粘性の体でドラゴンの手足を抑えていった!


「グッ・・・オオオオオッッッッッ!!!」


ドラゴンはもがくが、スライムに抑えられた手足を地面から離す事は出来ない!


「私も居ますよ魔王殿」


その時、鋼鉄のロボットボディに更に鋼鉄の鎧を着た状態のギガスが現れる

しかし普段と違って腕のような物が付いている・・・いや、よく見ればそれは


「ファイアーーーッ!!」


それはガトリングガンだった!

ギガスの両手のガトリングから弾丸が連射される!!!


「グオオオオオオオオオッ!!!」


弾丸はドラゴンの鱗を貫通こそしていないが、確かにダメージを与えているようだった!

ドラゴンの動きが鈍くなっていく!


「おお!!効いてるぞ!!」

「やはり武器腕こそ至高!どうですか我が魔王軍の科学の力は!!!」


ギガスの攻撃によって怯むドラゴン!

これを好機と見た騎士団長が号令をかける!


「よし!今だ!!かかれーーッ!!」


スライムとギガスのガトリングガンによって動きを封じられたドラゴンに、赤竜騎士団の騎士達が攻撃をしかける!!!

巨大かつ、強力な威容を見せるドラゴンだったが、度重なる攻撃にその体力を削られていく!


「さて、私も参りますか」


そう言ってウラムが立ち上がる

よく見ると、ウラムは赤竜騎士団の鎧を身に着けていた


「なんでわざわざ鎧?」


そう言えばティスもギガスも鎧を身に着けている

俺の疑問にウラムが答えた


「我々の目的はドラゴンを倒す事ではなく、騎士団演習に客を呼ぶ事ですからね。その為には赤竜騎士団の人気を高める必要があります」

「ああ、それで鎧か。ドラゴンを倒したのはあくまで「赤竜騎士団」という事だと」

「ええ。まさか魔王様がドラゴンをおびき出してくれるとは思ってもいませんでしたが、そういう事ならと急いで準備を整えた次第でございます」


いつの間に・・・ていうか!


「別におびき出したわけじゃねーよ!!!まあいい!とりあえず話は後だ!行け!」

「お任せを!」


そして!赤竜騎士団の鎧を身に着けたウラムは飛翔しドラゴンに突撃する!


「グゥゥゥゥオオオオオオッ!!!!」


ドラゴンは身動き出来ない状態だったが、向かってくるウラムを視認すると迎撃のブレスを放つ!!!


「フッ・・・」


だが!ウラムはそのブレスをかわそうともせずそのまま真っ直ぐに突っ込んだ!!!


ゴオオオオオオオッ!!!


炎のブレスに包まれるウラム!だがその速度は衰えず、そのまま真っ直ぐに突っ込んでいく!!!


「仮にも魔王軍幹部ですからね、この程度の炎では皮膚一枚焼く事も出来ません」


そして間合いを詰めたウラムは、ドラゴンの顎の下から渾身の一撃を放つ!!!


「ドラゴン!!!アパカッ!!!!!」


ドグォッ!!!!!


天を刺すようなウラムの一撃、ドラゴンアッパーカットが炸裂した!!!


「グッ・・・オオオオオオッ・・・・・」


強烈な一撃をもらったドラゴンは昏倒し倒れ伏す

それを見た騎士団長は手に持っていた剣を高々と掲げ叫んだ


「やったぞ・・・我々の勝利だーーーーッ!!!!!」

「「オオオオオオオオオオーーーーッ!!!!!」」


騎士達もそれぞれ手に持っていた剣を掲げ、勝利の雄たけびをあげる

こうしてドラゴンは赤竜騎士団の活躍により打ち倒されたのだった






「ウラムーーーー!!!」

「魔王様ーーーー!!!」


戦いが終わった後、俺はウラムに駆け寄り


「死ねええええエエエエエエエエエエエッッッッッ!!!!!」


渾身の右ストレートを放った!!!


サッ


「危ないですね、何をなさるんですか魔王様」


だがウラムは俺の渾身の一撃を難なく避けた、チッ!!!!!


「危うく死ぬ所だったわ!!!」

「え?ですからこうやって助けに」

「元はと言えばお前がドラゴンを起こして飛び去ったせいだろうが!!!」

「まあまあ、こうして生きておられた事ですし。結果オーライと言う事で」

「良いわけあるかーーーーー!!」


俺の叫びが辺り一帯に響き渡った、その時


「ソーマ、大丈夫?」

「魔王殿、無事で何よりです」


他の幹部、ティスとギガスもこっちにやってきた

こっちのアホと違って魔王思いの良い幹部達だ


「かなりギリギリだったけどな」


そう答える俺に向かってウラムが言った


「まあ死んでしまった場合は蘇生魔法をかけますのでご心配には及びませんよ」

「生き返れるのかよ!」


だからと言って死ぬのは御免だが、生き返れる保障があるというのは有難い。しかし・・・


「ええ。ですが我々魔族が使う魔法ですので、アンデッドになってしまいますが」

「駄目じゃねーか!!!いのちをだいじに!特に俺の命を!!!」


やはり命は一つだけのようだ

こんなろくでもない世界で1年間、俺は生き残る事が出来るのだろうか?






俺が住んでいた世界とは違う異なる世界、異世界セレンディア

剣と魔法、夢と冒険が溢れるファンタジー世界

きっと誰もがそれに憧れ、その夢の世界に旅立つ事を望むのだろう

そして、その異世界へと召還された俺は


「日本に帰りてえええええええええええっ!!!!!」


と心の底から叫んだ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