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第18話:祖父母との再会です

馬車を降りると


「フランソア!」


「おばあ様」


おばあ様が私を抱きしめてくれた。


「可哀そうに…王宮で酷い目にあったそうじゃないか。こんなにやせ細ってしまって」


そう言って涙を流しているおばあ様。おばあ様にまでこんなにも心配をかけてしまっただなんて、本当に私、何をしていたのかしら?


「フランソア、それに君がデイズだね。初めまして、ようこそ公爵領へ。息子から君の話は聞いているよ。非常に優秀だと聞いている」


「お初にお目にかかります。デイズ・シャレティヌです。養子になってまだ1年と日が浅く、まだまだ理解しきれていないことが沢山あります。どうかこの3ヶ月、ご指導の程よろしくお願いいたします」



デイズお兄様がお爺様に頭を下げている。


「デイズ殿、そんなにかしこまらなくていいのよ。私達の事も、本当の祖父母と思って接してちょうだいね。もう私たちは家族なのだから。さあ、長旅で疲れたでしょう?屋敷に入りましょう」


隣にいたおばあ様が私から離れ、デイズお兄様に話しかけている。


「そうだな、さあ2人とも、入ってくれ」


お爺様にも促され、屋敷に入ろうとした時だった。


「「「デイズお坊ちゃま、フランソアお嬢様、おかえりなさいませ」」」


ずらりと並んで待っていてくれた、沢山の使用人たちが一斉に頭を下げたのだ。最後に領地に来たのは確か8年前、私が7歳の時だったわね。あの頃とほとんど顔ぶれは変わっていないが、皆少し歳を取った様だ。


「皆、出迎えありがとう。それから、今日から3ヶ月お世話になる事になった。領地の件を色々と勉強できたらと思っている。どうかよろしく頼む」


デイズお兄様が使用人たちに挨拶をした。これからこの地で3ヶ月暮らすのね。なんだかワクワクするわ。


「2人の部屋は隣同士に準備したよ。こっちがフランソア、こっちがデイズの部屋だ。デイズの部屋には昔息子が使っていた領地に関する本を入れておいた。時間があるときに読んでくれ」


「ありがとうございます、お爺様。さあ、フランソア、とりあえず着替えてこよう」


いつもの様にデイズお兄様が私の手を取る。


「息子からの手紙で、デイズ殿はフランソアをとても気にかけてくれていると聞いていたけれど、本当の様ね。デイズ殿、フランソアの事、よろしくお願いします」


おばあ様が急にデイズお兄様に頭を下げたのだ。


「おばあ様、頭を上げて下さい。フランソアは僕が必ず幸せにしますから」


そう言ってほほ笑んでいるデイズお兄様。それって、ずっと私の傍にいてくれるという事から?それとも社交辞令?たとえ社交辞令だったとしても、そう言ってもらえると嬉しい。


おばあ様もお爺様も嬉しそうに微笑んでいるし。


「着替えが終わったら食堂にいらっしゃい。今日はあなた達が来たお祝いをしようと思ってね。料理長も若い人が来てくれると、張り切ってお料理を作ってくれたのよ」


「まあ、料理長が?それは楽しみですわ。デイズお兄様、料理長のお料理、とても美味しいのですよ。急いで着替えましょう」


準備してくれた部屋に戻り、急いで着替えを済ませた。今日もデイズお兄様が私の為に準備してくれたドレスを着る。一体デイズお兄様は、私の為に何着ドレスを準備してくれたのかしら?そう思うほど、沢山あるのだ。


おっと、急いで行かないと、皆が待っているわね。そう思い部屋から出ると、デイズお兄様が待っていてくれた。


「フランソア、一緒に食堂まで行こう。それで、食堂はどこにあるのだい?」


そうか、デイズお兄様はここに来るのが初めてだものね。私がしっかり案内しないと!


「こちらですわ、デイズお兄様」


お兄様の手を握り、食堂へと案内する。食堂に着くと、お爺様とおばあ様が待っていてくれていた。


みんな揃ったところで、食事スタートだ。


「フランソア、大きなエビがあるね。プリプリしていて美味しいよ。ほら、沢山食べて」


いつもの様に私の世話を焼くデイズお兄様。その姿を、生温かい眼差しで見つめるお爺様とおばあ様、さらに領地の使用人たち。


「もう、デイズお兄様ったら。皆が見ておりますわ」


「別にいいだろう?ほら、野菜が残っているよ。しっかり食べて」


そう言ってデイズお兄様が私の口に野菜を放り込んだ。


「私は1人で食べられますわ!」


さすがにお爺様やおばあ様の前で恥ずかしいじゃない。そう思ったのだが…


「別に恥ずかしがることはない。ここで3ヶ月もお世話になるのだから、最初から僕たちの本来の姿を見せておいた方がいいだろう?」


そう言って笑っている。確かにそうなのだが…


その後も4人で楽しい食事を済ませた後、自室に戻ってきた。さすがに長旅で疲れた。今日は早く寝よう。


フカフカのベッドに入ると、あっと言う間に眠ってしまったのだった。

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