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くつろぎ始めたら

昨日は投稿を休んでしまったことをお詫び申し上げます。

「真面目、これでどうだ?」

「どれどれ? あー答えは合ってるけど計算が間違ってるかな。 ここはこうじゃなくて・・・」

「浅倉さん。 これはどうでしょうか?」

「これはそうじゃない。 ここを見てみれば分かると思う。」


 お昼ごはんを食べた後も勉強をしていた真面目達。 かなり集中出来たお陰か、隆起も得流も1人で解いてから真面目達に見せるようになっていた。 そして時間を見てみるとお昼ごはんを食べてからかれこれ2時間は経過していることが分かり、そこで中断もとい終了することにしたのだった。


「くぁぁ、終わった終わったー。 今までで一番勉強した気がするぜ。」

「お疲れ様。 僕達も結構大変だったよ。」

「うん。 得流も木山君も教えることが所が多いから。」

「でもお陰で、私達も勉強になりました。」

「ノートもシャーペンもすり減らした気分だけど。」

「それは、頑張った、証拠、ですよ。」


 6人がそれぞれを励まし合っている所に、名瀬がまたお盆を持って入ってきた。


「皆様勉学お疲れ様でした。 アイスをご用意致しましたので、溶ける前にお召し上がりください。」

「ありがとうございます名瀬さん。」

「冷たさと甘さが欲しかったんです! それにしても本当にいいタイミングで来られましたね。」


 すぐにと言わんばかりに得と隆起はアイスの入った器をすぐに取ってアイスを食べていた。


「名瀬さん。 このアイスどこにあったの?」

「冷凍庫の中ですよ。」

「それって大きな容器のやつ?」


 その一言で全員の手が止まる。 大きな容器の、ということはそれなりに値段がするやつというわけである。


「家族で食べるよりも皆さんに食べてもらった方が消費が早いと思ったので。」

「まあ、単純に人数は倍になってるから間違ってはないけど・・・まあいいか。 別に怒られるようなものじゃないから。」


 そう2人の中で解決はしているものの、それを素直に受け止められない5人がいた。

「ほ、本当に食べていいの? これって高いものって事にならない?」

「問題ないよ。 お客さん用に出したと思ってもらえればいいし。」


 それで本当にいいのやらと思いながら真面目もアイスを食べ始めた。 確かに市販のアイスよりも味が一つも二つも違ってきた。 確かに高級感は味わえる。


「それにしても岬様がご友人を連れてこられるとは。 私も嬉しく思います。」

「名瀬さんはいつから岬の事を見ていたんですか?」

「今思えば幼少期からでしょうか。 私が来た頃の時は既にある程度は成長していましたから。」

「でも授業参観の時はいつも名瀬さんだった。」

「旦那様も奥様もお忙しく、私がよく学校行事には参加していました。」


 複雑な家族構成ではあるものの、それなりに幸せならいいのだろう。


「そういえばこの家って大体どのくらいの広さがあるの?」

「広さは大体40坪程になります。 部屋だけで言えばお風呂場やキッチンなどを含めれば15部屋程となりますね。」

「うわぁ、やっぱり、広いですね。」

「使ってるのはほんの一部だけどね。」


 さりげなく自分の使っている部屋などを言われるが、これたけ広いと使っていると言われてもピンとは来ないものだ。


「それでもあれだよな。 こういった家に嫁入りすれば、一気に出世出来そうじゃね?」

「そういう考えは良くないよ隆起君。 それに浅倉さんは元々は女子だから、相手は男性になるよ。」

「ああ、そっか。 わりぃ、この世界の状況に慣れすぎてたわ。」

「そもそもこういったお家ならご両親の説得とかも難しそうですよね。 ドラマとかでよくやってるのを見ます。」

「それなんの影響?」


 みんながいろんな意見を出しあっている姿を見て、名瀬は面白そうに笑っていた。


「名瀬さん?」

「すみません。 岬様が楽しそうにしている姿を見て、私も嬉しくなってしまって。 高校に入る前は、男子の姿になってしまうことを、少しばかり不安がっていたものですから。」

