表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お妃候補を辞退したら、初恋の相手に溺愛されました  作者: Karamimi


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/49

第46話:あいつだけは許せない!~デイズ視点~

スヤスヤと眠るフランソアの寝顔を見ながら、どうしようもない怒りを覚える。今日は王宮主催の夜会に参加したのだが。


まさかフランソアに惚れ薬を飲ませていただなんて!さらに効力が切れたとあって、もっと強力な惚れ薬を飲ませようとしていたのだ。万が一フランソアが、その惚れ薬を飲まされていたら…


考えただけで恐怖で震える。それと同時に、フランソアの心を弄んだことが、どうしても許せないのだ。そもそもフランソアは、あの男なんてこれっぽっちも好きではなかった様だ。


それなのに無理やり薬で惚れさせられ、やりたくもないお妃候補をやらされ、心身共にボロボロにされた。あのやせ細った虚ろな表情のフランソアが、脳裏に焼き付いて離れない。


こんな事なら、フランソアがどんなに嫌がっても、お妃候補になんてならせなければよかった。そうすればフランソアが傷つく事もなかったのに…


フランソアを守れなかったことが、悔しくてどうしようもない。フランソアは、“過去を後悔するよりも未来を見ましょう”と言っていたけれど、僕はどうしても許せない。


何が何でも目にものを見せてやる!


ギュッとフランソアを抱きしめ、そのまま部屋から出た。そして向かった先は、義父上の元だ。


「義父上。少し宜しいでしょうか?」


「こんな時間にそんな怖い顔をしてどうしたんだい?まあ、気持ちは分かるが。ジェーン殿下の事だろう?もちろん私も、タダで済ませるつもりはない。私の可愛いフランソアに惚れ薬を飲ませた事、絶対に後悔させてやる!」


比較的穏やかな義父上が、珍しく怒りを露わにしている。


「もちろんです。僕もどうしても許せなくて!こんなに怒りを覚えたのは初めてだ!」


体中から怒りが沸き上がり、どうしようもないのだ。


「フランソアはああ言っていたが、私は王家に正式に抗議をしようと思っている。もちろん、ジェーン殿下と王妃殿下は、極刑以外考えられない!今王宮では、ジェーン殿下と王妃殿下の取り調べと、捜査が行われているはずだから、明日には何か進展があるだろう」


「それでは明日、王宮に出向きましょう!」


義父上と話をした後、フランソアが眠るベッドへと潜り込んだ。そしてフランソアをギュッと抱きしめる。すると、寝ぼけたフランソアがすり寄って来たのだ。眠っていても可愛いな…


もう二度とフランソアを誰にも傷つけさせない!フランソアを傷つける奴は、誰であろうと許さない!


結局その日、僕はほとんど眠る事が出来なかった。


翌日、義父上と一緒に王宮へと出向く。すると、何人かの貴族を始め、騎士団長たちまで集まっていた。取り調べなどは、騎士団が行う事になっている為だろう。


「シャレティヌ公爵、デイズ殿。フランソア嬢の件、本当にすまなかった。あの後王妃やジェーンに対する尋問で、魔女と呼ばれる女も捕まえた。今取り調べを行っている。とにかく、色々と余罪がありそうでな。全ての罪を明らかにした後、正式に2人の処分を決めようと思っているのだ」


陛下が今分かっている状況を僕たちに説明してくれた。余罪がありそうか…確かに叩けば誇りが出て来そうだ。


「陛下、既に貴族に惚れ薬を飲ませた時点で、重罪です。余罪余罪といって、2人の処分を遅らせるつもりではありませんよね?」


はっきり言って僕は、さっさと彼らを裁いてしまいたいのだ!これ以上あいつらがのうのうと生きているのが許せない!


「デイズ殿、父上はその様な事は考えておりません。父上も昨日の件で、完全に惚れ薬の効果が切れた様で、今は王妃の罪をすべて洗い出すのに必死なのです。どうやら私の母親も、王妃に殺されたのではとの事で、今調べております。私自身も、何度も王妃に命をねらわれていたそうなので…」


「ラファエル殿下は、幼い頃何度か毒を飲まされた事がありましてな。これ以上王宮に置いておくのは危険と判断し、我がパーソティ侯爵家で匿う事にしたのです。その時の罪も、今調べておりますので」


そう言えばラファエル殿下も、幼い頃命を狙われていたと言っていたな。まさか元王妃まで手に掛けていただなんて。恐ろしい女だ…


「既に証拠などは続々と出てきておりますので、そんなに時間はかからないと思います。ですので、もう少しだけ待っていて下さい」


そう言ってパーソティ侯爵が頭を下げたのだ。彼も元王妃殿下の兄という事で、ずっと苦労してきたと聞いている。きっと妹の無念を晴らしたいと考えているのだろう。


「分かりました。この際ですので、全ての罪を洗い出しましょう」


本当はすぐにでもあの男を裁きたいが、仕方がない。とにかく王妃の悪事が全て明るみに出るまで、待つ事にした。


その後も騎士団長を中心とした騎士団の厳しい尋問が続いていると聞く。さらに騎士団長が、調査の進み具合をこっそりと教えてくれた。騎士団長は未だに、僕の事を実の弟の様に大切にしてくれている様だ。


ちなみに今の騎士団長も、ラファエル殿下派の1人だ。


そして事件から1ヶ月後、ついに全ての罪が露わになった。やはり王妃は、魔女から毒を仕入れ、元王妃を毒殺。さらにまだ幼かったラファエル殿下も毒殺しようと試みたことが分かった。


これを受け、さすがに王妃は極刑に処せられる事になったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