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プロローグ

 みさなさん、今日も一日お疲れ様です。学生の皆さんはしんどい勉強お疲れ様です。社会人の皆さんはつらいお仕事お疲れ様です。俺の仕事も今やっと終わり帰れます。終電ギリギリです。

 

 今は、職場の最寄駅を歩いている。こういうしんどい時や疲れた時にはよく思うことがある。


 大学卒業後就職して数年経つが、社会は学生時代に思っていたよりもあまり面白い所では無いようだ。高々数年で何を悟ったようなことを……、と自分でも思うがそれでもあまり面白い所とは思えない。


 自分の仕事は終わっているが周りが残って居るので帰れないとか、「正社員のあなたは時給で雇われているわけではないので居た分だけ残業をつけれる訳ではないです」と言われ残業時間を削らされたりとか、色々と理不尽な事も多く不満もある。

 新入社員の時に定時終了後、休憩時間が30分ありその間は残業が付けれないことを知らず、その月の残業時間が10時間ほど消滅したのはいい思い出だ(ちゃんと教えろよテメー。知らなかったぞそんなのあるの)。


 俺としても、ちゃんとある程度の理不尽や困りごとは仕方が無い、と割り切る考えは持っているのだ。一番嫌なのはそこではない。


 俺が一番辛いのはメリハリが無い事だ。大きな仕事をどれだけ頑張って終わらせても、次の日には何も無かったように会社に行かなければならない。逆にどれだけ忙しくても休日が来れば休まなければならない。心配事があるのに休日が来ても全然休まらねーよ。


 山も谷もあるが平野のごとく淡々と歩く事を強制される。山を登るのも谷を越えるのも当たり前。自分のペースなど無く工場の流れ作業の様に毎日変化無く完了させる事こそが望ましい。


 やりたい事もなければ夢もない。なら何のために頑張っているのかわからなくなる。仕事は目標にならなかった。何故なら大きな変化は求められていないから。


 何を目標(ゴール)として生きていくのか最近よく考える。夢はまだ無いからそれ以外でだ。


 仕事を頑張って出世する? 好きでもない仕事をわざわざ増やしてストレス溜めてどうんすんのよ。

 好きな人を見つけて結婚? いやいや、それは人生の区切りであって目標(ゴール)ではないでしょ。

 やっぱり人間いつかはみんな死ぬのだからそこがゴール? じゃあ、早くにゴールを目指したほうがいい?

 いやいや、そんな馬鹿な。自殺が目標(ゴール)とか無い。それは違う。命があるうちはちゃんと生きなければならない。そんな気がする。


 じゃあ何がゴール? わからない。俺はまだその答えを出せていない。そもそもあるのかどうかも怪しいが。


 まぁ、そんな人に知られたら中二病を疑われるような恥ずかしいことを考えながら、ホームの端の方にある時刻表の脇に立ち電車を待つ。ここだと到着駅の改札が近いのだ。


 夜も遅いのに、ホームには少ないがまだ人がいる。あなた達も遅くまでお疲れ様です。毎日シンドイですよねー。


 俺の左後ろ、待ってる電車とは逆側の白線近くに居る女性をよく見れば制服を着ている。女子高生かよ。こんな時間までなにしてんの?

 まぁ、子供とは言えいろいろあるのだろう。ただ、耳に掛けているヘッドホンから音が漏れてるのは流石に止めようぜ。耳が悪くなるしさ。人もあまりいないし注意とかはしないけど。


 ホームのスピーカーから急行が通過するアナウンスが聞こえてきた。この電車はこの駅には止まらないので、俺が待つ電車はこの次だ。

 少しすると急行の電車が見えてきた。乗りたい電車はまだ15分以上先だ。早く帰りたいが、深夜は電車が少なくなるので仕方が無い。


 何をするでもなくなんとなく、だんだん大きくなっていく電車のライトを目で追っていると、眩しかった電車の視線が上がった。電車が跳ねたのだ。


 え! 何で!? 


 跳ねた電車はホームに乗り上げ近づいてくる。

 ライトが餌を狩る肉食獣の如く俺を視線から放さない。


 後ろに居た女子高生はスマホを弄っていてまだ気づいてない。音がでかいんだよバカ。


 持っている鞄を思いっきり女子高生に向けて投げる。ぶつけられた女子高生は体勢を崩していた。あれならホームの下に落ちるだろう。無事に助かってくれると良いが。


 急いで俺もホーム下に逃げようと急ぐが電車の目はすぐそこにいた。

 ホームの内側、真ん中あたりにいた俺はどうも間に合いそうに無い。


 ストレス社会で頑張って生きているみなさん。お疲れ様です。

 どうやら俺はお先に抜けさせていただけるようです。


 お体に気をつけて。

 お先に失礼します。さようなら。


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