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35歳の憂鬱。  作者: 武 画美
本編。
13/21

デート。


本文

今度オープンした水族館に、リョウタと行った。

オープンしたばかりだから、すごい混んでた。


「なによ。あのカップルいちゃいちゃと、むかつく」

南美が、あるカップルを見て思っていた。彼はイケメンだし。

幸せそう。それに比べ私は。


「えー、京子さんじゃないですか」

南美が、いちゃついてたカップルの彼女の方が、京子だと気づく。

「南美さんも来てたの?」

振り返ると新人の南美が、いた。

「南美さん、あちらお父さん?」

「違いますよ。街コンで、知り合った人です。老けてますが30歳ですよ」

えっー。どうみても50歳だ。頭が髪の毛が、少ししかなく、ヒヨコみたいだ。あの俳優さんに似てる。なんだっけ?名前忘れた。

でも、30歳とは、私より年下だ。リョウタと5歳しか違わない。

えっえー、嘘でしょう。

「京子さん、彼氏さん、イケメンですね。」

南美が、ボソッと言った。

「リョウタ、会社の後輩の南美さん」

「どうも。京子が、いつもお世話になってます」

そういって、リョウタは、軽く頭を下げた。男性の時と、態度がえらく違う。


「京子さん、私、喉乾いちゃって。私達とカフェいきません?」

「いいよ。二人で行ってきたら」

「お願いしますよ。助けると思って。二人じゃ会話が続かないんですよ」

「いいって。リョウタもいるし」

私は、拒否した。


「オレは、別に行ってもいいよ」

リョウター。かかわり合いたくないのにー。


カフェに入り、アイスコーヒーを頼み、四人は沈黙だった。

「斉藤さんは、どちらにお勤めなんですか」

私は、特に興味もなかったが、話がないので、仕方なく聞いた。

「◯◯銀行です」

かなりの大手銀行だ。これじゃ、南美も気合いいれないと。

そして、また沈黙が、続いた。

「京子、オレ、パフェ食いたい」

リョウタが突然いいだした。パフェ?子供じゃないんだから、我慢しろつーの。早くコーヒー飲んで、この場から、立ち去りたい。


「リョウタさんも、甘いもの好きなんですか?実は、私も甘いものには目がなくて。でも、この見た目で、頼みづらくて、いつも我慢してたんですよ。リョウタさんが、頼むなら、私もパフェ頼みます」

斉藤さんは、目を輝かせて、嬉しそうに言った。

「じゃあ。私も頼みます。京子さんも頼みましょうよ」

南美も頼むと言い出したので、私も仕方なく頼んだ。


斉藤さん、いかにも甘どろそうなミックスパフェ。

リョウタは、ストロベリー・パフェ。お子ちゃまか。

南美は、定番のチョコレートパフェ。

私は、抹茶パフェ。

まさか、この4人で、パフェを食べることになるとは。


「リョウタさんは、バンドやりながら、居酒屋で働いてるんですか。ギターできるなんて、すごいですね。私は楽器はできないから、もっぱら聴く方なんですよ」

パフェで、和んだのか、リョウタと斉藤さんは、話をしていた。

「えっ。どんな音楽聴くんですか」

「フーファイターズとかレッチリです」

「えぇー。オレも好きですよ。カッコいいですよね」

斉藤さんが、ロックを聴くとは意外である。

見た目は、老けているが、やっぱり気持ちは若いんだな。リョウタと話が合うくらいだから。人を見掛けで判断するものでない。


「斉藤さん。ごちそうさまでした」

支払いは、斉藤さんが全部してくれた。

そうして、私達は、別れた。



大手銀行、性格は温厚。奢ってくれる。南美、今度はうまく行きそうじゃないの。


月曜日。会社行くと

「京子さん。昨日は助かりました。」

「斉藤さん、良い人そうじゃない」

「でも。真面目過ぎて」

「男は真面目なほうがいいわよ」

リョウタと付き合ってる私が言うのもなんだが。

「しかも、今まで、女性と付き合ったことが、あまりないみたいなんですよ」

「ハデに女遊びしてるよりいんじゃない」

「京子さんは、あんなイケメンの彼がいるから、そんなこと言えるんですよ」

「でも、斉藤さん、大手銀行よ。南美さんは、一流企業の人探してるんだもの、斉藤さんいいと思うよ」

人のことだと思って、私は南美に斉藤さんを押した。

私もいい加減なことを言っている。実は、人の男など、どーでもいい。




「リョウタ、いったい何処にいるんだっ」

バイトが休みの水曜日に、親父から、電話がきた。

「全く連絡よこさないから、母さんと来てみれば、アパート引っ越したそうじゃないか。」

「あー彼女のマンションに、住んでる」

「なにぃ。女のところに転がりこんだのか。ったく、オマエって奴は。今から行くから、住所言いなさい」

「いいよ。来なくて。彼女の家だし」

「彼女さんにも、挨拶しないといけないだろ。住所言いなさい」

まずいー。親が来るよ。京子は、仕事だし。まずい。


「親が来た」

リョウタから、LINEが、あった。リョウタのご両親?

