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GW最後は家族で

 それから残りの3日間は午前には部活をして、午後からは家でゆったりしたり、買い物をしたりとなにかとGWを過ごしていた真面目。


 そして週末の昼過ぎ。 今日は壱与の作る野菜スープとパンでお昼をやり過ごしていると、不意に壱与の携帯が鳴る。


「あら、珍しい。 進さんからだわ。」

「父さんから?」


 確かにこの時間帯に電話がかかってくることは進の職業柄珍しい事である。 彼は休憩時間を取ったとしても、原則的に現場には戻る余力を残す程のフットワーカーであるし、休みなので尚更休んでいる余裕はないはずなのだが。


 そうして食べ終わったお皿をそのままにリビングから退室して電話に出る壱与。 真面目からは話の内容は聞こえない。


「真面目、少し準備を早めるわよ。」

「早めるって・・・どういうこと?」

「進さん、今日は早めに帰ってくるそうなのよ。 だからすぐに出れるように準備して。」

「出れるようにって・・・父さんの準備がないとどこにも行けなくない?」

「進さんは昨日のうちに準備してあるの。 ほら、真面目も急いで急いで。」

「まだお昼なんだけど・・・すぐに出れることに越したことはないか。」


 そう言いながら真面目は自分の食べ終えた食器を片付けて、部屋に戻ってトランクの中に必要なものを改めて確認する。


 真面目達ご一行は夜から地元を離れて、大阪へと旅行をしに行くのだ。 これはこのゴールデンウィーク期間中に家族でどこに行きたいかと言うものを決めたもので、前回は東京観光を行ったので、今回は大阪での食べ歩きをしようと言う話になったのだ。


