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お妃候補を辞退したら、初恋の相手に溺愛されました  作者: Karamimi


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第39話:私は夜会に参加したいです

「王妃殿下直々に話しがあるだなんて。それはちょっと断り辛いわね。でも、ジェーン殿下も参加するのよね…そうなるとフランソアは…」


「そうなのだが…ジェーン殿下の婚約者が決まる前の、大切な夜会なんだ。さすがに次期公爵とその婚約者が欠席って訳にはいかないだろう」


そう、王太子殿下の婚約者が決まる2ヶ月前には、なぜか王宮主催の夜会が開かれるのが決まりなのだ。どうやらお妃候補者たちが、正式に殿下の婚約者になる前に、友人や家族と気楽に話しをする最後の場として設けられているらしい。


殿下の婚約者になったら、それこそ家族や友人たちと気楽に話せなくなるためだと言われている。その為、基本的に貴族は皆参加する事になっているのだ。


「義父上、ジェーン殿下の事だ。きっとフランソアに接触してくるに決まっています。そもそも王妃殿下が名指しでどうしても来て欲しいというところ、きっとジェーン殿下に頼まれたのですよ!とにかくフランソアは体調が悪いとでも言って、欠席させましょう。僕だけ参加すれば十分です」


「しかし…名指しで招待されているからな…中々断りづらくてな」


「体調が悪い令嬢を連れてこいというほど、王族は横暴なのですか?とにかくフランソアは欠席させますから」


デイズ様がお父様に激しく訴えている。お父様は困り顔だ。


「私、夜会には参加しますわ」


お父様とデイズ様に向かってはっきりと告げた。すると怖い顔をしたデイズ様が、クルリと私の方を向いたのだ。


「フランソア、君は何を考えているのだい?ジェーン殿下がまだフランソアの事を、諦めていないのは知っているだろう?それなのに、自ら会いに行くだなんて。もしかして実はまだ、ジェーン殿下に未練がある訳ではないよね?」


怖い顔で迫って来るデイズ様。


「違います、私はデイズ様を愛しておりますわ。私とジェーン殿下の会話を、デイズ様も聞いたのでしょう?それに私が欠席したら、他の貴族たちが不信に思うかもしれません。とにかく公爵家の為にも、私は夜会に参加しますわ」


「フランソアはそんな事気にしなくてもいいんだよ。何より僕がフランソアをジェーン殿下に会わせたくはない。あの時君はあっという間にあの男の虜になってしまったからね…もう二度とあんな思いはしたくはない。もしまた僕の傍から離れる様なことがあったら、その時は…」


ゾクリとするほど美しい笑みを浮かべて迫って来るデイズ様。一体どうしたというの?なんだか今日のデイズ様、怖いわ…


“フランソア、もうこれ以上僕を心配させるような事をしないでくれ…この前、ジェーン殿下と2人きりで会ったこと自体、腸が煮えくり返るくらい怒りを覚えたのに…君は本当に僕のいう事を聞かない子だからね…このままずっと、君を屋敷から出さない方がいいのかもしれない”


耳元で恐ろしい事を呟くデイズ様。さらに耳をぱくりと食べられた。腰もガッチリつかまれていて動けないし。


「デイズ、一旦落ち着いてくれ。フランソアとデイズは、正式に婚約を結んでいるんだ。たとえ何かの間違いで、フランソアが殿下の元に行きたいと言ったとしても、そんな事は出来ないのだから」


「フランソアが殿下の元に行きたいと言ったとしても?フランソア、やっぱり殿下の元に行きたいのかい?」


ちょっとお父様、デイズ様を刺激してどうするのよ。


「私が愛しているのは、デイズ様ただ1人です。もう二度とあのような過ちは犯しませんので、ご安心ください」


そう言ってデイズ様の唇に自分の唇を重ねた。さすがに両親のいる前では恥ずかしいが、これ以上デイズ様の心を乱すような事はしたくないのだ。


「すまない…僕は君を殿下に一度奪われた事が、どうやらトラウマになっていた様で…それにこの前、君はジェーン殿下を屋敷に上げていたし。何度フランソアから、僕の事を愛していると言われても、どうしても不安で…」


そう言って俯くデイズ様。よほど私がジェーン殿下を屋敷に上げたことが気に入らなかったのだろう。あの時の事は、本当に反省しているのだが…


「デイズが不安になるのも無理はない。私達もまた、フランソアが間違った道に進まないか、ハラハラしているくらいだ」


「そうね…本当に誰に似たのだか…」


お父様とお母様が、私を残念な子を見る目で見つめている。


「あの…本当にごめんなさい。もう二度とあの様な過ちは犯しませんので…それから、来月の夜会に参加したいと思ったのは、もしかしたら私が参加する事で、ジェーン殿下の株をさらに下げられるのではないかと。きっとあの人、またみんなの前で醜態を晒すでしょうから。そうすればラファエル殿下派がまた増えるのではと思って」


私は以前ルシアナお姉様が言った、私がジェーン殿下失脚のカギになるかもしれないという言葉を思い出したのだ。それにこの前会った時のジェーン殿下、本当に人の話しを聞いていなかったし。きっと今回も…そう思ったのだ。


「フランソア、君がその様な事を考える必要は無いんだよ。とにかく僕はフランソアを危険に晒したくはない」


「デイズの言う通りだ。その様な理由なら、私もフランソアの参加は認められない」


お父様とデイズ様が、私に向かって叫んだ。


「お父様とデイズ様は、いつもそう言って私を守ってくれますよね。それはとても有難いと思っています。でも、私だって2人の役に立ちたい。もちろん、危険な事をするつもりはありません。あえてジェーン殿下と2人きりになろうなんてことも考えておりません。ですから、どうか私を夜会に出させてください。お願いします」


お父様とデイズ様に頭を下げた。私が夜会に出れば、必ずジェーン殿下は何らかの行動に移すはずだ。その行動で、もしかしたらジェーン殿下を失脚できるかもしれないのだ。


一度愛した男を失脚させようだなんて、恐ろしい女と思われるかもしれない。それでも私は、大切な家族の役に立ちたいのだ。今まで散々迷惑を掛けてしまった分、彼らの手助けがしたい。


「本当にフランソアは…デイズ、フランソアも一緒に夜会に参加するという事でいいね?」


「義父上!」


「頑固なフランソアの事だ。連れて行かないと言っても、付いてくるだろう。それにデイズがずっとフランソアの傍にいてくれるのだろう?」


「それは…もちろん傍にいますが…はぁ~。分かりました。フランソア、絶対に僕の傍を離れてはいけないよ。万が一僕の傍を離れる様なことがあったら、ただじゃおかないからね。その約束が守れるのなら、夜会に行く事を許可しよう」


「分かりましたわ、私、絶対にデイズ様から離れません」


「本当にフランソアは頑固なんだから…」


そう言ってデイズ様が苦笑いしている。よし、とりあえず夜会に参加する許可が下りたわ。当日に備えて、私も色々と準備をしないと!

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