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ワンコと一緒に異世界転生~親子で行く、ちょっと変わったチワワ連れ異世界道中記~  作者: 無呼吸三昧
蛇足だって無駄ではない

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第075話「蛇足編02:新規勧誘キャンペーン」

これにて終わりとしますね。


神界での生活にも少しずつ慣れてきた頃。

俺と恵良えらの神域に、懐かしい気配が近づいてきた。


「とーちゃん!

遊びに来たよ!」


元気な声と共に現れたのは、ヒナタ……なのだが。


「……ん~?

ん?

おいヒナタ、お前なんかまたデカくなってないか?」


目の前にいるのは、俺の知っているチワワのサイズ感ではない。

体高は大型犬……そうだな、ゴールデン・レトリバーくらいはあるだろうか。

それでいて顔は完全にチワワ(小型犬)なので、違和感が凄まじい。

頭の大きさだけでスイカくらいあるぞ。


「ふふ~ん、神格が安定したら大きくなっちゃったよ。

えいっ!」


ドスッ。


ヒナタが甘えて体を擦り付けてくるが、重量感が以前の比ではない。


普通にアメフト選手のタックルなんだが…

いや?

受け止められるよ?っていうかちゃんと受け止めました!

俺、神格得たからね!神様になってるからね!

ちょっと痛かったとか言わないから。


「まあ、元気そうで何よりだけどな。

で?

今日はどうしたんだ?

自分の宇宙作りは順調か?」


俺が尋ねると、ヒナタは「うん!」と頷き、唐突に言った。


「とーちゃん。

コピー作っていい?」


「……は?」


会話の接続詞が抜けている。

いきなり何を言い出すんだこの犬は。


「何のコピーだ?」


「とーちゃんの。」


おん?

そんなもん何に使うん?


「分解しないならいいぞ。」


流石に実験材料として分解されたり、パーツ取りにされるのは御免だ。

本人は神体とはいえ、自分のコピーが人界でバラバラにされるのとか嫌だし。


「ぼくはしないよ~。

ユーリとサマンサがね、とーちゃんロス症候群なんだよ。」


「あ、あ~……。」


その言葉に、俺は言葉を詰まらせた。

地上に残してきた二人。


コロンダの件に関しては、何とも申し訳なさで一杯だが、あの二人は俺への依存度が高かったみたいだからな……。


その他、サロモンさんや小松、優貴ユウキたちはそれぞれの道を見つけて歩き出しているので安心だ。


ん?

サーラ?


暫く凹んだみたいだけど、優貴ユウキの側室へシフトチェンジしたらしい。

日々生死の境で戦ってるような上位ランク冒険者なんで、死生観は達観してるみたいだな。


ネテーテも優貴ユウキの覇道のために許容との事。

ただし子供は自分の後っていう約束だとか。

そう言う部分に関してはサーラ含めてこの子も随分達観してるよな~。

皇族だし貴族だからかもしれんけど。


それに比べてユーリとサマンサだ。

あの子達は俺が死んだ(ことになった)後も、気丈に振る舞ってはいるが、内心ではかなり参っているらしい。

神界のモニターで見ても、たまに俺の遺品を抱きしめて遠い目をしていることがある。


オリハルコンや聖銀の武器は抱きしめると危ないからやめような。

違う意味でハラハラするわ。


そう言えばサマンサの同僚(学園教師)が、自暴自棄のやけ酒に付きあわされて3キロ太ったのを嘆いていたなぁ…


ホントに凹んでる?


「なんか悪いな~とも思ってるんだけどな。

かと言って、記憶を消すのも違う気がするし……。

で、コピーしてどうすんの?」


俺の問いに、ヒナタが巨大な前足で「ふふーん」とドヤドヤポーズを決める。


「ぼくの世界に勧誘するんだよ!

『今なら入会特典として、とーちゃん(コピー)が貰える!』

ってやつで。」


「またオマケかよ!」


最初の転生の時と同じパターンじゃないか。

そんな通販番組みたいなノリで、誰が喜ぶんだよ。


「いや、コピーって言ってもだな、それは俺であって俺じゃないというか……

倫理的にどうなんだそれは。」


俺が難色を示していると、それまで黙って聞いていた恵良えらが口を挟んできた。


「別にいーんじゃない?」


恵良えら

そんな感じでいいのかな?」


「だって、あの二人をこのまま放置してて、万が一にも自暴自棄になって死んだらこっち(神界)に来ちゃうじゃない。」


「不味いのか?」


「アタシ、この世界でのアナタの『ユニーク(唯一性)』は絶対に崩したくないの。」


恵良えらが絶対的な独占欲を滲ませて言う。


恥ずかしい話、俺の事を独り占めしたいと言われているみたいだ。


「でも、ヒナタの世界に行ってくれるなら話は別よ。

余所の世界の話だもの。

現地でコピーとよろしくやって、幸せになればいいわ。

まさにWin-Winじゃない?」


要するに「私の目の届く範囲に、他の女と共有するアナタがいるのが許せない」という理論らしい。

神様の度量があるのかないのか分からない。


「……お前、そんな独占欲強かったか?」


「ふふ、エラコの事、思い返してみるといいわ!」


※読み直してみようぜ


「というわけで、とーちゃん。

ちょっとデータ抜かせてね。」


「あ、おい待て。

あ、ヒナタ、横着して物理干渉でデータ抜こうとしてるな!?

くすぐったい!

あーっ……」


ヒナタが俺の額に自分の額(スイカ大)を押し付ける。

ピピピ……という電子音が脳内に響き、俺の人格データや記憶データが転送されていく感覚がした。


「完了!

これで『とうちゃん・オルタナティブ』の完成!

とーちゃんよりちょっとだけ性格をマイルドにしておくね。」


「余計なオプション付けるな。」


「じゃあ行ってくるね!

ユーリとサマンサ、勧誘してくる!」


ヒナタはブンブンと尻尾を振り、突風を巻き起こして飛び去っていった。


「……はぁ。

あいつら、本当にそれで幸せになれるのかねぇ。」


「なるわよ。

コピーとはいえ、アナタの情報そのものだもの。」


恵良えらが静かに微笑む。

そこには、肉体的な欲求などは微塵もなく、ただ同じ世界を共有する安らぎだけがあった。


「それに、アタシにとって大事なのは『ユニークなスグルの根源はアタシだけのもの』っていう事実だけよ。」


「……独占欲強いな。」


「当然でしょ?

私たちは晴れて創造神様同士。

肉体的な繋がりなんてどうせ設定だもの。

ただ、同座標の世界において、スグルとアタシが夫婦創造神であるという事実で満足なのよ。」


「……そうか。」


恵良えらの言葉は、不思議と腑に落ちた。

肉欲ではなく、魂のレベルでの結合。

それが、創造神である彼女が求めた「夫婦」の形なのだろう。


「だから、安心しなさい。

アタシはアナタの心がここにあるだけで満たされてるわ。

……まあ、アナタが望むなら、いくらでも奉仕パフパフしてあげるけど?」


「……いや、遠慮しておく。

俺も、今はこうしてのんびりしてるだけで十分だ。」


多分、変なオチがついてくるのは間違いない。

パフパフだと何かな?

ん~

まぁ既に遠慮したからいっか。


「ふふっ。

そうね。

ネタ考えてあったのに残念だわ。」


俺たちは静かに、ヒナタが飛び去った後の波紋のない白い空を見上げた。

エロも派手さもないが、これはこれで悪くない「神様ライフ」なのかもしれない。

お読みいただきありがとうございました。

感想頂ければ幸いです。

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