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魔王軍はお金が無い  作者: 三上 渉
第十一章:魔王と半神アリア
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魔王と半神アリア

:魔王と半神アリア


「勇者よ!コイツらを皆殺しにしろ!!!」

「はい・・・!神の敵を殲滅します・・・!」


ジョシュアの命令と同時に戦闘を再開するアリア!

そして、それを迎え撃つ3人の魔王軍幹部!


「私が前衛!ウラムは後衛!ギガスがサポート!いいわね!?」

「了解」

「承知致しましたラグナ殿!」


そしてアリアの正面に立ったラグナは、氷で剣を作ると向かってくるアリアの剣を捌く態勢に入る!しかし!


キイイッッン!!!


「ッ!!!」


予想以上の剣の重さに威力を流しきれず、次の手が遅れてしまうラグナ!

アリアは間髪入れず2撃目を放つ!だが!


ブンッ!!!


剣が空を斬る音!

アリアのその一撃はラグナには届かず空を斬っていた!


ブンッ!!!ブンッ!!!


アリアは3撃目、4撃目と剣を振るうが!その剣を全て!紙一重でラグナは回避していく!


「確かにパワーは凄まじいわ。けど、勇者の剣って事はアルゼアの剣と同じって事でしょ?だったら、私に見切れない道理は無いわね!」


まるで数手先の攻撃まで全て分かっているかの様な動きで剣をかわしていくラグナ!

その様子を見ながら、後衛に控えていたウラムが呟く


「まあ、アルゼアさんの剣は幾度となく戦ったライバル、ラグナの剣術を無意識の内に模倣して作り上げられた物ですからね。その剣の源流であるラグナが見切れない道理はありません。ですが・・・」


ブンッ!!!


「・・・ッ!」


またもや紙一重で回避するラグナ!

だが、先程までの余裕はラグナには無い!


「ちょっとちょっと・・・冗談じゃないわよ・・・!」


何故ならば!アリアの剣閃は先程よりも僅かに速くなっていたからだ!


「修正・・・修正・・・!」


一度攻撃を外すと同時に腕の動きを修正!体の動きを修正!脚の動きを修正!


ヒュンッ!!!


アリアの剣の返しがじょじょに速くなっていく!


「いくら人間が成長する生き物だからって、早すぎよ!!!」


これ以上回避し続けるのは限界か!?ラグナがそう考えた瞬間!!!


(ラグナ!!!)

「ッ!!!」


ゴオッ!!!


ラグナの目の前を掠めていったのは剣ではなくアリアの左拳だ!

ティスの言葉に咄嗟に回避出来たが、一瞬回避が遅ければ一撃で頭蓋を砕かれていた!


「格闘術も有りな訳!?」


とは言うものの、アリアの一撃は術と言うような洗練された物ではない!

凄まじいパワーで拳を振るっただけだ!

そして更に追撃の態勢に入るアリア!だが!


「ッ!!!この間合いはマズイ!!!」


ドガッ!!!


仰け反った状態から咄嗟に前蹴りを放ち!その反動で間合いを離すラグナ!

それを合図に後衛に控えていたウラムが前に出る!


「ラグナ代わります!ギガス!」

「はっ!」


ラグナとアリアの間合いが離れた瞬間!ギガスがすかさず援護射撃を行う!


ドガガガガガガッ!!!


ギガスのガトリング銃から放たれる弾丸の雨!

だが!アリアは今度は回避せず左手を弾丸に向かってかざすと!


バババババッ!!!


目にも止まらぬ速さで、飛来する銃弾を全て掴み取る!

そして!無造作に腕を振り上げると・・・!


「・・・投擲!」


ブンッ!!!


掴み取った銃弾をギガスに投げ返した!


バシュッ!!!


まるで散弾銃の様にギガスに襲い掛かる鉛の弾!


「なんとっ!!!」


咄嗟に防御体制を取るギガスだったが!

弾丸のいくつかはギガスのボディを貫通していった!


「ギガス!!!」

「軽傷です!それよりもウラム殿!」

「ええ!!!」


だがその隙を狙って!間合いに入ったウラムが剣を振るう!

狙いは剣を持つアリアの右腕だ!


「無傷で・・・などと虫の良い事は言っていられません!」


ブンッ!!!


そしてウラムの渾身の一撃がアリアの右腕を捉える!だが!


ガキイイイインッ!!!


激しい音と共にウラムの剣が弾かれた!


「何っ!?」


だがアリアの防御が間に合ったのではない!ウラムの剣は確実にアリアの右腕を捉えていた!


「敵性体の攻撃・・・脅威度はゼロと判断」


にもかかわらずアリアの腕には一筋の傷すらついていない!

つまりウラムの攻撃は純粋に効かなかったのだ!

それに対し間髪入れず反撃を放つアリア!


ブンッ!!!


だが!その剣は空を斬る!

ウラムは既に、アリアの剣の間合いの外に離脱していた!


