魔王と黒に染まるアリア
:魔王と黒に染まるアリア
ガキィィン!!!
幾度となく放たれるアリアの強烈な斬撃を受け止めるラグナ!
強引に押し込もうとするアリアの剣とラグナの剣が交差し鍔迫り合いの形になる!
「くっ・・・!正気に戻りなさい!あなたの先祖はそんな術に負けなかったわよ!!!」
「・・・」
ブンッ!!!
だがラグナの言葉にアリアは更なる斬撃で答える!
(一体、どうすれば・・・!?)
もはや打つ手無しとラグナが諦めかけた、その瞬間!
「行くぞ!アリア!!!」
俺は叫び声を上げると同時にアリアに向かって走り始めた!!!
「なっ!?ソーマくん!?」
「魔王殿!?」
他からは完全に無謀としか呼べない突撃に見えるだろう、だが俺は迷う事なく真っ直ぐに突っ走る!
「玉砕のつもりか!?勇者よ!まずはソイツを殺せ!!!」
「了解・・・優先目標変更」
ドガッ!!!
「くっ!!!」
「ラグナ殿!ぐっ!!!」
ラグナとギガスを強烈な斬撃で吹き飛ばすと、剣の切っ先を俺に向けるアリア!だがその瞬間!
「やらせませんよ!双疾風螺旋!」
ゴオッ!!!
ウラムが放った二つの竜巻がアリアを飲み込む!
「ハッ!今更そんな攻撃でどうにかなるとでも思っているのか!?」
ジョシュアの言うとおり、ウラムの魔法はアリアに何のダメージも与えていない!しかし!
「・・・!?」
「こんな攻撃で倒せないのは百も承知。ですが、今動かれては困りますので・・・!」
ウラムが放った二つの竜巻はそれぞれ逆方向に回転していた!
二つの回転の中心に捕らえられたアリアは動きが鈍くなる!
そう。最初からこれはアリアの動きを封じ、時間を稼ぐ為の攻撃!
「残った魔力を全てこの魔法に注ぎ込みます!魔王様!!!」
「分かってる!!!」
その間にも、俺はアリアとの間合いを詰めていく!あと50メートル!!!
「何をしている!?そんな魔法振りほどけ!!!」
「・・・!!!」
ドォンッ!!!
その瞬間!アリアは一気に魔力を放出するとウラムの魔法を吹き飛ばす!
「くっ!!!ここまでですか!!!」
そして!ウラムの竜巻を吹き飛ばし自由となったアリアは俺に向かって剣を構える!
上段に剣を構え、俺を縦に一刀両断する構えだ!
(駄目だ!間に合わなかった!!!だが!!!)
俺は走りながらアリアに向かって叫ぶ!
「アリアーーーーー!!!初めて会った時の事を思い出せ!!!」
そして俺は体勢を低くするとアリアの足元に向かって滑り込む!その瞬間!
ピクッ!
ほんの僅か、たった一瞬だったが
剣を振り下ろそうとするアリアの動きが止まった!
(そうだ。初めて会ったあの日、今と同じように滑り込むようにして土下座してアリアに謝ったんだ)
アリアの脳裏にはその時の事が刻まれていたのだろう、それで無意識に剣を止めたのだ
(だが!今回はあの時とは違う!!!)
グンッ!!!
次の瞬間!俺は沈み込んでいた体を全身のバネを使い一気に跳ね上げた!
「何!?」
そして!右手でアリアの側頭部を掴むと一気に顔を近づけていく!
その俺の態勢を見たミケが叫ぶ!
「アレは!まさか!!!」
そう!ミケには覚えがあるだろう!暴走したミケを止めたのもこの技だったわけだからな!
正気を失った仲間を元に戻すのならこれしかない!
「食らえ!!!これが必殺の!!!!!」
そして!アリアの頭に渾身のヘッドバットを食らわそうとした・・・その瞬間!!!
