表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王軍はお金が無い  作者: 三上 渉
第十一章:魔王と半神アリア
100/145

魔王と神罰の体現者

:魔王と神罰の体現者


3月14日

魔王城周辺に広がる荒野にて、その戦いは行われていた


「はああああああ!!!」


ラグナが渾身の力を込めて、手に持っていた剣を大上段から打ち下ろす!


ブンッ!!!


魔神であるラグナの一撃は岩どころか、鉄の塊ですら粉々に粉砕する程の威力である!


ガキイィン!!!


だが!白い甲冑を身にまとった騎士は片手で剣を振るうと、ラグナの渾身の一撃を無造作に打ち払う!


ヒュンッ!!!


そしてそのまま、打ち払った手を返すと反撃の一撃を放つ!


「クッ!!!」


まともに受けてはいけない!正面からこの一撃を受ければ剣ごと身体を両断される!

ラグナは相手の力の流れを逸らす様に受け流そうとする!しかし!


ガキイィィン!!!


「重っ!!!」


確かにインパクトは避けた。それでも尋常でない威力の一撃にラグナの体制が崩れる!


「ラグナ!!!」


すかさずフォローに入るウラム!


ダッ!


ウラムは10メートル程の間合いを一気に詰めると、白い騎士の背後から剣を振るった!


ガアンッ!!!


だが、この高速の一撃を白い騎士は左手の手甲でなんなく受け止める!

しかしその時、ウラムが呟く!


「ええまあ、この程度では崩せませんね・・・。ですが!」


そう、これにより白い騎士の両手が塞がれる事となった!

決定的な隙を見せる白い騎士!


「今です!」

「承知しました!!!」


ウラムが叫ぶと同時に、すかさず控えていたギガスが飛び込んでくる!


カシィンッ!


同時に、ギガスのボディから飛び出てきた端子が帯電する!

高圧電流を流し、相手の動きを止めるライトニングコレダーだ!


「・・・」


両手が塞がっている上に、下手に動けばその隙を狙われる!

もはや白い騎士にギガスの一撃を避ける手段は無い!そう思われた!

だが!ギガスが懐に入った瞬間!


「神聖防壁・・・」


キィィィィンッ・・・!


白い騎士が呟くと同時に障壁が展開される!


「何っ!?」


ガキィンッ!!!


そして!その障壁で3人の攻撃を受け止める白い騎士!更に!


「拡大、展開・・・!」


カッ!!!


白い騎士はその障壁をまるで爆発させるように広げると、3人を大きく吹き飛ばした!


ドオンッ!!!


急激な防壁の拡大により吹き飛ばされたラグナ、ウラム、ギガスの3人は、地面に激しく体を打ち付ける!


「ぐあっ・・・!ただの防御魔法が、まるで攻撃魔法ね・・・」

(ラグナ!)

「大丈夫よティス・・・それより、貴方の体を傷つけちゃってごめんなさい」


そう答えるラグナの体には無数の傷が付いていた、だがそれはラグナだけではない

数時間に及ぶ攻防の間に3人の体には無数の傷がつき、そして体力や魔力もかなり消耗してきていた。だが・・・


「・・・」


対する白い騎士の方は無傷、体力の消耗も全く感じられない

体勢を崩している3人を追撃する事もなく、無言で立ち尽くしている


「ねえ、ウラム・・・」

「なんですか?」

「もしかしてこれって、相当ヤバイ状況なんじゃないの?」


ラグナの顔にはいつもの余裕は全く無い。そして・・・


「ええ、ヤバいですね。・・・正直な話、全く勝てる気がしません」


そう答えるウラムの表情にも焦りが積もり始めていた


「3人がかりで手も足も出ないなんて、反則すぎよ・・・」


戦力差は圧倒的、打開策も無し

3人は少しづつ、敗北の足音が忍び寄ってくるのを感じていた


「フッフッフッフッ・・・ハッハッハッハッハッハッ!!!」


その時、白い騎士の背後に控えていた男が笑い声を上げる

天使には似つかわしくない残忍な笑みを浮かべた六枚羽根の天使、ジョシュア・レドヴァインだ


「力の差は歴然!今度は小賢しい真似も出来ないだろ!?つまり!これで今度こそ貴様等も最後ってわけだ!アッハッハッハッハッ!!!」


さらに高笑いを続けるジョシュア。そして!


「さあ!この秩序を乱す悪魔共に神罰を下せ!」


そう、ジョシュアは白い騎士に向かって命令する!

その命令と同時に、白い騎士の持っていた剣に大量の魔力が集中し始める!


「来るわよ!」


膨大な量の魔力が集中した剣が白く輝く!そして!


「神聖斬・・・!」


ゴオッ!!!!!


白い騎士が両手持ちにした剣を横薙ぎにすると同時に!剣に集中していた魔力が放たれた!


「ッ!!!」


それぞれ防御体制を取る3人!


ドオンッ!!!


だが!圧倒的な量の魔力の奔流に耐え切れず吹き飛ばされる!


「みなさん!」

「「「みんにゃ!!!」」」


遠くからそれを見守っていたミケ達が叫ぶ!

そして土煙が消え去り、視界が開けてきた・・・

そこに見えていたのは、白い騎士が放った魔力の奔流に薙ぎ払われ荒野に倒れ伏す3人

もはや体力も魔力も尽き、立ち上がる事すら出来ない


「ゴメン・・・もう無理っぽいわ・・・」

「損壊率80%を超えました・・・戦闘継続困難です・・・」

「これはどうやら・・・年貢の納め時というやつでしょうか・・・?」


全滅・・・

全員の頭にその言葉がよぎる


「クソッ・・・!」


その様子を、ミケ達と同じく遠くから眺めていた俺は呟く

このままではマズイ!なんとかして打開策を見つけ出さなくてはならない!だが・・・


(ダメだ・・・どう足掻いても勝てる目は無い・・・)


作戦は皆無、もはや奇跡を望める様な状況でも無い

今までも絶望的な状況は何度もあった、だが今回ばかりは一筋の光すら見えない

そしてそんな俺達に、ジョシュアが告げる


「さあ、これで終わりだ!」


そしてまたもや、白い騎士の剣に魔力が集中し始めた!


ゴオオオオオオッッッッッ!!!


凄まじい魔力の集中により大気が震える!

先程の一撃の時よりも、更に強大な一撃が放たれようとしていた!


「あれでまだ本気じゃなかったとか・・・トドメ刺すだけにそれはやりすぎじゃないの・・・?」

「本気・・・ですか」


今度は防御も出来ない

あの一撃が放たれれば確実に、3人は塵一つ残さず消え去るだろう

そして・・・ジョシュアが白い騎士に命令を下した!


「さあトドメを刺せ!!!「勇者」!!!」


ジョシュアがそう叫ぶ!

その言葉を合図に白い甲冑を纏った騎士・・・!


「命令受諾・・・敵を殲滅します・・・」


金色の髪の少女、勇者アリアがその剣を振るう!


「・・・」


その表情には怒りも悲しみも無い、ただただ無慈悲に罰を下す冷酷な顔

何の感情も持たない、神罰そのものを体現する様だった


「クソッ!!!正気に戻れ!!!アリアーーーーーーー!!!!!」


そして!


カッ!!!!!


眩い光が全てを飲み込んだのだった!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