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35歳の憂鬱。  作者: 武 画美
本編。
7/21

ブロック。


「ボーカルの裕太くん、歌上手くなったね」

「裕太、ボイストレーニングに通い始めたんだ」

ボイストレーニングで、こんなに違うもんなんだ。前と声の延びが全然違う。

今日は、リョウタのバンドのライブをバツイチの慶子と見に行った。

「最後の曲、どうだった?」

「まあ、普通」

「そんだけ?あの曲は、京子のために作ったのに」

私が素っ気ない感想を言ったら、リョウタは、拗ねてしまった。


よくある曲だったので、良いのか悪いのか分からない。

歌詞も、よくある詞だ。バンドマンがよく使う定番の単語を並べただけ。

私の為に、一生懸命作ってくれたのに、申し訳ないが、その辺はシビアだ。


「打ち上げ楽しかったね」

ライブ終わったあとに、打ち上げに、慶子と参加した。

安い居酒屋での打ち上げだったが、それなりに盛り上がった。

慶子は、タウン情報誌で、働いてるだけあって、バンドも詳しかったりして、35歳の私達と、20代のバンドメンバーでも、なんとか話があった。

「たまに、マイナーなバンドの取材するんだけど、頑張ってる感じが良くて、オバサンが応援するよ。みたいな気持ちになる」

慶子が、語り始めた。

「なんていうバンドですか」

「ブルーグレイとか言うバンド」

「地元の名古屋では、人気あるバンドみたいですよ」

「そうなんだ。なんか皆、素直なメンバーでね。すごく感じ良かった」

そんなわけで、話が盛り上がり、帰りは、午前様になった。



「そんなことより、デモ渡すから、オレの曲ちゃんと聴いてよ」

リョウタは、まだ拗ねてる。

「わかった」

「必ず、聴けよ」

もう、無理矢理聴かなくちゃいけない。


キツイ。




「京子っ」

げっ。ナオキだ。

交際を断った以来、会ってない。なんだか、気まずい。

「あれっ、オマエ、弟いたっけ?」

日曜日だから、リョウタと買い物してたところだ。

「弟じゃないよ」

リョウタは、ナオキを睨んでいた。

「もしかして、彼氏とか?オマエ、何歳年下に、手だしてんの」

相変わらず、失礼な奴だ。

「ナオキ、急ぐから、じゃね」

リョウタが、ずっーとナオキを睨んでいたので、その場を離れたかった。


「なんなの?あのオッサン」

「ただの大学の同級生だよ」

「京子って、呼び捨てにして、オマエっても呼んで、慣れなれしすぎじゃねーの」

「ちょっと、デリカシーのない人なの」

「これだから、オッサンはよ」

リョウタは、機嫌悪くなった。




私がお風呂に入ってるすきに、どうやらリョウタが、私のLINE見たらしい。

「なんなの京子の彼氏、オレをずっーと睨みやがって、態度悪いな」

「ごめんなさい」

「どんな躾されて、育ったのかね。今の若い奴は。」

ナオキのデリカシーのなさも、どんな躾されて育ったのかと、言いたい。

「あんなチャラそうなガキなんかと、付き合ったら、貢ぐだけ貢がされて、要なしになったら、ぽいっと捨てられるぞ。やめとけ」


「いいの。可愛いから」

「後悔するぞ」


誰がガキだよっ。むかつくな。このオッサン。


ブロックしてしまえっ。リョウタは、勝手にナオキをブロックした。




月曜日に出勤すると

「笹原、もしかして、オレをブロックしてる?」

営業の板谷さんが、言ってきた。

「えっ。してないですよ」

「昨日、今日の仕事のことで、確認したいことあったから、夜、LINEしたら、ずっと既読にならないから」



LINEを確認してみると、登録してる男性が全部ブロックに、なっていた。

リョウタの仕業だ。


もう私のLINEを、勝手に見たんだ。



しょうがないな。



まるで、子供だ。

これが、30代、40代の男に、勝手にブロックされたら、ドン引きだけど

リョウタだから、仕方ないね。



あー可愛い。


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