(駄目ですよソーマさん!女の子に向かって思いっきり頭突きするなんて!!!もっとその・・・他にロマンティックな方法というか・・・)
一瞬だけ脳裏に浮かんだその言葉に、俺は咄嗟にヘッドバットを止めた。そしてその代わりに
スッ・・・
(あ・・・)
「・・・」
俺は、アリアの唇に自分の唇を重ねていた・・・
・・・・・・・・・
その場に居た全員が唖然とその光景を見つめ、まるで時間が止まったかの様になる。だがその時・・・!
「・・・・・・・・・・・・・・・!」
アリアの顔がみるみる紅潮していく!!!
そしてふるふると体を震わせ、次の瞬間!!!
「きゃあああああああああああああああ!!!!!」
ドガァッ!!!!!
大声で悲鳴を上げると同時に!俺の肩を両手で「思い切り」突き飛ばした!!!
「うごっ!!!」
ヒュンッ!!!
まるで飛んでいく矢の様に吹っ飛んでいく途中・・・俺は
(最後の最後で選択肢ミスった・・・)
そんな事を考えていた
ヒュンッ!!!ドシャッ!!!ドガガガガガッ!!!!!
荒野を吹っ飛び、転がっていく俺を皆が唖然と見送る中・・・
「ななななな!!!いきなり何を!?キ!キス!?今キスしたんですか!?どうして!?もしかしてソーマさんも私を!?そんな困ります!!!あ!いえ!決して嫌とかそういうわけではなく!!!突然すぎて困るというかまだ心の準備が出来ていないというか!!!でもつまりソレって・・・ソーマさんも私が好きという事・・・何でしょうか!?もしそうなら、ソーマさんが私を選んでくれるなら私は・・・!」
テンパりながら早口で喋るアリア、そしてチラッとこっちの方に視線を向け
ピクッ・・・!ピクッ・・・!
「って!!!ああ!ソーマさん!!!!!」
瀕死になっている俺に気付き駆け寄ってきた
「大丈夫ですか!?しっかりしてください!!!」
「ああ・・・なんとか生きてる・・・」
アリアの心配そうな声になんとか返答する俺、その時
「うにゃあ!うにゃあ!うにゃああああ!!!」
ぽかぽかぽか
「ちょっ!おいミケ!何故殴る!?」
側に駆け寄ってきたミケが何故か涙目で俺をぽかぽか殴る。そして
ぽかぽかぽか
「ってラグナ!?じゃなくてティスか!?なんでティスも殴るんだ!?」
「なんとなくイラっときた・・・!」
そして二人して俺をぽかぽかと殴打する
俺はそんな二人をわけも分からぬままなだめ、そして
「まあとにかく・・・これで状況は変わった!」
そう言って、俺はジョシュアの方を睨みつけた!
その時、唖然とした表情で目の前の光景を眺めていたジョシュアが呟く
「そんな馬鹿な・・・制御は完璧だったはず・・・」
その言葉にアリアはゆっくり立ち上がると、ジョシュアに向かって言った
「許せません・・・私の体を操って皆を傷つけさせた事・・・そしてフィーリスさんの事・・・!」
そして!アリアは剣を構えるとジョシュアに向かって叫んだ!
「私は今!!!物凄く怒っています!!!!!」
ドォンッ!!!
怒りと同時に凄まじい魔力を放出させるアリア!
ウラム達と戦っていた時とは比較にならない!本気のアリアだ!
その時、剣を構えるアリアに向かってウラムが言う
「申し訳ありませんアリアさん・・・我々に出来るのはここまでです」
「大丈夫ですウラムさん!後は私に任せてください!」
その言葉を聞いていたジョシュアは俯くと、ブツブツ呟き始める
「どいつもこいつも・・・どいつもこいつも・・・!」
カッ!!!
そして!ジョシュアも一気に魔力を開放させた!
「この!上級天使ジョシュア・レドヴァインをナメやがって!!!テメエら如き!俺が纏めて片付けてやる!!!」
そう言うと懐から銃を二挺取り出し構える!
「かかってこい!この人形がッ!!!」
「絶対に!許しません!!!」
そして!アリアとジョシュアの戦いが開始された!
