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魔王軍はお金が無い  作者: 三上 渉
第十一章:魔王と半神アリア
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魔王と半神計画

:魔王と半神計画


「そう、コレこそがソイツの本当の姿!!!ソイツは天使によって創りだされた存在!半神計画の完成系!魔を打ち払う神罰の体現者!「勇者」だ!!!」


そう、ジョシュアが叫んだ!


「アリアが、創られた存在・・・!?」


ジョシュアの言葉に俺は大きく動揺する

そんな俺に対して、ジョシュアは続けて言った


「その通りだ。こいつは戦う為に創られた道具ってわけだ!」

「なっ!?アリアが道具!?そんなわけあるか!アリアは普通の人間だ!」


俺はすかさず叫びジョシュアの言葉に反論する!だが


「普通の人間?これだけの力を持った人間が自然発生するとでも?本気でそんな事を思っているのか?」

「ッ!・・・それは」


確かにアリアの力は人間のレベルを遥かに超えている、それが自然の産物と考えるのは明らかに不自然だろう


(「勇者だから」と今まで疑問にも思っていなかった。けど、改めて考えて見ればアリアの力は異常と言わざるを得ない・・・)


言葉を詰まらせる俺に、ジョシュアはニヤリと笑うと言った


「いいだろう、教えてやる。半神計画とは何か、勇者とは何かをな」


そして、ジョシュアが語りだす

勇者が創り出された経緯を・・・






「事の発端は600年前。この星に一人の魔族が現れた事。そう「魔神王」と呼ばれた魔族だ」

「魔神王!?それは確か・・・」


確かその名前には聞き覚えがある、いつだったかフィーリスに聞いた魔族の名前だ。だが・・・


「それは都市伝説の類だったはずだ!」


俺はジョシュアに向かってそう叫ぶ!

だが、ジョシュアは至って冷静に答えた


「その通りだ。先日までは、俺も魔神王など与太話の類だと思っていた。だが、魔神王は実在したらしい、その証拠が残されていた。データベースからは完全にその存在が抹消されていたが。辺境の資料室の片隅にほんの僅かだが、魔神王が実在したとされる資料が残っていたのさ。紙媒体なんて時代遅れな形でだがな」


そして、ジョシュアは続ける


「そして。魔神王の力に驚異を感じた天界は、それを打ち倒す為の存在を創り出そうとした。その計画が「半神計画はんしんけいかく」だ」

「半神計画!?」

「そうだ。神は絶大なる力を誇るが、その完璧さ故にそれ以上の成長をする事は無い。そこで神の力を人間の体に植え付け、成長する神を創り出そうとしたのさ」


成長する神・・・半神計画・・・

俺はジョシュアの言葉を心の中で反芻する、だがジョシュアの言葉はそれで終わりではなかった


「だが・・・計画は失敗した」

「失敗?」

「神の力を扱うには、人間の体は脆弱すぎたのさ。被検体1号の名前・・・確かアルゼアとか言ったか?」

「アルゼア・・・」


ジョシュアの口から出てきた名前にラグナが呟く

アルゼア、初代勇者と呼ばれた人物だったはず


「アルゼアは半神計画により神の力を移植された初めての被検体だ。だが、所詮脆弱な人の身ではその力を十全に操れず、当初想定していた戦闘能力を発揮出来なかった。その上、稼動時間の短さも問題になった」

「稼動時間・・・?まさか!?」

「そう「寿命」だ。当時かなり無理な人体改造を施したらしく、アルゼアが勇者として戦える期間は長く見積もって3年間。その後は力を制御しきれず体の内側から崩壊、自滅するだろうと資料には残されていた。つまり、完全な失敗作だったって訳だ!」

「アルゼアが・・・失敗作・・・!?」


その言葉にラグナが放つ怒りの気配がさらに強くなる!

だが、それを意に介した様子もなくジョシュアは続けて語り始めた


「・・・とは言え。アルゼアは所詮最初の披検体、失敗も想定内だった。この失敗は次の被検体で改善すればいい、研究者達はそう考えていたらしい。ところが、ここでもう一つの問題が発生した」

「もう一つの問題?」

「「魔神王の消失」だ。600年前突然現れた史上最強の魔族は、何故か忽然と姿を消したのさ」

「忽然と姿を消した?一体何処へ・・・?」

「さあな。魔神王の消息についての資料は残されていなかった。大方、どこぞの星で野垂れ死んだんだろうよ。とにかく、魔神王の消失により半神計画はその存在意義を失い。以後研究が続けられる事もなく、実験体と共に放棄されたというわけだ」


