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お妃候補を辞退したら、初恋の相手に溺愛されました  作者: Karamimi


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第25話:領地で過ごす最後の日です

「フランソア、今日は領地で過ごす最後の日だ。しばらくは領地には来られないから、やりたい事は全部済ませておくんだよ」


「ええ、分かっておりますわ。それにしても3ヶ月なんて、あっと言う間ですね。もう王都に帰らないといけないだなんて…」


領地での3ヶ月、本当に楽しかった。ずっとデイズお兄様と一緒にいられたし、何よりお兄様に対する自分の気持ちを確認できた。


自然豊かなこの土地で過ごした事で、王宮での辛い日々を思い出すこともほとんどなくなった。それもこれも、デイズお兄様と両親、お爺様、おばあ様、使用人たちのお陰ね。


ただ…

王都に帰ったらきっと大変なことが待っているのだろう。ジェーン殿下と第一王子、ラファエル殿下の王位争いも既に始まっている様だ。


ルシアナお姉様は“ジェーン殿下失脚のカギを握るのは私”みたいなことを言っていた。一体どういう意味か、あの後考えたがよくわからなかった。それでも私に出来ることがあるのなら、それに協力したいと思っている。


ただ…今日だけは、領地を目いっぱい楽しみたい。そんな思いで、まずは牧場へと向かった。そして、最後にラミットにまたがり近くを散歩する。


「フランソアもこの3ヶ月で、随分と乗馬が上手くなったね。もう完璧にラミットを操っているじゃないか」


そう言ってデイズお兄様が褒めてくれた。


乗馬の後は、ラミットにいつもの様にブラッシングをかけた。


「あなたのお陰で、私は乗馬が出来るようになったのよ。本当にありがとう。明日の朝、また来るわ」


そう言ってラミットを撫でた。


昼食後は海に向かう事になった。


「デイズお兄様、今日が領地で過ごす最後の日です。最後なのであのワンピースを着たいのですが」


そう、水にぬれても大丈夫なワンピースだ。私が溺れかかったため、デイズお兄様の取り上げられてしまったのだ。


「仕方ないな。分かったよ。その代わり、絶対に僕と一緒に海に入るのだよ。分かったね」


「分かりましたわ。ありがとうございます」


早速ワンピースを受け取り、着替えを済ます。そしてデイズお兄様と一緒に、海に入った。


「きゃぁ、冷たい。でもとても気持ちいですわ」


「こら、フランソア。そんな奥まで行ってはいけないよ。本当に君は、少し自由にさせるとすぐに好き勝手に動くのだから。ほら、こっちにおいで」


「お兄様こそ心配性なのですから。腰までしか水はきておりませんので、大丈夫ですわ。せっかくなので、もっと奥に…」


「フランソア、いい加減にしなさい!海は怖いのだよ。この前溺れたのを忘れたのかい?さあ、もう上がろう。君を海の中に入れておくのは心配だ」


デイズお兄様に腕を引っ張られ、そのまま陸へと上がらされた。そして一旦屋敷に戻り、ワンピースから着替えさせられる。どうやらデイズお兄様は、私をあまり海に入らせたくない様だ。


その後2人で、貝を拾った。


海を堪能した後は、馬車に乗り込んで街に出て買い物をする。この街には最近宝石が沢山取れるため、王都よりも上質な宝石が安価で売っているのだ。せっかくなので、お母様たちにも宝石を買って帰る事にした。


他にも王都で待つ使用人たちに、沢山お土産を買った。きっとカルア、領地に連れて行かなかった事を怒っているだろう。


ちょうどカルアが里帰りをしている時に領地に行く事が決まったため、連れて行けなかったのだ。


「さあ、土産も沢山買ったし、そろそろ帰ろう。お爺様やおばあ様が心配すると大変だからね」


「はい、帰りましょう」


2人で馬車に乗り込み、屋敷を目指す…かと思いきや、向かった先は小さな丘だ。丘からは海が一望できる。


「まあ、こんな素敵な場所があったなんて、知りませんでしたわ」


「僕も知らなかったのだが、お爺様が教えてくれたのだよ。お爺様とおばあ様のお気に入りの場所らしい」


「まあ、お爺様とおばあ様が?でも、どうしてデイズお兄様にだけ教えたのかしら?私だってこんな素敵な場所があるなら、もっと早く知りたかったですわ」


2人とも、デイズお兄様の事を本当に可愛がっているのもね。


「ごめんね、フランソアには僕から紹介したいからって、2人に話したから。ほら、見てごらん。海が夕日で赤くなっているよ」


「本当ですわね。とても綺麗…」


こうやって領地でデイズお兄様とのんびり過ごすのも、今日で最後か…

そう思うと、やっぱり寂しい。このままずっと、ここに居れたらいいのに…

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