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35歳の憂鬱。  作者: 武 画美
本編。
6/21

母親。

金曜日に、バツイチの慶子と飲みに行った。

慶子は、高校までの同級生で、タウン情報誌で、働いてる。

「京子、お盆に実家に帰るの?」

「うーん。実家には、兄夫婦いるし、帰っても一日くらいかな。慶子は、帰るの?

「帰んないかな。帰っても、親、うるさいし」

「私もだよ。まだ結婚しないのかって、グズグズ言われる」

「私なんか一年で離婚したこと、グズグズ言われるよ。うるさいのなんのって」

うちの親だけじゃないんだ。うるさいのって。

「母親なんか、40歳でも50歳の男でもいいから、公務員か、安定してる一流企業に勤める人に、しろって、うるさい」

「あーわかる。私の元旦那なんか、サービス業だから、安定してない言われた」

「なんで、親って公務員にこだわるんだろうね。男は高給取りじゃないとダメよって、うるさい。うるさい。」


こうして、慶子と、親の愚痴は、延々続いた。

たまに、うちは、理解ある親だと、自慢している人がいるが、不思議だ。

親なんて、頭ごなしに、親の言うことを聞くんだみたいな態度である。

そんなんだから、実家に帰る回数も減って来た。



昨日は、飲みすぎた。

11時まで、ベットで、うだうだしてると、誰かがきた。

リョウタかもしれない。そう思ってドアを開けると

「京子、もしかして、まだ、寝てたの?」

げっ。母親だった。

「なんで、いきなり来るのよ。来るときは連絡してよ」

「こっちに用事あったから、寄ってみたの」

休みに、またグズグズ言われるかと思うと憂鬱だ。



「あなた、まだ結婚しないの?」

また始まった。

「しないわよ」

「もう50歳以上の人でもいいから、公務員見つけなさい。バツイチでも、バツニでも、この際言ってれないから。でも、公務員よ」

母親の力説は、続いた。


「郁恵さんってば、朝7時に起きてくるのよ」

今度は、兄嫁の愚痴が始まった。

「パートから帰ってきて、夕飯食べると、リビングいないで、すぐ2階に上がるし」

そりゃ、兄嫁も、こんな口うるさい姑と、夜まで一緒に居たくないだろう。

「郁恵さん、休みも、掃除もしないで、出掛けるし、少しは、掃除してほしいもんだわ。私ばっかりやってるんだから。孫の世話も私よ」

そんな不満あるなら、同居なんて、しなければいいのに。


ピンポーン。



誰かがきた。リョウタだったら、どうしよう。

ドアを開けると、やはりリョウタだった。

「リョウタ、ごめん。今日は、お母さんが来てるの」

リョウタには、悪いが帰ってもらうとすると


「京子、どなた?」

げっ。母親が、玄関まできた。

「オレ。柏木リョウタと言います。京子さんとお付き合いしてます」

リョウター、なんで、そんなこと言うのよ。

「そうなの?京子と?リョウタくん、あがって。あがって」

母親は、リョウタをあがらせた。どういう魂胆だろう。



「リョウタくん、何歳?」

母親は、リョウタに質問ぜめにするらしい。

「25歳です」

「25歳。リョウタくんみたいなイケメンの子が、京子みたいなオバサンで、いいの?」

「はい」

自分の娘をオバサン呼ばわりするな。


「リョウタくん、お仕事は何やってるの?」

ほら質問ぜめだ。必ず仕事は聞くと思った。

「バンドやってるんで、今は居酒屋でバイトしてます」

「えーバンドやってるの。そうね。若いうちは、好きなことがやったほうがいいわね。あとで後悔するしね」


なんだ?この物分かりのいい大人ぶるのは、いつもと言ってることは、違う。


「京子、リョウタくん来たんだから、寿司とりなさいよ。三人で食べましょう」


「オレ。今からバイトで、行かなきゃいけないんで」

「バイト休めないの?」

母親が、無理をいいだした。

「急に休むと人手足りなくなるんで」


「そう?残念ね。リョウタくんって真面目なのね」

そう言って、リョウタは、バイトに行った。

「リョウタくん、また会いましょうね」

母親は、リョウタを見おくり、手まで振っている。



「お母さん、随分、さっきと言ってること違うんじゃないの。いつもは、男は公務員と、言ってるくせに」


「それは、京子が、40歳50歳の男と付き合ってた場合よ。40、50で、安定してない男は、嫌でしょう。でも、リョウタくんは、まだ25歳だから、これからよ」

確かに、それも、そうだが、それにしたって、この態度の豹変ぶりはなんなんだ。


ああ、母親は、確か、韓流スターに、ハマっていたはずだ。私は、韓流は、詳しくないから、名前は知らないが、今は、20代の俳優に夢中だって聞いたことがある。

それでか、若いイケメンに弱いのは。


「やっぱり、婿は若いほうが、いいわねー」

母親は、完全に浮かれていた。

どうであれ、リョウタを認めてくれて、良かった。



「お母さん、帰らなくっていいの?孫が待ってるんじゃない」

「今日は、親子で出掛けたから、いいの。それより、せっかく、こっちに来たんだから、美味しいもん食べさせなさいよ」

そう言われて、私は、最終の新幹線の時間まで、母親に付き合わさせられた。



日曜日、目が覚めると、昼だった。

昨日、母親の相手して、疲れたらしい。爆睡してた。

隣で、リョウタも、昨日は、土曜日で、バイト先が混んで、かなり疲れたらしく、爆睡してた。



リョウタと二人で遅い昼食を食べてるとき

「昨日から、新しいバイト入ったんだ」

「そう。良かったね。でも慣れるまで大変だろうけど」

「店長の従姉で、最近離婚したらしくて、仕事掛け持ちしてるから、忙しい週末だけなんだ。レジを担当してもらってる」

「その人、何歳?」

「成子さんと言って、40歳。小学生の息子さんが、いるらしい」

「じゃあ、バイトしてるときは、息子さんは?」

「離婚して実家に帰ってきたから、親が見てるしい。」

「そう。掛け持ちじゃ大変ね。」

私でさえ、今の会社だけでも、キツイのに、40歳で仕事を掛け持ちなんて、キツイだろうな。でも、子供を育てるには仕方ないのかな。


「その人、結婚するまで、大手スーパーにいたらしく、レジの覚えが早くて、レジの達人みたいだ」

「それは、助かるわね」

「最初は、挨拶はするけど、無愛想で、話しかけづらい人だと思ってたんだけど、開店して、お客さんきたら、豹変して、すごい営業スマイルで、お客さんへの対応が、抜群に良かった。だから、お客さんにも、良い人入って良かったね。と言われた」

「仕事と割りきってるんだね。もう、プロだね」


確かに、年をとると、意味のないところで、愛想よくすると、疲れる。仕事と割りきって、使い分けるようになる。



お盆休みは、何しよう。

リョウタは、バイトらしい。



午後は、リョウタと、まったりしてた。



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