「ハァ・・・!ハァ・・・!」


間合いを離し、息を整え仕切りなおすウラム

同じく息を整えながらラグナが言った


「ちょっと・・・これは想像以上にやばそうね」

「ええ。一撃必殺の攻撃力に全ての攻撃を無効化する防御力」

「その上、まだ成長途上・・・今はなんとか凌げてるけど、その内手に負えなくなるわよ」

「とりあえず、なんとかして行動不能にするという案は却下ですね」

「全く、とんでもない子孫を残していってくれたわね・・・地獄に行ったらアルゼアに文句言ってやる」

「・・・地獄にアルゼアさんは居ないと思いますが」


そして、この状況を打開する手を模索するラグナとウラム


「先にアイツを狙うってのは?」


ラグナの視線の先に居るのは六枚羽根の天使、ジョシュアだ


「ククッ・・・」


その視線に余裕の笑みを返すジョシュア


「・・・難しいでしょうね。あちらを狙った瞬間にアリアさんが飛んでくるでしょう。恐らく、今のアリアさんには主を守る事も命令されているはず。だからこそ、あの天使は我々の前に堂々と姿を現しているのだと思われます」

「腹立つわね・・・それで、他の案は?アンタには何か策は無いの?」

「・・・少しだけ気になる事はありますが、今の所は何も」


そう落ち着いた声で答えるウラム

要は手詰まり。状況を打開する手は一つも無い

だが、ラグナには一つだけ気がかりがあった


「・・・なるほど。絶望的な状況だって事は理解出来たわ」

「ええ、まあそうなりますね」

「それで?」

「?」


その時、ラグナはウラムにだけ聞こえるような小さな声で言った


「それで、アンタはいつまでふざけてるつもり?」

「・・・」

「アンタの本気ならこの状況なんとか出来るでしょ?このままだと皆死ぬわよ?」


ラグナの言葉に少し考え込むウラム、だが・・・


「残念ながら、無理です」

「この期に及んで・・・!」

「・・・これが、今の私の全力なのです」

「今の・・・?」


その時、ラグナはウラムの体の魔力の流れの違和感に気付く


「アンタ・・・その体・・・」


意識しなければ気付かない、いや気付かれないようにしていたのだろう

ウラムの体には魔族の体にあって当然の物が無かった


「もう少しで修復も完了していたのですが・・・ままならないものです」


そう苦笑いを浮かべながら呟くウラム

その時、荒野にジョシュアの声が響き渡った!


「さあ!そろそろ作戦会議は終わりか!?どんな悪あがきをするつもりなのか見せてみろ!!!」

「残念ながら作戦はありませんよ。ですが、最後まで悪あがきはさせてもらうつもりです」

「ハッハッハッ!!!殊勝な心がけって奴か!?」


ウラムの言葉に、大きな笑い声を上げるジョシュア。そして!


「だったら!更に絶望を与えてやるよ!」


次にジョシュアが放った言葉は、ウラム達を驚愕させる物だった!


「勇者よ!手加減してやるのは終わりだ!全力でやれ!!!」

「・・・はい」


ゴッ!!!


その瞬間!アリアの体から放たれる魔力が一気に膨れ上がる!

その魔力量は先程のアリアの2倍!いや3倍に近い量だった!


「ちょっと・・・洒落にならないわよ?今まで手加減してた?アレで手加減?嘘でしょ・・・?」

「我々をいたぶって楽しんでいた・・・という所ですか」

「ホントムカつくわね、あの羽根付き!絶対殺すわ・・・!」


ジョシュアに向かって、殺意を込めた眼差しを向けるラグナ


「目標確認・・・戦闘を再開します」


その時!剣を構えたアリアが標的に!ウラム達に狙いを定める!


「来ます!」

「くっ!」


すかさず迎撃体勢に入るウラム達!

それに対し!アリアは地面を蹴ると、まるでロケットの様にウラム達に向かっていく!


ゴッ!!!!!


そして、本気になったアリアの苛烈な攻撃が始まった!






それから数時間・・・

全力のアリア相手になんとか攻撃を凌ぎ続けるウラム達・・・!だが


「神聖斬・・・!」


ゴオッ!!!!!


アリアの聖剣から膨大な量の魔力が放たれる!

その強烈な一撃に薙ぎ払われ倒れ伏すウラム達!


「ゴメン・・・もう無理っぽいわ・・・」

「損壊率80%を超えました・・・戦闘継続困難です・・・」

「これはどうやら年貢の納め時というやつでしょうか・・・?」


もはや立ち上がる事も出来ないウラム達!

その様子に勝利を確信したジョシュアが最後の命令を下す!


「さあトドメを刺せ!!!「勇者」!!!」

「命令受諾・・・敵を殲滅します・・・」


カッ!!!!!


そして!眩い光が全てを飲みこもうとした・・・その瞬間!


「待ってください!!!」


その言葉にピタリと剣を止めるアリア!


「何っ!?」


最後の一撃が放たれようとした瞬間!ウラム達とアリアの間に立ちはだかったのは!


「フィーリス・・・!?」


2枚の白い羽根を持った天使、フィーリスだった!

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