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体育祭の天気は

『本日は未だに降り続いた雨のお陰でどんよりとした天気続きになっています。 しかし来週の数日は雨が降ることは無いでしょう、雲の流れが一時的に日本を離れて、一度太平洋側へと行き、その後にまた日本へと上陸していきます。 それでは明日の天気まずは・・・』


 テレビの天気予報を見ながら夕飯を食べていた真面目は、その日が一応体育祭前日までだと気が付いた。


「うわぁ・・・準備をするだけして終わりそう・・・」

「体育祭だっけ? 1日で終わらせる気みたいだったけど、大丈夫なの?」


 壱与も学校説明の時に聞いた行事ではあるものの、ほとんどが外での競技となるため、グラウンドが濡れてしまえば、それもまともには出来なくなる可能性はあった。


「その辺りは生徒会として先生達に相談なのかもなぁ。」


 責任を負うことはないと分かりつつも、真面目は学校の行事にたいして、手を抜くことは出来ないと思ったのだった。


 翌朝になり、外は昨日からの雨がまだ降っている。 もうそろそろ夏本番といったところで、朝の肌寒さが何気に堪える。 布団から出たくない衝動を無理矢理起こした真面目はいつも通りにシャワーを浴びて、制服に着替えて朝食を食べてすぐに出発をした。


「まだ雨が強くなってないとはいえ、学校につく前まではこのままでいて欲しいな。」


 そんな望みが天に届くかは定かではないものの、面倒は真面目も避けたいのが事実なのだ。 そして前回岬の体調面も聞いているので、その辺りも関与して先に行っていることを報告する。 おそらく身体を暖めるのに時間がかかるであろうからである。


 そして学校に到着して、教室についた後の窓の外を見ると、登校した時とほとんど変わらない雨の降り方をしていたのだった。


「雨が強くなる前で安心したかい?」


 真面目が安堵していると同じく登校してきた刃真里が声をかけてきた。


「まあそんなところだけど、昨日天気予報を見てたらさ、来週はとりあえず天気は回復するって言ってたんだ。」

「丁度体育祭の前日だったっけ?」

「だけどほとんどが屋外競技だから、雨が途中から降られると厄介だなって思ってさ。」


 その言葉を聞いた刃真里は、その整った顔でクスリと笑って見せた。


「? なに?」

「いや、随分と生徒会らしい意見を述べるなって思ってね。 生徒会なんだから当然だけど、まだ1ヶ月しかやっていないのに、責任感が強いなってさ。」


 刃真里にそうして指摘されると、真面目も言われてみればと思うようになる。 前回来た桃源高校の生徒会長との話を聞いて、責任感が増したのだろうかと真面目は感じた。


「でもそうやって他人のために思いやる気持ちは、ボクは嫌いじゃないかな。 自分の事を省みないのは別だけど。」

「鎧塚さんはその姿の方が様になってるよ。 その美貌と台詞で落ちない女子はいないでしょ。 ん? この場合は男子?」

「その事で困惑するのは仕方の無い事だけどね。」

「おはよう一ノ瀬君。」


 そんな会話をしていると、ようやく登校してきた岬が2人の間に入った。


「おはよう浅倉さん。 なんでこう言うとき間に入ってくるの?」

「深い意味は分からないけど、その様子を見てると、なんだか「モヤッ」とする。」

「なんでか分からないのに?」

「分からないのに。」


 岬に分からなければ、本人でない真面目には分かるわけがないと、少しだけ諦めの入る真面目であった。


「今年の体育祭についてだが、我々の決定が今後の学校生活に関わってくる事態にまで陥っている。」


 銘は真剣な表情になりながらそう説明をした。


「これまでの体育祭における傾向を考えると、今年はどのようにするのが良いかと、教員の間で話題になっているようだ。」

「去年はどうしていたのですか?」

「良い質問だ一ノ瀬庶務。 去年は天候が1週間延期になったが、その時期には梅雨明けが宣言されていたので開催が出来た。 しかし一昨年は中止を宣伝し、体育祭が無いことに卒業生が訴えられた事もある。 そしてこの学校の行事の歴史を辿ると、このように延期や中止、時には前倒しになることは至極当然のように行われていたことが分かっている。 開催時期通りに出来た年もいくつかはあるようだが。」


 話を聞く限りでは延期をしても問題はないような雰囲気ではあるものの、銘はそうは思っていないようだった。


「予報を見る限りでは体育祭の日に雨が降る時間はお昼頃からとの見方がある。 そこで私は考えた。 室内でもで出来る競技を午後に回せば、午後に雨が降っても体育祭を進めるのは可能なのでは?とね。」

「つまり競技の順番を入れ替える、と?」

「そう言うことだ花井副会長。 恒例競技を行いながらも体育祭を損なわせない素晴らしい発案だと思わないかい?」


 雨が降るならば影響の無い場所でやればいい。 そう言った発案であることは間違いはないのだが


「会長。 僕から疑問を提示したいです。」

「なんだろうか金田会計。」

「おそらくその発案での提供場所は体育館になるでしょうが、全校生徒を入れるとしても競技の内容によっては激しく動き回ることが予測されますが参加のしない生徒の安全はどう保証をするので?」


 体育館ならば雨に濡れることもないし、広さはある。 だが全校生徒と教員数十名を入れれば壇上以外のスペースがほとんど確保されない。 そんな中で行われる競技など、参加者はともかく見学者が怪我をしてしまう事は目に見えているだろう。


「その事についてなのだが、この学校の放送室の準備室には、校内放映用のカメラがあるのは知っているかな? 実はその事で放送部と協力をしてもらい、体育館内の放送をして貰おうと思っているのだよ。 この案ならいるのは撮影している放送部と審判の教員のみ。 参加しない生徒は教室で見るなり直接応援しに行くことの二択を選べるわけだ。」


 完全に先読みしたかのような解答に完璧さを覚えた。


「それでは室内でも出来る競技の選定と、順番の変更について話し合っていくのが今回の議題というわけだな。」

「そう言うことになる。 しかしある程度は候補も出ているし、どの辺りでなんの競技をするのかも大体決めているので、そこまで悩むことでもないがな。 では早速だが本題に入るとしようか。 競技の変更についてだが・・・」


 そうして今年の体育祭についての流れは意外にもあっさりと決まっていき、それが教員にもその提案はすぐに決議が入った。


 一度土日を挟んでその間に真面目は色々と準備をしていった。 タオルや消臭剤などを多めに買っておいて、もしも誰かが困っていたら渡せるように個数は増やしておく。


 そしてそのまま時間が流れて、グラウンドには日焼け兼雨対策としてのテントが張り巡らされている。


『さあ! 今年は例年通り始めました体育祭! 今年はどのクラスが勝つのか! 選手及び生徒の皆さんは入場口から入場してください!』

今回はある程度時間を飛ばしました。


そろそろイベントまでの間の話が無くなってきたので。


刃真里の立ち位置を今後どうするか検討中です。

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