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お昼を食べよう

 この後に真面目達は空中ブランコ。 そこでは柱の周りをグルグルと回っているブランコに、多くの人達が乗っていた。


「あれくらいなら私達でも乗れそうです。」

「それなら早速行こうか。 多分並んでる人達の事を考えると、あそこでお昼頃になるだろうし。」


 真面目が考察していると、それで皆も同意したので、そのままの流れで空中ブランコの列へと並ぶ。


「近くに来ると・・・結構な高さまで行かねえか?」

「丁度良いじゃん、風を感じられて気持ち良さそうだし。」

「あれ? 隆起君って高所恐怖症じゃないよね?」

「それは関係無いぜ? たださっきの場所から見た感じより高いなって思ってさ。」

「遠近法のせいだね。」


 そんな感じでワイワイと並んで、ようやく自分達の番になった。 様々な色のブランコがあるものの、それ以外ではほとんど同じものばかりなので、自分達がピンと来たものに乗った。 職員の手解きと確認をしっかりと受けてから真面目達は垂れ下がっている鎖をしっかりと持って


『それでは楽しい空中散歩へ、行ってらっしゃーい。』


 始まりの音と共にアナウンスが流れると、ゆっくりと、でも確実に回転を始める。 そしてどんどんと回転の速度を上げていき、後はその遠心力に任せて回っているだけになった。


「あー、確かに心地良いかも。」


 真面目も気乗りしていなかった訳ではないものの、実際に体験するまでは「そこまでかな?」と思っていただけに、感動すら覚えていた。


 そして5分ほど空中散歩を終わると、地面へとゆっくりと降りていった。


『空中散歩はいかがだったでしょうか? 係のものが鍵を外しに行きますので、もうしばらくそのままの体勢でお待ちください。』


 丁寧なアナウンスの通りに待っていると、職員の人が来て、テキパキと留め具を外して、乗客を降ろしたのだった。


「そう言えばお昼はどこで食べるよ?」

「遊園地も広い。 それなら広場のような場所があってもおかしくない。」


 そう言ったことで真面目達は遊園地のマップを確認する。 そして現在位置からそれほど遠くない場所に、売店やレストランがあり、その周りは芝生のような場所が広がっていた。


「丁度良さげな所があるね。 そこまで行ってみようか。」

「お昼時ですので、人は多いと思いますが。」

「善は急げだね。 レッツゴー!」


 得流の言うようにすぐに動いた方がいいと判断したので、すぐにその場から移動を始めた。


 その場所はレストランが入っているスペースと、外で食べられるスペースで分けられており、また家族連れの人々は持参した昼食を芝生に座りながら食べている様子も見受けられた。


「これ座る場所あるかな?」

「流石に、大丈夫かと、思いますが・・・」


 得流の心配は良く分からないが、とにかくそれらしい場所を確保して、みんなで座れるように空間を作った。


「レジャーシートとかあれば良かったかな?」

「でもこの芝生、特に汚れないから大丈夫じゃない?」

「そうそう。 ちょっとキレイ好きな部分が見えてるぜ。」


 岬と隆起に指摘された真面目は、そう言うつもりで言ったわけでは無かっただけに、ちょっと落ち込んだ。


「まあまあ。 それで、和奏ちゃん。 どんなお弁当を持ってきてくれたんですか?」

「あ、それ私も気になってた。 作ってきてくれたなんて嬉しいよ。」


 そう言われながら和奏はリュックからおずおずとお弁当、3つのお重を出してきた。


「ええっと、皆さんがどのくらい、食べれられるのか、分からなかったので、とりあえずは、人数分よりも、ちょっと多めに、用意してきました。」


 そうしてふたを開けると、目についたのは色とりどりなサンドイッチだった。 レタスとハムが入ったもの、玉子フィリングが入ったもの、キャベツの千切りの炒め物が入ったものとバリエーションが豊富だった。


