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35歳の憂鬱。  作者: 武 画美
本編。
2/21

大学の同級会。

本文

出勤時間ギリギリに、新入社員の南美が、出勤だ。

メイクが、バッチリに、可愛いワンピースを着て、どうやら、今日も街コンらしい。


毎日ギリギリに出勤しても、南美に甘い上司は注意はしない。

今は、各自、自動販売機で、買うから、朝のお茶くみなんてないから、ギリギリでも、文句は言えないかもしれないが、ギリギリでは、9時ピッタリに、仕事は始められない。

先輩達が、早くきてるというのに、気にしない。なかなか図太い神経の持ち主である。



「小林課長、なんですか。この領収証は」

経理の三浦明子さんが、怒鳴りこんできた。

「接待費、蕎麦屋は、おかしいでしょ。あの小さな蕎麦屋ですよね。蕎麦屋で、接待するんですか」


「いやー取引先と、お昼食べながら、打ち合わせしたもんで」


「お昼休みに、いちいち打ち合わせですか?ということは、課長のお昼代が、浮いたということですよね。休憩時間の接待費は、認められせん。この領収証は受付ません」



課長は、言い返すことも、できずに、渋々従った。


今日も経理の明子さんのイライラは最高潮である。

明子さんは、勤続20年、42歳のベテランお局様である。最近は、中学生の息子さんが反抗期で、旦那さんがリストラされ、イライラしている。


ヒステリックなところは、好きじゃないが、たとえ上司であろうが、物怖じせず、悪いところは、はっきり言うところは、好きだ。

でも、男性社員すべてに、恐れられている。


お昼休憩から、あがると、小林課長が

「笹原、A社に出す見積書、2時まで至急作って。3時まで、取引先に持っていかなきゃいけないから、すぐな」


3時まで、持っていく見積書を今、言うかね。午前中に、言うべきだ。

経理の明子さんに、やられたから、腹いせだな。くそ課長が、新入社員の暇な南美に、言ってほしい。


2時10分前に、見積書を終えて、課長に提出すると

「おー。今度は、この資料を明日の朝まで、頼む」

明日の朝というということは、今日中ということだ。この量を今日中に、仕上げる?

だから、新入社員の南美に、言ってほしい。南美は、デスクで。やたらネイルを気にしてた。街コンで、定時で帰る気満々だ。


また、残業だ。



マンションに帰ったのは、9時だ。

「あー疲れた」

誰も聞いちゃいないが、大きな独り言を言う。


遅い夕飯食べてると、携帯がなる。

知らない番号だ。誰だ?

「京子さん?リョウタに、しつこく電話しないでよお」

「どちらさまですか?」

「リョウタの彼女のルリ」

リョウタの彼女?あのキャバ嬢の?徳永英明を聴く彼女?


「リョウタには、私から連絡してません。リョウタから電話きて話てるだけです」

「でもぉ、いつも電話してるじゃないのお、履歴に残ってるんだからあ」

「バンドの話しただけですよ」

どうやら、リョウタのスマホ見たらしい。


「バンドの話って、電話してるでしょお。今の彼女は、私なんだからね。もうリョウタに電話しないでよお」

そういって、電話切られた。


頭悪そうな女だ。ルリなんて、言いづらい名前、本名だろうか。

源氏名で、そんな言いづらい名前を使うだろうか。


どっちにしろ。訳のわからない女に、私の携帯番号を知られて、迷惑な話だ。



元カレのリョウタとは、5年前に、付き合ってた。

私が30歳、リョウタが20歳の時、バイト先で、知り合った。

今の会社に転職する前に、仕事を見つける間だけしてたバイトだ。


リョウタは、当時、専門学生で、お互い好きなhideの話で気があった。リョウタは、年下のせいか、可愛くて、お茶目で、少しワガママなところが、あったが、憎めなかった。


結局、私も、転職先が、決まりバイトも辞め、忙しくなったりで、ちょっと、ほっといたら、浮気された。

若いし仕方ないと、そんときは、すんなり別れた。



でも、別れてからも、何かあると、ちょくちょく連絡してくる。

バンドやってるから、チケット売りたいので、営業かなと思ってる。チケット売るためには、知り合いは多いほうがいいから、元カノも、どんどん利用する。そんなもんだと思ってる。



35歳の独身女に、連絡してくるのは、利用でしかないでしょう。



土曜日は、大学の同級会だ。

疲れて、かったるいけど、気分転換に行くことにした。


「京子、こっち、こっち。」

ナオキが、私が見つけて呼んだ。

「えー女子少ないね。尚美も来てないの」

女子は、結婚して、子供いる人が多く、私も、含め三人しか来てなかった。三人とも、独身女だ。

「京子、老けたな。大学の時は可愛かったのに」

むかつく。ナオキは、デリカシーがなく、ズバズバ言う。会社でセクハラと言われてないといいけど。


えっ、こんな教授いたっけ?

