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第1話「神の御座は血に濡れている」

 とんがり帽子を被った少女は慟哭(どうこく)していた。

 悲嘆にくれる。神のおわす台座に向かい祈るようにうつ伏せになりながら。

 涙がとめどなく流れる。


「何が魔法だ」


 台座から漏れでる、新鮮な血液が少女の膝を、手を、濡らす。

 台座の上には少女の大事な友達が横たわっていた。ぴくりとも動かない。

 頬は痩せこけ、左胸が痛々しく穿たれていた。


 ーーー殺したのは自分だ。


 神から授かった天啓。

 1、三つの証を手に入れること。


 2、一つ目と同時に12体の「異界の者」を排除すること。


 二つ目までは良かった。天啓を受けることで自分の魔法階級が上がり、特別クラスに上がることができるのだから。

 だが……。

 そして、最後。


 3、「最も大事な人を殺すこと」


 初めは抵抗した。死んでも嫌だと。しかし、抗いきれなかった。それを実行した自分が憎い。

 なんで、実行した。なんで「襲ってきたから」と言って親友を殺さなければならない。


「こんな天啓を受けるなら、魔法使いになんてならなきゃ良かった……」


 彼女のその声は、神の台座を囲む白く美しい正方形の世界に小さくこだまして最後には消えていった。



 神の天啓を受けること、それは世界の異常を修正する大役。

 魔法使いを志すものにしか受けられない、最高の試練。

 それを完遂すれば巨万の富が与えられるだけでなく、全ての就職先から自分の仕事を自由に選ぶことができる。

 少女は自分がその大役を担った時は、優秀だからだと思っていた。

 実際は違った。

 自分はどうなってもいい存在なのだと、世に見捨てられたからこの気が狂ったような試練に挑まざるを得ないように仕立て上げられたのだ。


 少女の眼に憎悪の炎が灯る。


 全てを呪うような表情で色があればきっと、どす黒いであろう声で

「神を、殺してやる」と、そう言った。


世界は闇に満ちている。


少女はその闇を睨む。


歩き出した先にあるものは果たして……。

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