それが600年前の出来事、半神計画と初代勇者アルゼアの記録

だが、それなら・・・


「だったら、計画は全て潰れたって事のはずだ!今になって何故!?」


俺はそう叫ぶ!だが・・・


「クックック・・・」


俺の言葉に対しジョシュアは笑うと、続きを話し始めた


「そう、計画は全て放棄されたはずだった。ところが・・・ここで天界の誰も予想しなかった事態が起こった」

「予想外の事態・・・?」

「600年前、被検体1号アルゼアは死ぬ前に子供を残していた。しかも、その子供にはアルゼアに移植された神の力が受け継がれていたのさ」

「神の力が遺伝した!?」

「その通りだ。元々それは、人間の体に無理矢理外付けした様な歪な力だった。しかし代を重ねる事に、じょじょに神の力は人間の体の内側に溶け込んでいった。アルゼアの子孫はより強く、より自然に神の力を扱える様になっていったのさ。そして・・・!」


続けて、ジョシュアは大声で叫んだ!


「600年の時を経て!計画は誰も予想しない形で完成を迎えた!」


ザッ!


「・・・」


ジョシュアの宣言と同時に、俺達の前に立ち塞がるアリア!


「これが半神計画の完成系!成長する神!魔を打ち払う者「勇者」だ!!!ハッハッハッハッ!!!」






高らかに笑い声を上げるジョシュア。だがその時・・・


「なるほど。よく分かりました」


それまで、黙ってジョシュアの言葉を聞いていたウラムが口を開いた


「理解出来たか!コイツが道具であるという事を!」


そのウラムの言葉に、ジョシュアはニヤリと笑って言う。しかし・・・


「いえ。そちらではなく」


そしてウラムは、普段通りの落ち着いた声で断言した


「貴方達が何も分かっていないという事がよく分かりました」


ピクッ・・・


そのウラムに言葉に、それまでニヤついていたジョシュアの表情が固まる


「何だと・・・?」


そんなジョシュアに対し、ウラムはフッと軽く笑うと続ける


「貴方達は何も分かっていない。半神計画?神の力?そんな物はただの付加価値に過ぎない。勇者の強さの理由はそんな物ではない。・・・少なくとも、「私が見た勇者」はそんな力に頼ってはいなかった」

「ウラム・・・?」


ウラムの言葉に違和感を覚え、呟くラグナ

だがその時、ジョシュアが叫んだ!


「ふざけた事を!だったら!勇者の強さの理由は何だと言うつもりだ!?」

「さあ?正直私にも分からないままなので」

「コイツ・・・!!!」


ウラムの飄々とした態度に怒りを募らせていくジョシュア!

そして、ウラムはジョシュアに対して告げる


「ですが、あえて言うならば。それは彼らが「人間」だからです。神などではなく、脆弱な人間だからこそ、「勇者」は奇跡を起こせるのです」

「奇跡だと?そんな不確定な物が、力の理由になるものか!!!」

「貴方に理解してもらおうとは思っていません、私自身もよく理解出来ていませんからね。ただ、そうとしか言いようが無いというだけです」


その時、一瞬だけウラムがこちらの方を向いた


「私は信じていますよ。人間が起こす、奇跡の存在を」


そのウラムの言葉に、それまで怒りをあらわにしていたジョシュアの表情がスッと冷たい物に変わる

その顔に宿っていた物、それは殺意だ


「・・・いいだろう。これ以上の話は無駄だ」


そして!ジョシュアはアリアに向かって命令を下す!


「勇者よ!コイツらを皆殺しにしろ!!!」


その言葉と同時に、再び戦闘体勢に入るアリア!だが!


「手を貸すわよウラム。あの天使は気に食わないしね」

「私も援護しますウラム殿。今度は不覚を取りません」

「お願いします二人とも。正直、私一人ではキツかったもので」


戦闘態勢に入る魔王軍幹部の3人!

いずれも尋常でない力を持つ強力な魔族だ!


「あの3人なら無敵にゃ!怖い物無しだにゃ!」

「でも、相手はあのアリアちゃんにゃ・・・!アリアちゃんの力はあの3人でも勝てるかどうか・・・!」


リィの言葉に、そう不安そうに返すマウ

その時、ミケが前衛に出る3人を何か思いつめた様な表情で見つめていた


「みなさん・・・」


そんなミケに、ウナが声をかける


「ミケ。分かってると思うけどにゃ・・・」

「うん、分かってるウナちゃん。あの4人の戦いの中じゃ、私は完全に足手まといにしかならない・・・」


そのミケ達のやり取りを隣で聞いていた俺は、ウラム達に視線を送りながら呟く


「みんな頼む・・・!」


それと同時に!ウラム達が戦闘を再開する!

魔王軍と勇者の戦いが再び幕を上げた!

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