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1週間ぶりのまともな授業

 真面目は目が覚める。 時刻は6時。 今までよりも遅くに起きたと感じるが、登校するまでにはまだ時間はあるが、ここで二度寝をしてしまうと起きれないので、そのままベッドから起き上がる。


 そして部屋を出て、浴室でシャワーを浴びて、制服へと着替える。


「なんだかこの格好も久しぶりな気がするなぁ。」


 約一週間程まともに来ていなかっただけにそう感じてしまう。 リビングへと入ると、既に朝食が用意されたテーブルで壱与がご飯を食べていた。


「おはよう真面目。 ちゃんと起きれたみたいね。」

「おはよう母さん。 ちょっとだけ危なかったけどね。」


 軽い挨拶程度の会話を交わしてから、壱与が片付けて先にリビングを出る。 少しした後に真面目も自分の朝食の皿を片付けて家を出る。

 これから暑さが増していくという日差しの中の久しぶりの制服での登校。 少しだけ制服が暑く感じるようになってくる。 しかも真面目は胸のこともあって尚更暑さを感じてしまう。


「うちの学校の衣替えって、いつからだっけ?」


 元々暑がりな体質ではないものの、身体変化があったせいか、今までの服の傾向なんかも変えなければいけなくなる時期になってきたのだ。


「ふぅ・・・ちょっと暑い・・・」

「おはよう、一ノ瀬君。」


 名前を呼ばれた真面目は、その声のする方を見ると、そこには制服をガチガチに着込んだ岬がいたのだった。


「おはよう浅倉さん。 ・・・なんか見ていたら余計に暑くなったんだけど・・・」

「そう?」


 どうやら岬自身はそんなことを思ってはいないようだ。 暑そうな格好なのにも関わらずケロッとしていた。


「まあこんなことを言ってもしょうがないんだろうけど・・・暑さで倒れないでね?」

「心配してくれるのは嬉しい。 けど大丈夫。」


 それならいいんだけどと思いながら真面目達は学校へと足を運ばせるのだった。


「おはよう。」

「おいーっす。」


 あちらこちらでゴールデンウィーク明けの挨拶が行われている。 一週間近く会えていないことを考えれば当然の事だろう。 そしてそれは真面目達も例外ではなかった。


「よっす真面目。 ゴールデンウィークは楽しめたか?」

「隆起君おはよう。 あれから情報なにか新しく入った?」

「んー、もう少しって所だろうな。 今年中・・・いや、夏には出るって何だかんだで予測はされてるから、そろそろなにか情報が出るとは思うんだが・・・」

「なんの話?」

「おおっと、浅倉もいたのか。 この辺りは男だけの秘密ってことで。」

「今は女の子だけどね。 あ、そうだ。 今日のお昼休みはあそこでみんなで食べようよ。 お土産もあるし。」

「お、分かったぜ。 んじゃ昼休みな。」


 隆起と別れた後に真面目達もB組に入り、クラスメイトとちょっとした雑談を交わして、HRを終えて最初の現国の授業に入る。


「うう、久しぶりの授業で眠気が凄かった・・・」

「ゴールデンウィークの休みボケが抜けてない。 大半は眠たそうにしていた。」


 現国が終わってそんなことを愚痴る真面目。 岬もかなり危なかったと見える。


「こんな調子じゃ絶対どこかで寝るよこれ。」

「お昼前とかは特に気を付けないとね。」


 そう二人で話してはいたものの、2人を含めて、授業中の居眠りをしないようにするクラスメイトが多かったせいか、次の休み時間にはクラスメイトの大半が寝て過ごす始末となっていた。 ある意味ではこれも日常風景である。

 それでも次の試験が近付いていることは分かっているのか、眠らないように必死になっている姿は、教師からするとかなり狂気に見えたのかもしれない。


「あー、そうだな。 俺も結構ヤバかったぜ。」


 待ちに待ったお昼休み。 例の場所で集まって昼までの話をすると、皆が納得するように頷いていた。


「あの、私もいていいんでしょうか?」

「大丈夫大丈夫。 ここなら人目は気にならないから、和奏も居やすいでしょ?」


 いつもの5人に加えて更に和奏がいる構成になっている。 この時真面目は人数が揃って渡しやすくなったからいいかと思っていたが、気になる言葉があったので聞いてみることにした。


「南須原さんって、もしかしてクラスで省かれてたりとかしてる?」

「そう言うのじゃないんだよ? ただうちのクラスの女子、いや今は男子か。 既にいくつかグループ作っちゃってて、和奏が入れるような雰囲気でも空気でも無いってこと。」


 何だかんだでグループは作りやすい環境には変わり無いのだなと真面目は自分の弁当のウインナーを口にしながら思った。

 そしてみんなが昼食を終えた辺りで、真面目は自分のポケットからあるものを取り出す。


「それは?」

「大阪のお土産のストラップ。 どんなのがいいか分からなかったからとりあえずお揃いっぽくしてみたんだけど。」

「なんて書いてあるんだこれ? ん? 駅名?」

「あ、それって駅名ストラップですよね。 他の駅にも良く使われていますよね。」

「へぇそんなのがあるんだ。 あ、じゃああたいこれにしよっと。」

「じゃあ、俺はこれで。」

「わ、私もいただきますね。」


 そうして残るは真面目と岬の分のみになる。


「浅倉さん。 どっちか貰ってよ。」

「一ノ瀬君ってなんだか独特な感性の持ち主だよね。」

「しょうがないじゃん。 思い浮かばなかったんだし。」

「そう言うことにしてあげる。 こっち貰うね。」


 そういうこともなにもないはずなのだが、真面目からは何も言い返せなかった。 そして残ったのは「西九条駅」だった。


 そんな感じで授業はお昼に差し掛かる。 保健体育なのでなおのこと眠気をが増してくる時間ではあるものの、そこはやはり保健体育という認識があってか、みな真剣に取り組んでいた。


 この学校だけではなく保健体育というのは今のご時世は必ず覚えておかなければいけないというとこで、必須科目にまで向上している。 これのお陰で未成年による性犯罪は減少傾向にはある。


「ふぅ。 なかなか難しいな。 保健体育って。」

「中学の時はそこまで教えてくれなかった。 今入れておかないと後々後悔する。」


 認識の変化か、世間の風当たりか。 どちらにしても若者達に影響は少なくとも出ているのだろう。


「とにかくテスト対策もそろそろ考えないとね。」

「先生によっては出し方にクセが出るかもだし、その辺りも見ておかないと。」


 2人にとってはそんなに勉強に関しては苦ではないらしい。 そもそも2人は眠たくなる時はあるが、本当に寝たりなどはしていない。 模範的ではあるが、2人は名前順からして前の方なので、寝るに寝れないというのも要因なのかもしれない。


「あ、そろそろ次の授業が始まっちゃう。」

「部活も久しぶりだから、感覚取り戻せるかな?」

「茶道って感覚の問題なの?」


 そんなことを言いながら本日最後の授業を終えて、真面目達は部活へと足を運ぶことにしたのだった。

ちなみに岬はお土産を貰って何だかんだで嬉しそうにしていたのでした。

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