ーキミへのサヨナラー
3月も中旬になるこの時期は “卒業” という名のお別れがある。
私も今日、卒業する。
体育館のステージに向かって右が女子、左が男子。中央の通路側から背の高い順。そんなふうに綺麗に並んで、順番に名前を呼ばれて、卒業証書を受け取りに行く。
そんな綺麗に並んだ列の中で、それなりに背の高い私の位置から見える あなたの姿。クラスは違っても姿が見えることは、失恋したはずの今でも嬉しい。
私はまだ、あなたのことが好きなのかもしれない。
私は『仰げば尊し』を弾くために、ステージへと上がった。
椅子に座り、指揮者に目をやる。視界の隅に、あなたが映った。
それだけで、勝手に頬が緩んでしまう。
やっぱり あなたが好きだ。
一つ一つの音を丁寧に、色んな想いを乗せてピアノを奏でる。
あなたと笑ったこと、泣いたこと、喋ったこと、喧嘩したこと、励ましたこと、嬉しかったこと。
たくさんの思い出にたちは、あなたに届いているかな?
こうして終わった卒業式。
あなたへの想いと共に、あなたへ サヨナラ を告げる。