崩壊Ⅲ
20×1年 4月16日 10時28分
先程の状況説明の後に信二と彩乃に武器を配った。
信二は強力で取り回しが効く手斧とサバイバルナイフ、彩乃は軽量なネイルハンマーを選んだようだった。
そして俺が選んだのは先程のバールに加えてじいちゃんの猟銃改め“二式小銃”である。
この二式小銃は旧日本軍の採用したボルトアクションライフルで、口径は7.7mm、装弾数は5発……らしい、全てじいちゃん手書きの説明書に書いていたもので、他にもこの二式小銃について事細かに書かれていたがせいぜい俺には口径と装弾数くらいしか出来なかった。
丁寧に撃ち方や装填方法まで図解で書いてあった為、これを元にすれば俺でも扱えそうだ。
しかし問題は弾数である。
7.7mm弾は二式小銃と一緒の木箱に入っていたが、20発しか無いようで、練習など出来そうな量ではなかった。
しかし2発程度、“本番”を兼ねての練習ならば問題ないだろうと思った。
同日 10時31分
二式小銃を担いで2階へと上がり、窓を開けて外を見回す。
この家は2階建てではあるがそこらの2階建てより若干高い造りの為、門や塀の外も良く見える。
丁度そこで40m程先だろうか、農道に路駐してあった白い軽トラックの陰からのそのそと化け物が出てくるのが見えた。
俺はそいつの位置をちらちらと確認しながら説明書通りに弾を5発込めてボルトを引いて戻す、そこからゆっくりと構える。
そして引き金を絞るように引いた。
パァンという乾いた破裂音が辺りに木霊すると同時に俺の体に未体験の衝撃が走る。
「凄ぇ……」
自然と出た言葉だった。
しかし化け物の頭を狙ったはずがどうやら胴体に当たったようだ、まだ立ち上がろうとしている。
しかしここでもう弾は使わない事にした。
銃が有用だというのは分かったし、通りすがりの化け物など家の中に居る限りは俺達に指一本触れる事さえ叶わないからだ。
しかも人生初の射撃で距離40mから胴体を見事貫いた、満足しても問題はないはずだろう。