「それはそうですよ。 いきなり男の子の身体に、なるなんて言われても、実感が、無いですから。」

「その件に関してはこっちも同じだよ。 というか僕の場合はさらにこれの事もあったから余計にさ。」

「私達の友達にもそんなに大きな子いなかったなぁ。 成長期特有のものにしてもおかしいし。」


 皆が皆、既に我が家のように馴染んでいるのを見ると、かなりリラックスし始めているようだった。 勉強からの緊張が解けたとも言えるが。


「そういえば浅倉さんの友達って具体的にどんな人が多かったの?」

「ああ、やっぱり気になっちゃう?」

「なにか知ってるの? 近野さん。」

「まあ中学時代の友人としてはねぇ。 とは言っても岬はそこまで他の生徒とは喋ったりしてなかったのよね。」

「なにか理由が、あるのですか?」

「ううん。 ただ単に1人が好きだっただけなんだけど、あの性格だからほんのちょっぴり誤解を受けやすかったのよ。」

「私には関係ありません。 向こうが考えを見誤ったのが間違いなのです。」

「・・・友達とでも喧嘩したのか?」

「僕が深掘りしようとして申し訳無いけど、この話はここまでにしよう。 ごめん浅倉さん。 変な事を聞いて。」

「素直に謝ってくれるから一ノ瀬君は好きですよ。」


 そう笑いかけてきた岬の微笑みを真正面から受けた真面目は、心臓の鼓動が速まるのを感じたのだった。


「お? どうした真面目。 顔なんか赤らめて。」

「え!? あ、赤らめてなんか・・・」

「なになに? 一ノ瀬、岬に恋しちゃった?」

「いやいや! そんなこと無いって! 本当だって!」

「岬ちゃんはどうなのですか?」

「さぁ? どうでしょうか?」

「浅倉さん! ややこしくなりそうだからちゃんと答えて!」


 そのやり取りに和奏はアワアワと左右を見ており、名瀬は微笑ましく見ているのみだった。


「皆様、そろそろ旦那様方がお帰りになられますので、ご帰宅のご準備をお願い致します。」

「そうだね。 そろそろ僕らも帰ろうか。」


 そして帰宅の準備をして、そのまま浅倉家を去るのだった。


「それじゃあ皆、また月曜日。」

「おう、ありがとうな浅倉。」

「またね岬。」


 外を見ると日が暮れかかっていて、西日がかなり眩しく真面目に刺さる。 とはいえまだ家に着くまではこの西日と戦わなければならないのだ。 真面目は悪くない。


「ただいまぁ。」

「お帰り真面目。 どうだった? 勉強の方は。」

「僕の方はボチボチかな。 皆もそれなりに頑張ってたよ。 でも流石に場所が場所だったからみんな緊張していたよ。」


 そう真面目も笑っていたが、真面目もある意味では似たり寄ったりな反応をしていたのは間違いない。 しかしそんな事実は胸の奥に閉まっておいて、とりあえずは勉強が出来たことを報告するのだった。


「うーん、やっぱり家で勉強した方が多少は捗るかも。」


 夕飯も終えて自室に戻った真面目は勉強を始めて、しばらく経った後に思ったことだった。


「でも浅倉さんの家が凄かったのも事実だしなぁ。」


 あれだけの敷地を1人で掃除をしていたりと考えると、名瀬さんもかなりの手練れだと思ってしまう。


 そんな時に携帯が鳴った。 相手は岬からだった。


「噂をすればなんとやら?」

『お疲れ様。 これから寝るところだった?』


 時計を見ると9時半を指していた。 今までの真面目ならばこの時間はまだ大丈夫で、この後も勉強をしようかとも思うところだが、肉体が女子になってからは、寝不足は肌の天敵と壱与に釘を刺されたので、今はあまり夜更かしはしていない。


「まだ勉強中だけど、もう少ししたら寝るところ。」


 そう返信して勉強用具をしまい、明日の準備をしていると、また携帯が鳴った。 返信が来たのだろう。


『そっか。 それじゃあ私もこの辺りにしないとね。 今度は一ノ瀬君の話聞かせてよね。 お休み。』


 その一文で会話は途切れるが、真面目は少し考えてからベッドに入った。


「僕について・・・かぁ。」


 岬の過去に少し触れた経緯もあるため、その事に関しては自分に話せることは話そうと思いながら、眠りにつくのだった。

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