表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35歳の憂鬱。  作者: 武 画美
本編。
15/21

嘘。


金曜日に、リョウタがバイトしてる居酒屋に、バツイチの慶子と飲みに行った。

「京子さん、いらっしゃい。」

仕事を掛け持ちしてる成子さんがいた。

「京子っ」

リョウタが、嬉しそうに、私と慶子を席に案内した。

「あー今日も疲れたー。リョウタくん、生、二つね」

慶子は、早速ビールを頼む。慶子は、締め切りで、そうとう忙しかったらし

「んじゃ、おつかれ」

慶子と二人で、ジョッキーで、乾杯する。

「京子さんですか?」

奥から、店長の奥さんらしき人が来た。

「お盆は、調理場を手伝って頂いて、ありがとうございます」

そう言って、奥さんは、私にお礼を言った。

「いいえ。お体のほうは、大丈夫ですか?」

「もう大丈夫です。元気です。今日は、ゆっくりしてって下さいね」

「ありがとうございます。」

小柄な可愛いらしい奥さんだった。夫婦二人で店をやってる。ずっと一緒にいられるんだから、仲いんだろうな。


「ところで、慶子、クラス会どうだった?」

「それなりだったんだけど。里子が来てさ。」

「里子?あの里子」

「なんでも10年付き合った彼氏にフラレたらしく、クラス会で、酔っ払って号泣よ」

「10年ー。」

10年も付き合って、35歳でフラレるのは、キツイ。

「彼氏が26歳の若い子に、行ってしまったらしい」

「うー、それはキツイね」

「もう、今まで結婚してくれると待ったのにー。もう、結婚もできない。子供も産めないって号泣」

「彼氏って、何歳だったの?年下?」

「それが45歳のオッサン」

「ひえー。キツイね」

「だから、ピチピチの若い彼氏見つけて、見返してやれって言ったわよ」

若い彼氏見つけても、いつか、捨てられそうだけど。


でも、35歳まで、結婚を期待させ待たせておいて、捨てるなんて、酷い話だ。10年の付き合いじゃ、立ち直るまで、時間かかるだろうな。

「京子、リョウタくんの友だちを里子に、紹介してやったら?」

「えー。それは無理でしょう」

「京子ばっかり、若いイケメンの彼氏いて、良い思いをしてるだから、その幸せを分けてやんないと」

「私だって、いつ捨てられるか、わかんないもん。人の世話してる場合じゃないよ」

「それを覚悟の上、付き合ってるんだ?」

「私は、結婚考えてないから」

「私も、結婚は、しばらくいいやー。元旦那で、懲りた」


35歳で男にフラレて、結婚できないと泣く里子。でも、そういう男と、結婚しなくて良かった気がする。どんな男でも、結婚できればいいのだろうか。10年も付き合えば、情はあるかもしれない。でも、里子を捨てた男は、里子に、そんな情も無かったということだ。



「リョウタ、先帰ってるね」

そう言って、私と慶子は、店をでた。

「相変わらず、リョウタくんと仲良いね。同棲、うまくやってるんでしょう」

歩きながら、喋った。

「ケンカは、するけどね」

「ケンカできるんだもん。上手くやってるんだよ。私なんて、元旦那と、ケンカすらしなかった。私の言い分は聞き入れようとしてくれなかったから、ケンカ以前」

慶子の元旦那は、服従夫だったらしい。

「やっぱ、お金あればいいわけじゃないよ。家で、安らぎがないのは、キツイよ」

慶子は、結婚生活を振り返るように言った。

「リョウタくん見てると、お金なくても、安らぎは持ってるんだなって感じる」


ちょっと、駄々っ子の安らぎだけどね。


リョウタは、いつまで、私に安らぎを与えてくれるんだろう。




「あれ?ねーな」

リョウタを何かを必死にさがしてた。

「アイツか。ったく、クソがっ」



リョウタから、LINEがあった。

「今日は、バンド練習のあと、メンバーと飯食うから、少し遅くなる」

じゃあ、私の分だけ、ご飯作るの面倒くさいから、私も、どっかで食べて帰ろうかな。



そうして、仕事が終わったあと、街に行った。

「あれ?リョウタ?」

リョウタが、カフェに居た。誰かと一緒だった。



それは、メンバーじゃなく、若い女性だった。



なぜ、嘘をついたのだろう。




「京子、ただいま」

リョウタがマンションに帰ってきた。

私は、おかえりも言わないで黙った。

「どうしたんだよ。京子、機嫌わるそうだな」

「なんで嘘つくの?」

「何が?」

「カフェに、リョウタが若い女性といるところ見たの」

「ああ。元カノ。CD返してもらったんだ」


「だったら、そう言えばいいじゃないの。なんで嘘つくの」

私はリョウタを責めた。

「言ったら、京子、心配すると思ったから」

「正直に言ってくれたら、心配なんてしないわよ。嘘をつくから、心配するんでしょう」


「ごめん」

リョウタは、気まずそうだった。

「やましい気持ちがあるから、嘘つくのよ」

そう言って、私は寝室に行った。



リョウタを責めてしまって、私は自己嫌悪に落ちいった。

責めたって、仕方ないのこと。

いつかくる別れが早くなったのかと、私は不安になった。



別れは、仕方ないこと。

人の気持ちが変わるのも仕方ないこと。

責めたって、しょうがない。




リョウタは、リビングに立っていた。

あの時と、違う。

20歳のとき、オレが浮気した時、京子は、オレを責めなかった。


仕事が忙しくて、会えなかったから、京子は、休みの日にオレのために、弁当を作って、朝、オレのアパートに来た。

そのとき、オレのアパートに女がいた。


でも、京子は、責めなかった。取り乱しもしなかった。

分かったという顔して、弁当をおいて、出ていった。



そんな京子を見て、オレが想うほど、京子は、オレのことを想ってなかったんだなと思った。



だから、今日、オレを責めた京子を見て、安心した。



「京子、ごめん」

リョウタが寝室に入ってきた。

「20歳のとき、京子に貰ったCDをアイツが、勝手に持って行って、どうしても、返して欲しかったんだ。だから、会った」

私は、リョウタを責めてしまったバツの悪さから、顔をあげられなかった。


「やましいことなんて、ないから。もう嘘つかないから。信じてほしい」


「もう不安にさせないで」

「ああ。約束する」


これからも、不安はあるだろう。でも、リョウタの無邪気な顔をみて、不安が、安らぎになる。

不安を打ち消して、一緒にいたい。



寝室の窓から、月が見えた。

月は、輝いていた。

そのまわりの星は、変わることなく、月の周りにいるんだろうか。

いつか別れがきても、この星を私達は、それぞれの場所で、見るだろう。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