まだ1週目の日曜日
昨日一昨日と色々な事が起きたせいで、真面目の中では既に終わりなんではないかと思うくらいに疲労があるように感じていた。 実際に朝起きて頭の整理がついていないのか少しの間放心状態になっていたほどだ。
「・・・もう今日は休もう・・・」
時刻を見れば朝6時。 流石に二度寝をしても起こす人はいないので、ゆっくりと眠ることにしようとした時、下から朝御飯の匂いがしてきて、真面目の鼻腔をくすぐり、お腹を鳴らした。
「・・・ズルいよなぁ。 こう言うのは。」
布団に潜っていた真面目はむっくりと起きて、階段を降りてリビングへと入っていく。
「おはよう真面目。 眠たそうね。」
「2日間で色々とあったから疲れがね・・・ 寝ようと思ったらご飯の匂いがしたから起きてきたんだよ。」
「ふふっ。 味噌の匂いは強いわね。」
壱与は誇らしいように言っているが、彼女だってこの後は仕事である上に料理を作っているのだ。 一番眠たいのは壱与の筈である。
「母さんは休まないの? というか父さんは?」
「まだ寝てるわ。 今日はお休みだからね。」
「だったら父さんが作るんじゃないの?」
「昨日の疲れを取りたそうにしてたから、ゆっくり休ませてあげたいのよ。」
「なんか父さんに何だかんだ甘いよね母さんは。」
用意された朝御飯を食べながら壱与を見ると、ふふふと笑っているのみだった。
結局朝御飯を食べたので眠気が無くなってしまい、何をしようかと考えることになった。
「ええっと宿題自体はある程度は終わってるし・・・漫画も新しいものは持ってないしなぁ・・・」
朝早く起きたのはいいものの、やることが見つからずどうしようかと悩んでいると、携帯がなり始める。
「ん? こんな時間帯に誰だろ?」
『よう真面目、起きてるか? 前にやってたやつ、また協力してほしいんだけどよ。 まだ持ってるか?』
そんな元気が有り余っているかのような送信が送られてくる。
「あれって言うと・・・」
そう言って机の1段目の引き出しを開ける。 そこにあるのは携帯ゲーム機が入っている。 最近はほとんど触らなくなったせいか、手に若干馴染まなかった。 そして2段目の引き出しを開けてあるゲームソフトのパッケージを取り出す。
「ああ、あったあった。」
『持ってるよ。 これからやるの?』
そう送りながら真面目は元々中に入っていたカセットカートリッジを取り出して、そのゲームソフトを入れる。
そして電源を入れて入っているゲームソフトを選んでから、画面がでかでかと現れる。
『ビーステットハンティング2』
仲間達と共に凶暴化した様々な獣達を狩猟していくハンティングアクションゲーム。 初代に比べて大分難易度が上がり、発売してから3年経った今でも継続的にやり続けている人がいるほどだ。
そして携帯が再度鳴り響く。
『おうよ! 前に行ったまんが喫茶で待ち合わせしようぜ。 それじゃ、待ってるからな!』
そう返事が来たので真面目も、ふぅと一息ついてから身支度を始めることにした。
「今年は忙しないゴールデンウィークになりそうだ。 っとと、そうだ。」
どうせそこまで出掛けることは無いだろうと適当に着替えている間に思い付いたことをMINEで書くことにしてから、出掛けることにしたのだった。
ようやく起きた父に出掛けてくると行った後に、大体20分程でまんが喫茶に到着すると、既に隆起の姿があった。
「よっす。 悪いな急に呼び出してよ。」
「本当は休みたかったけど、まあ今更だしいいかなって思ってさ。」
「なんか悪いことしたか?」
「いや、父さんも母さんも両方揃うのは来週だけだから、こう言ったのには問題ないよ。」
「それならいいけどよぉ・・・」
2人で話し合っていると、不意に自転車が止まる音がして、そちらを振り返る。 するとそこには得流がいた。
「おはよう一ノ瀬! ん? 木山も一緒?」
「あれ? なんで近野が来るんだ?」
「ああ、お互いに説明してなかったね。」
そこで今回どうしてこうなったのかを話した。 まず得流がビーステットハンティング2を持っているのではないかと真面目は目を付けてMILEで連絡をする。 そして返事が返ってきた辺りで、持っていることを確認した後に今の場所まで来てもらえるように連絡をしたのだ。
隆起に教えなかったのは既に真面目が出発していたことと、敢えて内緒にしていたのだ。
「なんだそう言うことか。 まっ、やってる人間が近くにいるのは歓迎するぜ。 2人だとどうも時間がかかったりするからなぁ。」
「どうせ僕はそこまで上手じゃありませんよ。」
「拗ねるな拗ねるな。 そういや近野はここに来たことはあるのか?」
「いや、初めてだよ?」
「ならまずは登録からだな。 早速行こうぜ。」
そうして隆起と得流は先に入っていくのを確認しながら真面目も入っていくのだった。
「そう言えばなんでビーステットハンティング2をやろうなんて言ったのさ?」
真面目の中で一つ気になったことがあったので、聞いてみることにした。 確かに真面目もこのゲームをやっていた時期はあったものの、今更になってまたやりたいと言い始めたのかが分からなかったのだ。
「ああそれはな。 部屋に入ってから説明するからよ。 先にドリンク取ってこいよ。」
理由は後で説明してくれるとして、とりあえずは飲み物を取ることにした。
「ほら、これだよ。」
そこで出されたのはあるゲームのクリークだった。 その画面を真面目も得流もその画面を見てみる。
「これって・・・」
「そう、このビーステットハンティングに最新作が出るんだよ!」
「そっか。 それでこのゲームをやろうと思ったんだ。」
「狩猟感覚を取り戻すためにな。 とはいえ今回のやつは初心者にも優しいしようになるらしいから、最初の方は楽に感じるかもな。」
そんな感想を述べつつも楽しみなのは確かな隆起なのであった。
「それじゃあ慣れるためにもここでやっていこうか。」
「あたいはほとんど1人でやってたからこう言った協力プレイって初めてかも。」
「協力プレイに慣れると、ソロプレイには戻れないという呪いが・・・」
「かからないから大丈夫だよ。 隆起君も変なこと言わないの。」
そうして3人でビーステットハンティング2を開始する。 そして隆起から得流にフレンドを送り、ゲーム内のオフライン集会所へと集まった。
「最新作ではオンラインで誰とでも狩猟出来るようになるんだってよ。」
「うーん、でも狩猟するなら知り合いとが一番なんだよねぇ。」
「知らない人とは怖いよねぇ。」
そう言いながら集会所に集まった3人の姿を改めて確認しあう。
「懐かしいなぁ隆起君のその格好。」
「火力に特化してるからなぁ。 この鎧の赤は深紅なんだぜ。」
「そう言う一ノ瀬は意外な武器だね。」
「ああ、鞭のこと? 慣れればかなりトリッキーな動きは出来るようになるよ。 そうなるまでにかなり動きを覚えたけどね。」
「そして近野は・・・それはブーメランか?」
「そうそう。 凄い動き回るからさ。 面白くって使ってたんだ。」
三者三様で武器や防具を見たところで、クエストを選んでいくことにした。
「なに狩りに行くよ?」
「僕も久しぶりだから感覚を取り戻すための狩猟にしたいかな。」
「難易度を下げていく? 慣らさないとすぐに出来ないでしょ。」
「それもそうだな。 時間もあんまり多くはないし・・・んじゃ、最初はこいつで行くか。」
そうして色々と準備をした後で、狩猟を開始するのだった。