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お妃候補を辞退したら、初恋の相手に溺愛されました  作者: Karamimi


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第22話:ルシアナお姉様から聞いた真実【前編】

「さあ、うるさい番犬も追い出した事だし、ゆっくりと話をしましょう。それでフランソア、あなた随分と王宮で大変な思いをしたのね。まさか一夫多妻制になるだなんて。そもそも、フランソアにはお妃候補なんて無理だったのよ」


紅茶を飲みながら、ルシアナお姉様節が炸裂する。デイズお兄様の事をうるさい番犬と言うだなんて…


「殿下も何を考えているのかさっぱり分からないし。今更やっぱり一夫多妻制は止めるだの、もう一度お妃候補を選び直したいだの言っているそうよ。我が儘にもほどがあると、貴族たちも呆れているわ。フランソアには悪いけれど、あんな男のどこがよかったの?」


「さあ…どこが良かったのかしら?正直自分でも、殿下のどこが良かったのかよくわからないの…まるで魔法にかかっていた様に、殿下に執着してしまっていて…」


「そう…恋は盲目というし、ダメ男を好きになる子もいるものね…でもフランソアが正気を取り戻してよかったわ」


そう言ってルシアナお姉様が笑っている。


「それでフランソアとデイズ様は、いつ婚約発表をするの?やっぱり王都に戻ってから?」


ルシアナお姉様が急に変な事を言いだしたのだ。一瞬飲んでいた紅茶を吹き出しそうになってしまった。


「もう、お姉様、急に変な事を言わないで下さい。紅茶を吹き出しそうになってしまいましたわ」


「変な事なんて言っていないじゃない!デイズ様が公爵家の養子に入り、フランソアがお妃候補を辞退したのなら、2人が結婚するのは当たり前の事でしょう。そもそもデイズ様も、そのつもりで公爵家の養子に入ったのでしょう?あの人、昔からフランソアへの執着がすごかったものね…」


はぁ~っとため息を付きながら、紅茶を飲むルシアナお姉様。この人は何を言っているのかしら?デイズお兄様が私に執着している?そんな事はない。デイズお兄様は、傷ついた私の心を癒すために必死に動いてくれているのだ。


「フランソア、あなた5年間もの間、王宮に閉じ込められていたから、貴族としての常識すら忘れてしまったの?あなたはシャレティヌ公爵家の血を受け継ぐ唯一の人間なのよ。さらにあなたがお妃候補を辞退したタイミングで、デイズ様とシャレティヌ公爵家の養子を発表した。それが何を意味するかくらい、さすがのあなたにだってわかるでしょう?」


確かに私はシャレティヌ公爵でもあるお父様の血を受け継いだ唯一の子供。私が公爵家を継ぐのが普通だ。そしてそのタイミングでデイズお兄様と養子縁組を発表したという事は、普通に考えて私とデイズお兄様が結婚するのが、通常の流れだろう。


でも…


「デイズお兄様は、私がまだお妃候補の段階で養子縁組をしたのですよ。だから、きっと私との結婚なんて…」


「考えていない訳がないでしょう?シャレティヌ公爵も、デイズ様もバカではないわ。むしろ賢い方なのよ。それにもしデイズ様が、フランソアと結婚するつもりがないなら、あなたが帰って来た時点でわざわざ養子縁組の件を発表するとは思えないわ。本当にフランソアは鈍いわね。そんなにデイズ様との結婚が嫌なの?」


「嫌だなんてとんでもありませんわ。むしろ私は、デイズお兄様の事を愛しております」


「それなら何ら問題はないじゃない。多分あなた達が王都に戻った段階で、婚約発表をするでしょうね。領地に来たのも、フランソアに心の準備をさせるためと、多分あの男の魔の手が伸びない様にするためだろうし…」


「あの…ルシアナお姉様、色々と勘違いしている様ですが、領地にはデイズお兄様の勉強の為に来ましたのよ。私はただ、付いて来ただけですわ」


そう伝えたのだが、なぜかルシアナお姉様が大きなため息を付いた。


「そんなの、あなたを領地に連れてくる口実に決まっているでしょう?領地経営なんて、皆王都にいながら行っているのよ。定期的に領地の様子を見に来ることはあっても、3ヶ月も領地にいる必要は無いわ。本来なら、王都にいる公爵の元で勉強した方が、よほど効率がいいわよ。それともデイズ様は、毎日元公爵と一緒に街に出て、何かをしているの?」


「いいえ…ほぼ毎日私と一緒にいますわ…」


たまにお爺様とおばあ様と一緒に、4人で街に出たりすることはあるが、どちらかと言うと観光といった感じだ。そもそも家の領地は、治安もよく今特に問題なんて起こっていないのだ。


「それじゃあ、私の為にデイズお兄様は領地に?」


「まあ、そうでしょうね。ただ、あの男の事だからこの3ヶ月で、フランソアの気持ちが自分に向くように動いているとは思うけれど…実際フランソアがデイズ様の事を受け入れている様だし、あの男の作戦勝ちね」


そう言ってお姉様が笑っている。デイズお兄様の真意は分からないが、お兄様が私の為に領地に付いて来てくれた事だけは分かった。


本当にデイズお兄様は、いつも私の事を一番に考えて下さるのだから…

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