第40話:改めてデイズ様と話をしました
両親との話し合いを終え、デイズ様と一緒に部屋から出た。そしていつもの様に、デイズ様が部屋までエスコートしてくれる。
「それではデイズ様、また明日。おやすみなさい」
そう言って自分の部屋に入ろうとしたのだが、なぜかデイズ様まで私の部屋に入って来た。
「フランソア、さっきの話だが、本当に夜会に行くのかい?やっぱり僕は反対だ。僕はもうあの男の瞳に、フランソアを映したくはない。それに自ら危険な場所に行くだなんて。やっぱりまだ、あの男に興味があったんだね…」
「違っ…」
一気に唇を塞がれた。そしてどんどん深くなっていく。さらにそのままベッドに押し倒されてしまった。待って、さすがに結婚していないのに、その様な事は!
「デイズ様、待って下さい。落ち着いて…」
「…すまない…僕は何をしようとしていたんだ。本当にすまない…」
そう呟くと、そのままデイズ様が部屋から出て行った。
もしかして私、デイズ様を追い詰めている?そうよね、デイズ様からしたら、ジェーン殿下は恋敵。そもそも私とデイズ様は、いずれ結婚して公爵家を継ぐ方向で話が進んでいたにもかかわらず、私が我が儘を言ってそれをぶち壊してお妃候補になったのだ。
その上ジェーン殿下を屋敷にまで入れてしまった。デイズ様が不安に思うのも無理はない。私、また自分勝手な行動をしてしまったのね…
「お嬢様、どこにいかれるのですか?」
「ちょっとデイズ様と話をして来るわ」
部屋から出ると、デイズ様の部屋へと向かった。
「デイズ様、少しお話をしたいのですが、よろしいでしょうか?」
「フランソア…今の僕には会わない方がいい…本当に君を傷つけてしまいそうだ」
「私は散々デイズ様を傷つけて参りました。ですから、多少傷つけられても問題ありません。ただ、あなた様が私を傷つける事はないと思いますわ。それでは失礼しますね」
そう言って部屋に入り、ソファに座った。するとなぜかいつも隣に座るデイズ様が、向かいに座ったのだ。そんなデイズ様を見て、私は彼の隣に座り直した。
「デイズ様、あなた様を不安にさせてしまい、申し訳ございませんでした」
まずはデイズ様に謝罪をした。
「フランソアは何も悪くない。僕の心が狭いんだ…」
「いいえ、そんな事はありませんわ。デイズ様はとても寛大で、お優しい方です。デイズ様やお父様が、私のせいで王族から嫌われている事を知っています。もしこのままジェーン殿下が王位を継いだら、きっと公爵家に嫌がらせをして来るでしょう。だからこそ、今のうちに潰しておきたい。そうお考えなのでしょう?私がお妃候補なんかになったばかりに、王族との関係を悪化させてしまった。全て私の責任ですわ…」
「それは違う!君は僕たちの元に帰って来てくれたじゃないか!それだけで僕たちは…」
「いいえ、そもそも私がお妃候補にならなければ、王家との関係も付かず離れずで良好だったはずです。全て私のせい…大好きなデイズ様やお父様に、これ以上負担をかけたくはないのです。今度の夜会では、もう一度はっきりとジェーン殿下にあなた様の事はもう好きではありません。これ以上関わらないで下さい!と伝えようと思っております。もうこれ以上、殿下には振り回されたくはない、そろそろ決着をつけたいのです」
「フランソア…君がいくら言っても、あの人はきっと聞かないだろう。それにもしまたフランソアが殿下に言いくるめられたらと考えると、不安なんだ…」
真っすぐと私を見つめるデイズ様。美しい青い瞳からは、不安がにじみ出ている。
「分かりましたわ。では、どうか今から私を抱いて下さい。そうすれば、私はもうあなた以外の殿方には嫁げなくなります」
我が国では体裁を物凄く重要としている。その為男女ともに、伴侶としかそういった事を行わないというのが、暗黙のルールなのだ。もし結婚前にそういった事を行ってしまうと、将来誰とも結婚できないと言われているくらい厳しい。
もちろん例外はあるが、それでも私がデイズ様と関係を持った以上、さすがに王太子殿下の婚約者になる事を世間は許さないだろう。
「フランソア…」
「私はいずれ、デイズ様と結婚する事が決まっております。ですので遠慮はいりません。それでデイズ様の心が落ち着くのでしたら、私は喜んでこの身を捧げますわ」
そっとデイズ様によりそった。デイズ様と結婚すると決まってから、覚悟は出来ている。それがただ少し早まるだけだ。
「フランソア、ありがとう。君がそこまで僕の事を考えてくれているとは思わなかったよ。でも、そういった事はやはり、結婚してからにしよう」
あら?よろしいのかしら?私は覚悟が出来ておりましたのに…
「ただ、今日は一緒に寝てくれるかい?もちろん、手は出さないから」
「ええ、もちろんですわ」
デイズ様と一緒にベッドに潜り込んだ。すかさずデイズ様が私を抱きしめてくれる。温かくて気持ちいい。
「まさかフランソアを抱きしめながら眠れるだなんて思わなかったよ。ありがとうフランソア、おやすみ」
「私の方こそ、こうやってデイズ様の温もりを感じながら眠れるなんて幸せですわ。おやすみなさい、デイズ様」
デイズ様の温もりを感じながら、眠りについたのだった。