「旨そうだな!」

「これだけ作るの、大変だったでしょ?」

「そうでもなかったり、するんですよ。 6枚切りのパンに、おかずを挟んで、切っただけ、ですから。」


 確かにそれだけと言えばそれだけなのだろうが、それでも手間はかかっていただろうに。 既に手に取っていた隆起は美味しそうに食べていた。


「次の段には、なにが入ってるの?」

「そこは、サラダが入っています。」


 開けてみるとポテトサラダや野菜スティックが入っており、野菜スティックの隣にはゴマだれとマヨネーズの2種類が入った容器があった。


「野菜スティックは、前日に酢で、浸けてあるので、さっぱりするかと。」

「へぇ、拘ってるんだねぇ。」


 真面目はきゅうりのスティックを取ってマヨネーズで食べる。 酢で浸けたさっぱりさとマヨネーズの甘さが食欲を引き立てていた。


「最後の段は、お肉とかが、入ってます。」


 一番下を開けると、野菜スティックを一口サイズにしたものを豚肉で巻いて焼いたものや厚切りのベーコン、薄切りだがたっぷりの生姜焼きがあった。


「好みに合わせてくれてるのは嬉しい。」

「どれから食べようか、迷ってしまいます。」


 叶が目移りしている間に、岬は生姜焼きを食べる。 薄切りゆえに味がしっかりと染み込んでいるのがわかる。 下に敷かれたキャベツも良い味をしていた。


「あ、そう言えば飲み物がないね。 なにか買ってこよう。 みんななにがいい?」

「私は紅茶をお願いします。 レモンがいいです。」

「あたいミルクティー。」

「緑茶。 濃いめがあればそれで。」

「それなら、味のついた、お水がいいです。」

「了解。 確か自販機が近くにあったはず。」

「俺も一緒に買いに行くぜ。 1人で6人分は抱え込めないだろ?」


 そう言って真面目と隆起は近くの自販機まで買い出しに行く事になった。


「ええっと、レモンティーとミルクティー、緑茶は濃いのがあるからそっちにして、味付きの水は・・・マスカットがいいかな。 隆起君は?」

「俺はエナドリにするぜ。」

「じゃあ僕はスポーツドリンクにしようかな。」


 自販機で人数分のドリンクを買った後の帰り道。 そこで真面目達はある光景を見かけた。


「ねぇ、隆起君。 あれ。」

「あん? なにやってんだ? あの子供。 迷子か?」


 そこで見かけたのは小学生くらいの女の子で、キョロキョロとまるで誰かを探しているようだった。 そんな女の子に真面目は近付いていった。


「どうしたのかな? お母さん達とはぐれちゃった?」

「うん。 おばあちゃんがどこか行っちゃって・・・」

「そっか。 近くにいるかもしれないね。 一緒に探すよ。」

「ありがとうお姉ちゃん。」


 真面目は本当は男なんだけど、今の自分は女子高生なので、訂正する理由にはならなかった。


 きゅるるるー


「あっ・・・」

「その前に腹ごしらえかな?」

「もしかしたらおばあちゃん飯を買いに行ったのかもな。 店の中にいるかもしれないからその時は連れてくるぜ。 お嬢ちゃん、名前は?」

「レミ。」

「おっけ。 レミのおばあちゃんは俺が連れてくるから、真面目はあいつらのところに戻って飲み物と、レミに飯を食わせてあげな。」

「そうするよ。 行こうかレミちゃん。」

「うん。」


 そうしてレミと真面目はみんなのところに戻ることにした。


「ただいまみんな。」

「お帰り一ノ瀬君。」

「あれ? その子は?」

「迷子だったのと、お腹が空いてそうだったから、ちょっと分けてあげようと思ってさ。」

「そう言うことなら。 どうぞ遠慮無く食べてください。」

「ええっと・・・いただきます?」


 この時のレミは恐らく男子が多いことに困惑していたのだろうと、後で真面目は思ったのだが、レミはとりあえずサンドイッチを食べることにして、祖母を待った。


 そして数分後。


「レミちゃん。」

「おばあちゃん!」


 そうして感動の再開をするのだった。


「ごめんねぇ、レミちゃんを置いてきぼりにしちゃって。 ほら、レミちゃんの大好きなポテトを買ってきてあげたよ。」

「うん。 今度はレミの事を見ててね。」

「はいよ。 この度はありがとうございました。」

「いえいえ、お二人とも楽しんでください。」

「お兄ちゃん、お姉ちゃん、バイバーイ!」


 そうして2人を見送って、改めてお昼ごはんを食べることにしたのだった。


「あの子は私達の性別が逆になっていることは、分からないでしょうね。」

「まあ分かられても困るけどね。」

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