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魔王軍はお金が無い  作者: 三上 渉
第一章:魔王とはじめての異世界
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プロローグ

:プロローグ


4月13日

メルヒェンス山の麓


「どうやら片付いたみたいだな・・・」


ロケット発射場付近には破壊されたロボットの残骸がいくつも散らばっており、地面に穿たれたいくつものクレーターが激しい戦闘の後を思わせた


「ロケットの発射準備は順調、発射まであと10分程度です、魔王殿」


ギガスが発射までの進捗を報告し、司令室でそれを聞いていた俺は呟く


「そうか。あとは成功を祈るだけか・・・」


魔王城の側に建設されたロケット発射場、そこに高くそびえるロケットは既に発射目前の状態となっていた

俺はその様子をモニターしながら緊張に喉を鳴らす

このロケットの打ち上げに世界の命運がかかっている、失敗するわけにはいかない

その時、ウラムから通信が入った


「いえ、魔王様。どうやらそう簡単にはいかないようです」


ウラムが指し示す方向にはこちらに向かってくるロボット、おそらく敵の増援だろう


「追加のお客様のようです。数は・・・ざっと300と言った所でしょうか」

「あーいうのは招かれざる客って言うんだよ。クレーマーの対処はお前の仕事だろ?なんとかしろ」

「分かってますよ魔王様。しかし我々は消耗しきっています、あの数を5人だけで捌くのはやや骨が折れると思いますが」

「無茶でもなんでもやるしかない!今回に限っては赤字でもなんでもいいから!どんな卑怯な手を使ってでもロケットを守れ!」

「どんな卑怯な手と申されましても・・・、いえ魔王様らしくはありますがね」


そういってウラムはニヤリと笑って見せる

世界が滅ぶかもしれないと言う状況でも冷静そのもの

まあこいつが本気で焦ったりしている所など想像出来ないが


「大丈夫ですソーマさん!ロケットは絶対に守りきってみせます!」


俺とウラムの緊張感の無いやりとりの間にアリアの声が響く

人類最終兵器とも言える勇者アリア、魔王軍の危機を幾たびも救ってきた最も頼れる仲間だ

彼女の声を聞くと不思議となんとかなる様な気がしてくる


「世界を救う為!勇者アリアの力、存分に奮ってみせます!!!」


そう言って聖剣を構えるアリア

その姿はまさに世界を守る最後の、そして最強の砦と言えるだろう


「仕方ありませんね。勇者さんがやる気なのに我々がサボるわけにもまいりません」

「はい。我が魔王軍の科学力を見せるとしましょう!」

「了解・・・スライム達も一緒・・・」

「わ、私もとにかく全力で頑張ります!」


魔王軍幹部である四天将軍

ウラム、ギガス、ティス、ミケもそれぞれ迎撃体勢に入る


「いいか?あと10分ロケットを守りきればこっちの勝ちだ!ただしロケットが破壊された場合は俺もおまえらもこの星ごと吹っ飛ぶ事になる!」

「所謂、正念場と言った所ですね」

「ああ、気合入れろよ!」

「お任せ下さい魔王様」

「よし・・・迎撃開始!!!」


俺の合図と共にそれぞれが敵の迎撃に向かい、戦闘が再開される

ここにこの星の、惑星セレンディアの命運を賭けた最後の防衛線が始まった

そして激しい戦闘が繰り広げられる中、俺は空の彼方から飛来するソレを睨んだ


「必ずぶっ壊す・・・!!!」






これは俺が魔王としてこの世界で生きた記録

何の力も持たない人間の魔王と、それを支えた部下達のたった1年間の出来事だ

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