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第003話「帯同者の選択」

連即投稿3話目です。


創造神である王慧おうけいさんの口から、僕に向けて唐突に語られた内容はこうだ。


優貴ユウキ君には現実の剣と魔法の世界、そう、異世界へ行って頂きます」

「え……嫌だ」


――即答だ!強制だったらどうしよう?泣きそうになってきた……これ、何の嫌がらせ?僕の夢じゃなかったの?――


王慧おうけいさんの方もヤッパリナーって顔をしてる。


「うんうん、そうですよねぇ。嫌ですよねぇ。しかしですね、優貴ユウキ君が心配している程、異世界の生活環境は酷い物ではないですよ?大きな街ならそれなりに綺麗ですし、衛生面に関してとても徹底している都市なんかもありますから、住む場所を選べばそれなりの暮らしは出来ます。まぁこと虫に関しては自然が多い関係上、ある程度避けられない事情はありますが、そこはほら?魔法がある世界ですからね、それ用のスキルなんかで何とかなりますし、チートな感じで付与しておきますので心配いらないかと……」


何を言われたって、僕は一人で異世界になんて行きたくない。

僕が急に居なくなったりしたらお父さんやお母さんが悲しむじゃないか。


「僕、お父さんやお母さんと一緒に居たい。ヒナタともっと一杯遊びたい。だから異世界には行きたくない!」


泣かないように我慢しているけどポロポロと涙がこぼれた。

ヒナタというのはうちで飼っている小型犬の名前だ。

ロングコートチワワのオスで、イザベラタンホワイトっていうちょっと変わった毛の色ですごく可愛い。

去勢したわりにヤンチャで、偶に調子に乗って噛みついてきそうになるけれど、いつも家族皆の周りをくるくると遊びまわってる。


ヒナタはまだ1歳にもなっていない。

僕の家にやってきてまだたったの半年なんだ。

僕だけ異世界にいってしまって、お父さんにもお母さんにもヒナタにも、もう会えなくなるなんて絶対に嫌だ。

溢れ出る涙が止まらない。

視界は滲み、もう王慧おうけいさんがどんな顔をしているかを見ることも難しい。


「勘違いしてる部分があるようですので良く聞いて頂けますか?いいですか、優貴ユウキ君が異世界に行ったとしても、今の現実には何の影響も出ません。ですから、それを踏まえて話を聞いて貰っても良いでしょうか。この際、現実に異世界へ行く話は一旦忘れましょう。これは、もしも?の話になります。もしも優貴君が異世界に行かなければならなかった場合、どんなスキルがあったらいいな、と思いますか?これなら答えられそうですか?」


ゴシゴシと目を擦り、視界の邪魔になる涙を拭った。王慧おうけいさんは優しそうに微笑みながら、僕が答えるのを待ってくれている。


「グスッ、うん、でも、異世界には絶対に行かないよ?でも、もしもの話でも、僕は一人で行くのは嫌だ。ヒナタも入れて家族皆がいい」


――そもそも、そもそもだ。齢10歳の現代人の僕が、剣と魔法の世界に一人で放り出されるとかアリエナイ――


「あぁ、ヒナタ君に関してなんですけどね、今回の件に関してはむしろヒナタ君が異世界に行く話が発端なんです。じつはヒナタ君に異世界へ行く条件を伺ったところ、行くなら優貴ユウキ君と一緒に行きたいそうでして、この場合、優貴ユウキ君は付き添いって形になりますね。ただし、家族全員は厳しいのです。これは異世界側の問題で大変申し訳御座いませんが、今、異世界側のリソースが不安定なのです。辛うじて安全に捻じ込めるのは、ヒナタ君とお付きが二人、これが精一杯です。ですが、これはもしもの話です。では、お父さんとお母さん、一緒に行くならどちらがよいでしょう?もしもの話ですので、感情的にならず合理的に考えた方が良いと思います。どちらと行った方が異世界で有利そうでしょうか。」


衝撃の事実!

僕オマケなの?

そもそもヒナタは犬だし何を聞いたの?


「もしかして、ヒナタに僕たち家族の写真を見せながら、異世界に散歩へ行くなら誰と行きたいかなぁ?とかって、そんな感じで聞いたんじゃないよね?」

「それはないよ優貴君、僕はこう見えて神様だよ?犬とだって会話できるからね」

「あ、え?ならいいけど……」


まぁもしもの話の事だから、難しく考えるのはもうやめた。

でも、ヒナタと話せるのは羨ましいな。

いやいや、異世界に行くならお父さんかお母さんかって話だったよな。

そう言えば、前に犬を飼うにあたって家で引っ越しの話が出た時、お母さんは駅前が不便な街には住めないって言って、結局は引っ越さずに何とかした。

そもそも、駅前が存在しないであろう異世界暮らしなんてもってのほかだと思う。

僕も駅前は賑やかな方がいい。

それに比べるとお父さんは不便なりに何とかなる、住めば都だ、とかって言ってたから大丈夫なんだろう。

正直、そこがショボい村なら、実際に住んでも都にはならないと思う。


「えっとね、お父さんがいいかな。お母さんは剣と魔法の世界とか興味なさそうだし、今はゲームもまったくやらないみたいだから」


お母さんも昔はRPGとかやってたらしい。とは言え僕が生まれる前の話だそうだから関係ないか。


「そうか、お父さんがいいっと。えーっと……お、彼ですね。少々お待ちください」


王慧おうけいさんが何もない空中を見つめながらブツブツと独り言を呟いていたかと思うと、おもむろにこちらへと視線を移した。


「では、後はスキルですね。どんなのが良いか、大体の希望を言ってみて貰えますか?まぁ、優貴君の今の格好をみた感じですと、長剣と小剣スキルが必要でしょうか?二本持ってると言う事は、二刀流スキルが要るのですかね。そう言えば、優貴君は空手と剣道を習っておりましたよね?あの世界には刀が存在しますから、刀スキルや格闘スキルもあれば心強いと思います」


あんまり興味ないけど刀はあるのか。

スキルに関しては、正直、貰えるスキルは全部ほしい。


とはいえ、ものもらい(めもらい)みたいに貰って困るだけのスキルがあったら嫌だから少し考えよう。



こんな投稿方法でいいのか心配でなりません。

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