表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
沼の怪  作者: 雨野邪鬼
1/6

 化生ヶ沼には神様が居る、という言い伝えがある。


 鬱蒼と茂る木々に囲まれた、鏡面のような沼である。光が遮られ、昼なお暗い。水面は深緑を湛え、底を見通すことは出来ない。


 底など無いと言う者も居る。

 この沼は、ひたすらに深い。その更に深く深いところで、黄泉の国に繋がっているのだ、と。


 そして、現世と幽世を繋ぐ神が化生ヶ沼に住む。その姿は巨大な魚とも、大蛇とも、果ては大鴉とも伝えられる。黒の翼を広げて水中を飛ぶ大鴉とは、なかなか幻想的な光景であるが、未だその姿が確認されたことはない。


 オサカナ様。


 化生ヶ沼の神はそう呼ばれている。

 「オサカナ」様とは言い条、件の神様の姿として最も信じられているのは大蛇だったりする。だから片仮名表記にでもするほかないのだけれども。


 オサカナ様の祟りがあるぞ。

 という理由で、化生ヶ沼での漁は禁忌となっている。魚を獲った者はオサカナ様に黄泉の国まで引きずり込まれ、生きながらにして亡者に腸を喰われる。その際に発せられる断末魔が毒の霧となり、村に疫病をもたらす、らしい。勿論、黄泉の国に行って無事に帰ってこれるのはスサノオノミコトくらいなものなので、本当のところは誰も知らない。知らないけれど、この村の人々はすべて、オサカナ様の祟りを信じている。


 僕を除いて。


読んでいただき、ありがとうございました。

このあと、本編に移ります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