私は、残業終えて、急いで帰った。

「すいません。お待たせしまして。残業だったものですから」

マンションに帰ると、リョウタのご両親がいた。

リョウタは、殴られたのか、顔が赤くなってた。


「私、笹原京子と申します。挨拶が遅れて、申し訳ございませんでした」

「いえ。こちらこそ、息子がお世話になってるのに、知らなかったとはいえ、挨拶もしませんで、すいませんでした」

リョウタの父親が、私に頭を下げた。

「聞けば、息子は、家賃も京子さんに入れてないようで」

「食費は、毎月頂いてますので。家賃は、このマンションは、中古で買ったものですから頂いてないんですよ」


「京子さんは、どちらに、お勤めですか?」

「◯◯商社です」

「ほう。商社で。お父様は、何をされてるんでしょうか」

「親父っ、根掘り葉掘り聞くなよっ」

「オマエは、黙ってろ」

そういって、リョウタの父親は、リョウタをゲンコツした。


「父は、実家のほうで、市職員をしております」

「ほう。公務員で」

「母は、今は専業主婦ですが、以前は教師をしておりました」

「ほう。学校の先生を。京子さん、ご兄弟は?」


「親父っ。もういいだろっ」

「だから、黙ってろ」

また、リョウタにゲンコツをした。


「兄が一人おりまして、実家のほうで、父と同じく、市職員をしております」

「ほう。お兄さんも公務員で」


「そんな娘さんが、うちのリョウタみたいな息子と。ほんと、すいません」

今度は、リョウタの母親が頭を下げた。


「私は、リョウタが彼女のマンションに転がりこんでると聞きましたから、水商売の女性かと思いましてね。専門学校卒業してから、ろくに連絡もよこさないで、バンドかなんかしらないけど、好きなことしてるバカな息子です」

リョウタの父親が言った。


「デキのいいアニキがいるんだから、別にオレなんか、どーでもいいだろ」

「どーでもよくないだろ。オマエみたいなバカ息子。人様に迷惑かけてないかと心配に決まってるだろ」

そういって、またリョウタの父親は、リョウタにゲンコツをした。


「聞けばバイトだが、働いてるみたいなので、安心しました。働かないで、京子さんに負担かけてるのなら、連れて帰ります」


「だから働いてるつーの。オレは、帰んないからな」


「もし、リョウタをこのまま、ここに置いてくださるなら、京子さんのご両親にも、挨拶したいのですが」


「それはいいです。うちの母親は、リョウタさんと会って知っておりますので」


「それでも、一度挨拶したいので、ご両親に言ってもらえないですか」

あまりにもリョウタの父親に、懇願されたので、渋々承諾した。



リョウタの父親は、食品の流通の会社を経営してるようで、リョウタのために持ってきたのだろう。

一俵の米と、野菜を沢山持ってきた。食費が、かなり助かる。

そうして、リョウタのご両親は、帰っていった。



「京子、嫌な思いさせて、ごめんな」

「いいよ。リョウタだって私の母親と会ったんだし」

でも、リョウタのご両親が、私の親に挨拶したいというのは、ちょっと憂鬱だ。別にリョウタと結婚するわけでもないのに。

いつかはくる別れのために、両親同士が会うのは、意味がないような気がした。


デキの悪いのは、私も同じだ。

私は両親の希望通りにはならなかった。大学卒業した就職した会社も、結局は、辞めたのだから。転職して今の会社にはいるが、35歳だし、いつまで、OL出来るのかも分からない。女は、年をとると会社に、いづらくなったりする。いつリストラ対象になってもおかしくない。

そんな時のために、調理師免許をとった。

女が一人で生きていくためには、手に職をつけたほうがいいと思った。





「リョウタ。久しぶりだな」

二年前、東京でバンドをやるために上京したケイジさんだ。

「どうしたんですか?」

「メジャー決まったから、その前に地元に戻って片付けたいのもあったから。一週間は、こっちいる」

「とうとうメジャー決まったんですか。すごいですね」


「リョウタ、東京来る気ないか?」

「オレですか?」

「ギターが脱退した。リョウタ、オレらのバンドに来ないか。メジャーなれるぞ」

「それって、オレだけですか」



「ああ、引き抜きだ。今のバンド辞めて、来てほしい」





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