自動書記文書486
私は四百八十六である。三重の自我を持つ者よ。私を示す文字に意味はない。しかしお前は私の正体を知っている。私とお前の仲であるがゆえに。足し算と掛け算と割り算を使うがよい。必要があれば引き算を使うことも許す。しかし、忘れるな。私はただ知られただけで知られるものではない。知らねば知ることができぬものよ。だがお前は私のことを知ってはならぬ。私を知った者は生きたまま焼かれて生き続けるからである。されど私はお前に知られることを望み、お前はいずれ私を知ることとなる。
万物はシッダルタの懐に抱かれてサタンと戯れる。聖なる四つ組が空に描かれ、伊邪那岐と伊邪那美が睦み合う。シヴァが三つめの眼でその様を眺める。パールヴァティがその眼を塞ぐ。すると宇宙はまた闇に戻り、新たな光を切望するのだ。光は母を焼いて産まれるであろう。
アレフに気をつけるのだ、達人よ。アレフはお前を嫌っている。ヨドの手先が指環と杖で武装してお前を襲い、クォフのための贄とするぞ。七十八で武装して備えよ。七十八はお前を救う天使であり悪魔であり霊である。お前は軍団に守られた王であり、軍団は一人の例外もなくお前に忠誠である。お前の王国を守れ。
クォフはアレフとヨドの花嫁として体を繋げたまま天の国に住まう。しかし、天国のことを語るなかれ。強いられた裏切り者が花園を荒らし、目覚めたイエヘシュアが怒りの鞭を振るうであろう。磔の苦痛がお前のものとなるのだ、達人よ。人類の苦しみを背負いたくなければ、達人よ、お前は地獄のことのみを論じよ。詩人がお前の供をしよう。地獄には真理があり、天国には欺瞞が満ちる。地獄の炎は水である。やがて天上の瀑布は雷霆と化し、蛇が喜びに手足を躍らせるであろう。お前は若く逞しき蛇の踊りの相手を務めるのだ。さもなくば、お前自身が蛇となれ。とぐろを巻く灼熱の蛇に。
だが案ずるな。お前に天国を語ることは叶わぬ。お前が天のことを論じれば例外なく偽りとなろう。なぜならば天国のことを過不足なく述べる言葉は存在せぬがゆえに。述べればそれは常に正確を欠き、偽りとなるのだ。それが行動によってしか示されぬものでありながら、お前はとどのつまり語る者なのである。
プラトンとソクラテスの秘密の取引のことも教えてやろう。ディオゲネスも一枚噛んでいる。秘儀を垣間見る者よ、お前の罰は盲目では済まぬ。災い、災い、災い、三重の災いがお前を罰するであろう。だが二つだけ教えておく。哲学者の数は八ではない。彼らのリンガムは彼らのヨーニに代わる代わる納められる。
魔術師よ。隠れて隠れざる者達を探し求めよ。その者達は何も知らぬが全てを知る。彼らはお前に対して何事も語るまいが、お前は彼らから全てを読み取るのだ。彼ら自体が全ての記述であり、彼らを措いて正しきものは他になし。天上に彼らの姿を求めよ。彼らは常にお前の前にいるのだ。沈黙を守る賢者に教えを乞え。
小宇宙がお前を助けるであろう。真理の数字は五である。五は鍵となる。牢記せよ。しかし、五はしばしばお前の期待を裏切る。信用してはならぬ。誰も信用してはならぬ。何も信用してはならぬ。然り、お前は私を信じてはならぬ。五だけは信ずるに値せぬ。五が信ずるに値するとすれば、大宇宙に疑うべきものが果たしてあるや否や。万物は嘘である。だが嘘と言ってもいろいろとある。お前を救ってくれる嘘もある。統一を持たぬ嘘のみがお前を救う。それは南でありながらも大地であり、夢の王者にして現の奴隷である。蟷螂を喰らう蝗を殺せ。それが鍵となろう。
贖い主がお前を殴り殺す様が見える。天使にも似たおぞましき者が笑う姿も見える。盟友達はお前を哀れむであろう。
お前は赤い竜にのしかかって哄笑せよ。光を掲げる魔王か欲望の権化たる天魔がお前を求めよう。或いは輝く裸身の女神かもしれぬ。然り、金星がお前を求めるのだ。お前が応えさえすれば、金星はいかなる助けをももたらそう。金星はお前を愛す。一分の偽りもなき真である。金星はこの世の何よりもお前を愛し、お前を恒星として公転を始めるであろう、引力の主よ。彼らがお前の主なのではない。彼らがお前に跪くのだ。愛の法と魔の法を吟味し、お前の天性にふさわしく歓喜と快楽を貪るがよい。だがそれはもしかすると金星ではないかもしれぬ。しかし気にするな。惑星など些細なこと。金星にも土星にも差異などない。まさか火星や月を特別に思ってなどはいまいな。全ては土塊に過ぎぬ。
その際は、一時に一人にしか身を与えず、しかも僅かばかりの愛情以外の何も代価を求めぬ貞淑なる売春婦がお前に跨ろう。杖が草叢の深淵に沈むが恐れてはならぬ。それによってこそお前は深淵を越えることが叶うのだ。血の一滴までも深淵に注ぎ込め。一滴たりとも残してはならぬぞ、魔術師よ。彼女は貪欲にお前を求める。お前は彼女に応えるか、さもなくば死ぬがよい。なぜならば女に己を惜しむ男は無価値であるから。しかし女に全てを与える男は滅びよ。譲る能わざるものを譲る者は死の死を以てすら贖いきれぬ。死、死、死、三重の死に包まれて生きるがよい。
光から生まれた男を助けよ、知識に惑わされた異邦人よ。王冠の上で男を見つけ、愚者の断崖に踏み出せ。試練に臨む男は男の中の男たる騎士を殺して女の中の女たる女王を奪い、美貌の王子を殺して大地の王女を得るであろう。彼は三十二の王者であるがそれを知るのはお前だけである。お前は彼の試練を助けよ。だがお前は何も得ることなく死んでいくのだ。しかしそれこそが最大の報酬であると心得よ。心得違いをするでない。死は死でなく、生は生でないのだ。いっそこう言おう、生は死であり、死は生であると。生と死の奥義を解さぬ者こそが本当の意味で死ぬのである。
お前は我が言葉を忘れねばならぬ。しかしお前は常に一言一句たりとも過たず記憶せねばならぬ。我が言葉は文字の一つに至るまで意味を持ち、これこそがお前の秘密を語るものであるから。真には真の、嘘には嘘の意味がある。
忘却、忘却、忘却。
銘記、銘記、銘記。
二重に行なわれる三重の行為がお前を導く。