 ちなみに家族旅行ということで、真面目は他の人は誘っていない。


「向こうの旅館に着いた時の衣服と小型ゲーム機、携帯と充電器は後でいいから、後はお土産のためのスペースを空けておかないとな。」


 最低限の物しか入れていない真面目は皆のために買ってくるお土産で荷物がパンパンにならないように考えていたのだった。


 そして進が早いタイミングで帰ってくる。 陽はまだ沈みきっていない。


「ただいま。 帰ってきたよ。」

「お帰りなさい進さん。 私も真面目も準備は出来ているわ。」

「そうか。 そんなに楽しみにしてくれていると嬉しいものだね。 着替えたらすぐに行こうか。」


 この時真面目は出掛けるのが待ちきれない子供のようになっているなと思っていた。


 そして進が自分のトランクを持ってきたので、それを確認して壱与も真面目も席を立ち、みんなで家を出たのだった。


 そして最寄り駅から一度大きな駅へと経由をしてから新幹線を使って大阪駅に到着する。


「ホテルに行く前に夕飯を食べていこう。」

「そうね。 せっかくだから串カツとかがあるから、あそことかどうかしら?」


 そう言って壱与が指差したのは駅の中で一際目立つお店だった。 お店自体はかなり盛況しているようだ。


「いや、あれって居酒屋じゃないの?」

「別に居酒屋だからって食べられない訳じゃないわよ。 あんたはソフトドリンクにすればいいんだから。」


 そう言われたらなにも言い返せない真面目は、進と壱与の後についていく事にした。


「へいらっしゃい。 3名かな?」

「はい。 席は空いているでしょうか?」

「ちょいと待ちな。 空いてる席は・・・あそこなら空いてるな。 片付けさせるからちょっと待っててな。」


 お店の店主がゴリゴリの関西人で無いことに少し驚きつつも、3人は席に案内されて、メニューを確認する。


「いらっしゃいませ。 ご注文は?」

「このオススメ盛りを3人前でまずはお願いします。 飲み物はレモンサワー2つとレモンソーダを1つ。」

「かしこまりました。 8番オススメ3、レモサ2、レモソ1はいりやした!」


 店員がその掛け声とともにカウンターに戻っていきジョッキに飲み物を注いでいた。


「先にレモンサワーとレモンソーダになります。 揚げ物は少し時間がかかりやすんで、待っていて下さい。」


 そう言って店員は足早にカウンターに戻って、別のお客の対応へと入っていった。


「随分と忙しそうだね。」

「ゴールデンウィークももう終わりだからじゃないかしら?」

「そうかもね。 それじゃ、私達も乾杯といこう。 乾杯。」

「「乾杯。」」


 そうしてジョッキを傾ける。


「ふはぁ! 久しぶりのお酒は美味しいわね!」

「母さん達が家であんまり飲んだところ見たこと無いんだけど。」

「私達もよっぽど飲むほどはないからね。 仕事の関係上ではあるけどね。」


 そう言いながら喋っていると、料理が届けられる。


「お待たせ致しました。 オススメ盛り3人前です。 追加がございましたらまたお呼びください。」


 そしてやってきた串をそれぞれ取っていき、真面目が机に乗っているソースを浸けようとした時に、壱与が注意を促す。


「真面目、大阪ではソースの二度漬けはご法度よ。」

「分かってるよ。 あ、キャベツでソースを溢さないようにしないと。」


 そして真面目は手に取っていた豚の串カツにソースを付けて食べる。


「・・・うん。 美味しい。 やっぱり本場の味って感じがする。」

「ソースが違うからかしらね。 ちょっと辛いのがお酒を進ませるのかしらね。」

「なかなか見所があるやないかい、奥さん。」


 そう言っているとカウンターで食べていたおじさんが声をかけてきた。


「おらぁこの店の常連でな。 次の日が休みの時はここで食べとるんや。 ここの串カツ食ったら、もう次の日からはバリバリ元気になるでよ。」

「あっはっはっは。 お上手ですね。」

「おっぱいのでけぇ嬢ちゃんもそう思うやろ?」

「ハハハ、そうですね。」


 他人から見てもでかいんだなと真面目は思いつつ、あまり気にしないように串カツを食べた。


 そして食べ終えた真面目達は本日泊まるホテルでチェックインを済ませて、部屋へと入っていく。


「うぅー ちょっと飲み過ぎたかもー。」

「ちょっと、そんなので明日大丈夫なの?」

「まあまあ、明日になればある程度は元に戻っているさ。 真面目は大きなお風呂を利用してきなさい。 父さん達は後で入ってくるから。」

「分かった。 母さんが駄目そうなら部屋のお風呂使ってよ?」


 そう言いながら真面目は温泉に足を運んだ。 そしてその前にみんなのMILEに言葉を募る。


「これから温泉入ってくる。 時間になるまで出られないからよろしくね。」


 そして真面目は着ていた服を脱いで、身体をタオルで隠して打ち水をしてから体を洗う。


「おっぱいのでかい・・・ねぇ・・・」


 自分の周りに大きな胸を持った人物がほとんどいないからか、この大きさがどのくらいなのか、真面目には分からないのだ。 15分程かけて身体を洗い終えて湯船に浸かる。


「あー・・・いいお湯・・・」


 真面目は久しぶりの湯船に満足しつつ、身体の一部の感覚に、ちょっとだけ違和感を感じた。


「・・・大きいと浮くって、本当だったんだ・・・」


 自分の胸の可能性を感じ始めている真面目であった。


「お風呂行ってきたよー。 ・・・あれ? 母さん寝ちゃったの?」

「ああ。 流石に飲んでいたからね。 それにしても随分と色っぽいじゃないか真面目。」

「親に誉められてもなぁ。」


 真面目は着物姿に着替えていて、妖艶な感じがしているらしいのだが、本人にはわからない。


「あ、そうだそれなら・・・」

「どうした?」

「父さん、僕の携帯のカメラで今の僕を撮ってくれる?」

「うん? それはいいが?」


 そうして真面目の全身像を撮った後に真面目はMILEを開く。


「みんなこんな僕をどう思う? っと。」

「みんなに聞くのかい?」

「うん。 僕じゃ分からないからね。 ・・・ふあぁ。」

「真面目も眠たいのか?」

「温泉入ってきたからねぇ・・・今何時?」

「10時くらいかな。」

「朝食って何時だっけ?」

「7時からだな。」

「分かった。 僕も寝よう。 父さんもゆっくりしてよ?」

「分かっているさ。 おやすみ。」


 そう言って真面目は敷かれていた布団に潜って、眠りについたのだった。

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