と思ったら、ミノルだった。髪が前のほうが、薄くなり、大学時代より、かなり太り、誰だか判らなかった。

まだ35歳なのに、その髪の薄さは、ヤバイでしょう。いったいミノルに、何があったんだろう。


昨日まで、参加するのも、かったるいかったけど、参加してみれば、同級生と話が弾み、二次会まで参加した。



駅まで、ナオキと一緒に、帰った。

「なあ京子、俺たち独身同士、付き合わないか」

18歳からの付き合いの同級生に、今更なんなんだ?


「ごめん。ナオキは、同級生で、友達以上には、思えない」

私は同級生に恋愛感情は持てない。友達は友達だ。


「俺達、35歳だぜ。恋愛感情なんて、言ってられないよ。若い子とも付き合ったけど、最初は良かったけど、話は合わないし、金は全部出さなきゃいけないし、疲れるだけだしさ。仕事も忙しいし、プライベートで、疲れたくないんだよ」


私だと金を出さないつもりなんだろうか。


「京子なら、気を使わないし、長く付き合えると思うんだよ」


ナオキは、大学卒業して、それなりの会社に入り、顔も悪くないし、背も高い。条件は悪くないと思う。

でも、私は疲れてるときに、気を使わないからと、デリカシーのないナオキに、ズバズバ言われたら、傷つくだけのような気がする。


全く気を使わないのも、すべてが良いわけではない。



「返事は、すぐじゃなくても、いいから、考えててくれよ」

そう言われて、ナオキとは、駅で別れた。


同級生に、付き合おうと言われて、面倒くさかった。

そんなこと言わなければ、いつまでも、仲良く話せる仲間なのに。


これで、会いづらくなったり、同級会に、行きづらくなったりで、いいことない。


妥協も必要なのかもしれないけど、結局、これも都合の良い利用だと思った。


35歳で彼女いない、とりあえず、彼女いたほうがいいから、気を使わない同級生の女で、いいか。


そんな感じで、ナオキは、言ったんだと思う。


あー面倒くさいし、迷惑だった。



「京子、ライブ決まったんだ」

元カレのリョウタから、電話だった。

「この間、彼女から電話きたよ。リョウタに連絡するなって」


「あーあいつ。束縛すごくて、勝手に俺のスマホ見たんだよ」


「携帯番号知られて、迷惑だったんだよ」

私は、今のナオキのこともあり、ちょっと不機嫌に言った。


「ごめん。」

謝るなんて、今日は、やけに、素直だ。

「いいよ。拒否にするから」


「ほんと、ごめん。束縛強くて面倒くさい彼女だから、別れたいんだけど、金もってるから、なかなか別れられない。食事代もだしてもらってるし、こづかいもくれるし。バンド続けるには金がかかるから、仕方ないんだよ」


「いつまで、そんな付き合い続けるの」

「バンドが、起動にのるまで。ライブで、客はいるようになれば、やっていけるかもしれないし」


「客はいるようになったって、継続するの難しいんじゃないの」

なんだか、私は、母親になった気分だ。

「京子の言うとおりだけど、今は、まだバンド辞めたくないんだ」


「まあ。若いしね。リョウタが、いいなら、いんじゃない」

元カノの私が、とやかく、言うことでもないことに気付いた。


「今度のライブは、対バンなんだけど、あのviewと対バンするんだよ。」


「あの人気あるviewと?だったら、チケット心配ないね」


またチケット売らせられるのかと思った。


「うん。チケットは心配ないけど、京子ライブ見にきてよ」


チケットの心配はないけど、見にきてほしい。

なんの利益が、あるんだろ?


「暇だったら、行くよ」


たまには、私も、素直に受けとめますか。




ナオキの話は、断ろう。




これで、また一人同級生の付き合いも減るだろう。





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