「消えろ!!!」
ビシュンッ!!!
ジョシュアの持っていた銃から放たれたレーザーがアリアを襲う!だが!
「こんな物!!!」
ギィンッ!!!
アリアは左手で障壁を張りながらレーザーを弾き!一気に間合いを詰めていく!
「はあっ!!!」
そして間合いに入ったアリアは右手の剣を振るう!
「くっ!ブレード形態!」
ガシャンッ!!!
ジョシュアが叫ぶと同時に手元の銃が剣の柄に変形し!レーザーブレードの様な物を展開させる!
ギインッ!!!
そしてアリアの剣を受け止めた!しかし!
「何だと!?このパワー!!!」
「はあああああ!!!」
剣を受け止めたジョシュアを、アリアは強引に押し切る!
その圧倒的なパワーに、ジョシュアはその場を飛びのいて下がる!
「クソが!!!人形ごときに!!!」
そして距離を取り銃を構えようとする!だが!
「逃がしません!!!」
ドオンッ!!!
まるで爆発の様な音を立て!アリアが一気に踏み込む!
ガシィ!!!
その時!アリアは超高速で踏み込みながら右手の剣の柄尻を左手で掴み、両手持ちにする!そして!!!
「必殺!!!ディバインスラーーーーーーッシュ!!!!!」
膨大な魔力を纏ったアリアの聖剣がジョシュアに向かって叩きつけられた!
「うおああああああ!!!」
ドグオオオオンッ!!!
物凄い威力の一撃に大地が震え土煙が舞う!
「やったか!?」
俺は目を凝らして土煙の中を窺う、あれ程の一撃を受けて無事なわけがない!だが!
キィィィン・・・!
「はあっ・・・はあっ・・・!」
「・・・!」
なんと!ジョシュアは障壁を張ってアリアの一撃を凌いでいた!
「マズイですね・・・」
それを見たウラムが呟く
「マズイって何がだ!?」
「アリアさんの使う攻撃は全て、光の属性と呼ばれている攻撃なのです。そしてあの天使が使うのも同じ光の属性」
「つまりどういう事だ!?」
「端的に言うと、アリアさんの攻撃はあの敵に対して相性が最悪という事です」
こっちの攻撃が効かないなんて!それじゃあいくらアリアでも!
「効かないなら!効くまで打ち続けるだけです!」
全く怯んだ様子も無く剣を構えなおすアリア!
だが、ジョシュアはニヤリと笑うと呟く!
「いや・・・無理だね。何故なら・・・!」
ジョシュアがそう呟いた、次の瞬間!
「・・・ッ!!!」
ドサッ・・・!
急に体をよろめかせたアリアが膝をつく!
「これは・・・まさか、また・・・!!!」
「ハッハッハッハッ!忘れたのか!?お前は我々天使が創った道具!創造主の命令には逆らえないという事を!所詮お前はただの人形なんだよ!!!」
「ああああああああ!!!」
ジョシュアの術に悲鳴を上げるアリア!
苦しむアリアの姿に俺は思わず叫ぶ!
「アリア!!!気をしっかり持て!!!」
だが苦しむアリアの様子は変わらず!
ジョシュアは今度こそ勝ちを確信し笑い声を上げる!
「今度はほんの少しの自我も残さねえ!命令を忠実にこなすだけの本当の人形にしてやるよ!ハッハッハッハッ!!!」
アリアはジョシュアの術に苦しみ動けない!そして他の魔王軍の面々も満身創痍!
もはや絶体絶命かと思われた、その時!
「もう、私は二度と操られたりなんかしない・・・!この体が・・・!勇者としての力が利用されると言うなら・・・!それなら、私は!!!」
ドオンッ!!!
アリアの言葉と同時に!凄まじい衝撃波がアリアを中心に放たれた!
「何っ!?体内の魔力を一気に放出しただと!?」
体内の魔力を失いアリアの赤く輝く左目が碧に戻る!そして!
ギュオオオオオオオッ!!!
