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友人達との遠出

 試験期間も終わりを迎えて、通常の学校生活に戻った週末の日曜日。 真面目はいつも通りの時間に起きて、シャワーを浴び、そして今日は少しばかりお洒落な格好をしてみる。


「白は汚れやすいから自分の好みじゃないんだよね。 清楚系にするならそっちかもしれないけど、僕は出掛けるときは暗色系の方が好きだったりするんだよね。」


 誰に対して言っているのか分からないが、真面目は紺色の半袖シャツにダークグリーンのパーカーを着て、今回は動きやすいようにジーンズを穿き、サンバイザーを着けて、少し少年チックに仕上げた。


「今日は遊園地だからね。 スカートだと動きにくいかもしれないし。」


 自分のファッションに間違いがないことを確認して、リビングへと降りていく。


「おはよう母さん。」

「おはよう真面目。 あら、随分と気合いが入ってるわね。」

「そうかな? 動きやすさを重視したつもりなんだけど。」

「良いんじゃない? あんたらしくって。 ほら、朝御飯食べていくでしょ?」

「もちろん。 これから体力を使うことになるだろうからね。」


 遊園地で遊ぶのにそれだけ必要なのかと言われると、みんなで行くというところでワイワイするための体力が必要なのだろう。 真面目は朝食をしっかりと食べて、最後に自分を鏡で見てから、家を出たのだった。


 今回の集合場所は遊園地へと繋がる学校近くの最寄り駅の改札口前。 今回集まったグループ6人はそれぞれが違う場所なので、ならば1ヶ所に集まりやすい最寄り駅にしようという内容に決定したのだ。 最も真面目は会話に参加していなかったので、MILEの内容から察しながら見ていたのだが。


 現在時刻は8時半。 開園は9時からであるがシャトルバスに乗るためにもこの時間くらいがいいのだ。


「さてと、既に来てる人は・・・」

「おはようございます。 一ノ瀬さん。」

「おはよう、ございます。」


 辺りを見渡していると、そこにいたのは長袖シャツにスラックスの叶とつば付き帽子を被って、リュックを背負った和奏が立っていた。


「おはよう。 早いね2人とも。」

「私と和奏ちゃんは家が近かったものですから、途中から一緒に来たんです。」

「他の皆さんは、まだ来ていませんよ。」

「そうだろうね。 でもそろそろ誰かは・・・」

「お待たせー!」

「お待たせしました。」


 駅の改札口から現れたのは相変わらず黒のウインドブレーカーに身体を隠す岬と、逆に半袖に短パンという元気な姿を見せる得流だった。


「いや、僕も今来たところだよ。 割と本当に。」

「最後の一言は余計。 そういうのは言わないのが乙なもの。」

「まぁまぁ良いじゃんか岬。 今日は友人として遊ぶんだし。 これで後来てないのは木山だけ?」

「そんなことを言ってたら丁度来たんじゃないかな?」


 そう言って現れた隆起はと言えば


「わりぃ、すげぇ混んでたからさ。 もみくちゃにされちまったよ。」


 青のサロペットに身を包んだ隆起だったが、その顔は汗で化粧が落ちてしまっている状態だった。


「あーあー。 ちょい木山。 これで顔拭いて。」

「え? これって・・・除菌シート?」

「無理な化粧したのか知らないけど、あんた顔ドロドロになってるよ。」

「うぇ!? まじでか!?」

「そこまで着飾る必要はない。 今日は友達だけなんだから。」

「けどよぉ、なんかイメージとしてはだなぁ。」

「はいはい。 イメージ通りにならないのは仕方の無いことだよ隆起君。 そろそろ行こう。 バスに乗り遅れちゃうよ。」


 時刻を確認すると8時40分。 開園と同時に入れるバスの時刻が迫ってきていた。


「わわっ! 急がないと!」

「それじゃあ遊園地に出発!」


 そうして6人は駅を出てすぐのバス停に着くと既にバス停の前にはズラリと人が並んでいた。


「うわぁすげぇ。 これ全員遊園地行きか?」

「そうだと思う。 ここ以外に遊園地へ行く方法は無いから。」


 その列を良く見ると家族連れや真面目達と同じ友人同士、中には男女のみで来ている乗客もいた。 恐らくはカップルなのだろうが、年齢が分からない以上正しい性別かも曖昧である。


「ここでこれってことは車で来てる人達の方はもっと大変だろうね。」

「日曜日ですし、これから雨季に入りますので、出掛けれるうちに、出掛けたいのだと。」


 和奏の言うように、近いうちに梅雨前線が日本に到達しそうという天気予報が言っていたので、そう言う意味では確かに早くに行きたかったのだろう。


「あ、バスが来たよ。 うわ、2台も用意されてる。」


 これだけの人を想定していたのだろうか、中型くらいのシャトルバスが2台もバス停に到着した。 そして降りてきた運転手に促されて、真面目達は後ろの2台目のバスへと乗り、遊園地へと向かうのだった。


「うわぁすげぇ人混み。 あれ全部入場券の購入者かよ。」

「そうなんじゃない? ほら、あの先に入場券売場って書いてあるし。」


 入り口よりも少し遠目のところでバスを降ろされて、待っていたのは長蛇の列。 開園と同時に押し寄せるであろう人は普通の非ではないだろう。


 それでも並ばなければ購入は出来ないので、真面目達もその列へと並んでいく。


 あれよあれよと前へと押されていき、終わりの見えない窮屈さにもみくちゃにされそうになっていた。


「さっきの電車の中よりも、人が凄いぜ・・・」

「みんな! はぐれないように!」


 隆起と真面目がそう声をかけてはいるものの、前後左右から押し込まれるように移動しているため、みんなが無事なのかも正直把握しきれていない。


 すると隆起と真面目の2人の腕に掴まれる感触があった。 その掴まれた腕の先を見てみると、真面目の方に岬と和奏。 隆起の方に得流と叶がいた。


「良かった。 みんないるみたいだね。」

「こっちも大丈夫だ。 買い終わるまでは離れるなよ。」


 もみくちゃにされること5分ほど。 ようやくの思いで入場券売場へとたどり着いた。


「いらっしゃいませ。 何名様のご入場ですか?」

「学生6枚でお願いします。」


 そう言って全員が生徒手帳を見せる。 そして真面目達の顔と写真を擦り合わせて、本人であることを確認してから、入場券を渡される。


「学生ですので料金はお一人様1500円。 高校生ですのでそこから200円引き、更に5名以上での入場で100円引きさせていただきますので、お一人様1200円になります。」

「それなら俺がまとめて払って良いか? 大きいのしか貰えなくてよ。」


 そうして隆起が10000円を出して、入場口で待っていると、不意に気が付いたことがあった。


「そう言えば乗り放題とかにしなくて良かったの?」

「これだけの人がいるなかで乗ることは無理だと思う。 ある程度は乗り物を絞らないといけない。」

「あれだったら乗りたいやつだけ乗れば良いしね。」


 余計なお金を掛けたくなかったようなので、そう言うことならと納得した真面目。 そして入場券を入場で口にいる職員に見せて、ようやく遊園地へと入場出来るのだった。

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