今度はまるで暴風の様な勢いでアリアの体が魔力を吸い上げ始めた!
「これはっ!?」
その時!ウラムが驚愕の声を上げる!
「何だ!?何が起こってる!?」
「アリアさんは一度体内の魔力を放出し、そして今物凄い勢いで周辺の魔力を体内に取り込んでいます!ですが!」
アリアがその体に再び魔力を纏い始める!
しかし!それは普段アリアが身に纏っている光輝く魔力ではない!
「今アリアさんが取り込んでいるのは負の魔力です!」
「それって確か!」
「我々魔族が使うエネルギーであり、人間の体には毒とも言えるエネルギーです!」
じょじょに禍々しい黒がアリアの体を覆っていき、そして!
「・・・!!!」
カッ!!!
アリアの右目が紫に輝いた!
「ウウ・・・アアアアアアアア!!!!!」
体内を蝕む負の魔力の苦痛に叫ぶアリア!だが!
「勇者としての力が利用されると言うのなら・・・!私は・・・黒に染まる!!!」
アリアは必死に理性を保つと、その身に纏っていた黒い魔力を聖剣に伝わらせ構える!
そして!ジョシュアに向かって思い切り聖剣を振るった!
「ディバインスラッシュ・・・!!!リバーーーーーーース!!!!!」
ゴオオオオオオオオオッ!!!!!
アリアの振るった剣から放たれた凄まじい威力の黒の奔流がジョシュアに迫る!
「くっ!!!神聖防壁ッ!!!」
キィィィン・・・!ドガガガガガッ!!!!!
ジョシュアは咄嗟に障壁を張りこれを防ぐ!だが!
ピシッ・・・!
「馬鹿な・・・!俺の神聖防壁が破られる・・・!?」
アリアの攻撃を受け止めるジョシュアの防壁にヒビが入っていく!
「自分の体に負の魔力を取り込み術を無理矢理跳ね除け!そして今度はその闇の力を放ち俺の障壁を破るだと!?そんな馬鹿な事がありえるわけが!!!」
目の前に迫るエネルギーはもはや光のそれではない!禍々しい闇の力だ!
であるならば!後は純粋な威力さえあれば障壁を破れるという事!
ピシッ・・・ピシッ・・・!
「何だとッ!?この俺が!!!上級天使ジョシュア・レドヴァインがぁあああああああああ!!!」
「アアアアアアアアアア!!!!!」
ガシャアアアアアンッ!!!!!
まるでガラスが崩れるような音と共にジョシュアの障壁が破られる!
「うおあああああっっっっっ!!!!!」
ゴオッ!!!
そして!黒の奔流が六枚羽根の天使を飲み込んだ!!!
「・・・・・」
全員がその決着を固唾をのんで見守っていた
そして、荒野を包みこんでいた土煙が晴れていき、視界に入ってきたのは・・・
「ウア・・・ハアッ・・・ハあっ・・・はあっ・・・」
剣を支えにやっと立っているアリア、そして・・・
「が・・・あ・・・」
ボロボロになり、地面に倒れ伏していたジョシュアの姿だった
どうやらまだ息はあるようだが、戦闘不能なのは間違いない
その時、それを見たリィとマウは叫び声を上げる!
「や・・・やったにゃーーー!!!アリアちゃんの勝ちにゃーーー!!!」
「すげーにゃーアリアちゃん!!!天使ざまーみろにゃ!!!」
そして、喜びアリアに駆け寄ろうとするリィとマウ
同じ様に他の皆もホッと気を緩ませようとした。だがその時!
「まだです・・・!」
「「にゃ!?」」
それを制止するアリア!
「私に術をかけたのはそこの天使じゃありません・・・!まだ、敵はいます!!!」
「なっ!?」
アリアの言葉に驚き辺りを見渡す俺達、その時!
「どうやら、勝負はついたようだな」
辺りに荘厳な声が響く!
そして、空からゆっくりと舞い降りて来たのは!
「八枚羽根の天使!?」
8枚の白い羽根を持った天使だった!




